ムクドリ

ムクドリ達の大きな群れが
空をあちこちと飛び回るのを見た。
いつもこの季節だったかなと
うろ覚えなのだけど、それは毎年やってくる。
     



彼らが電線で休憩中は
傘が欲しいところ。
気づけばおっかなびっくり
迂回したほうがよい。



     
いつだったか目の前に
大粒の雨がパラパラと降ってきたのか
と、思うほどのことがあったから
降ってきませんように、なんてね。



     
夜にもなれば彼らは巣に戻る。
どこなのだろうと思っていたら
あの大集団でいっしょにいるみたい。



     
風のない夜。
街の中の竹林のひとかたまりが
風になびくように揺れだした。



     
どこかで鳴き声が聞こえると
いっせいに「きるっきゅきる」の大輪唱。
竹林がワサワサ揺れる。



     
そして次第に止んで
また一羽の鳴き声、
数羽の輪唱
大合唱と繰り返される模様。



     
彼らが寝ぐらにする竹林も
年々切り取られ住宅地に変わりつつある場所。
街では追い詰められ
害鳥のレッテルまで貼られている。


そのムクドリ達は喧しく何を話しているのかな?



     
ーー私の場所にはみださないで(狭くても指定席があるらしい)ーー
ーー此処も手狭になったね、また人間のせいよーー



     
なんて、そんなことではないだろうけど
彼らは文句ということなどは知らず
変わり行く街の中に、生きる道をみつけ息づく。



     
そして明日も空に大勢の模様を描いて飛ぶのだろう。

ムクドリ

ムクドリ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-08-26

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