なつのひととき

うちのこが最低なことしてるお話。
今んとこ生きてて断トツかわいそうな子

「ねぇ、夏野」
「ん?」
部活もなく、宿題もする気になれず、家に帰ればやかましい姉が「構え」とうるさい。
だから部活もバンドの練習もない日は大抵教室に残って話していたり遊んでいたりする。
今日もそんな日だ。
「夏野ってさ、宮本さんとはまだ続いているの?」  
そう問いかけてくるのは、隣のクラスの三木 景子。
「うんにゃ。一週間前に別れたよ」
「まじか。早くない?」
えー。いつからだっけ。 宮本って、先月の頭に告ってきたんだっけ。ん?いや。あれは林田か。宮本は今月頭だっけ。
「たしかに早いかもな。一月保たなかったし」
「夏野から?」
「んにゃ。例のごとくフられました」
三木は呆れ顔でため息をつく。 なんだよー。 「見事に独り身でございます」
彼女って欲しいけど、告ってくるだけ告って、最後はみんな「夏野つまらなそう。ごめんね」みたいなことを言って去っていく。
「ふーん。私もだよー」
三木はなんでもないようにそう言って、手元の携帯に目を落とす。
「そっかー」
俺もまだ手に馴染みきらないスマホに視線を落とす。
「じゃー、私なんてどう?」
「えー。俺でいいの?」
やったー。脱独り身~。
「はー。あんたは本命いないの?」
なぬ?からかわれた?
「本命ねぇ」
いないわけじゃないけど……。
「そんな顔するってことは、いるんじゃん」
「ふん」

なつのひととき

夏野くんマジ夏野。
早くフラれないかな~
暇潰しにお付き合いくださりありがとございました。

なつのひととき

夏野くんのかわいそうなお話。 部活の延長

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-04

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