古代エジプト紀行 ー=プロローグ=

キーンコーンカーンコーン。 チャイムが鳴る。
「じゃあ今日はこのへんで終わるか、明日も世界史するからちゃんと勉強しとけよ!」 その言葉の後に日直が号令を掛ける。
教師が1ー3と書かれた教室から出ていった。
と、同時に生徒達が一斉にクラスの友達の席に話をしようと移動していた。 だがほとんどの生徒は、クラスで人気の池宮 春花の席にたまっていた。
「春花ちゃん今日の世界史、得意なエジプトだったね!」
「うん!結構簡単だった。」そう言うなり集まった生徒達はおぉー喚声をあげる。 一人の生徒が「春花ちゃんは苦手な科目なんてないんじゃない?」そう言うと、「うん、、、でも縫うのダメだから、家庭科が苦手なの」と言うと、また一人の生徒が「じゃあ、自分の指を刺したりするの?」そう言うと、「うん、すぐに。」と言った時に、集まった生徒達は一斉に笑った。

その日の放課後、一人で歩く春花は考え事をしながら歩いていた。
その時、上空に穴が開いている事も気付かなかった。 そして、
「うわぁぁぁぁ!」絶叫する声を聞いてやっと止まった。
と、同時に空の穴から男の子が落ちてきたのだ。
驚く春花、男の子は背中を押さえながら痛みに悶えていた。
「だ、誰、、、?」 驚きを隠せない春花をよそに男の子は周りをキョロキョロと辺りを窺っていた。 と、男の子は、春花に気付き、逆に驚いていた。男の子は、しばらく黙っていた。やっと口を開くと「み、見た?今の、、、?」「う、うん、、、」そう困惑ぎみに答える春花
、男の子は困ったような顔になった。しばらく考えた後、「俺の名前は拓真 剣市って言うんだ、あんたは?」
「わ、私は、池宮 春花。あなた、どこから落ちてきたの?」
「ん?そ、それは、、、。次元の穴だよ!」 意を決したように話す剣市。春花は信じられないかのような顔になった。 すると、
「信じてねーだろ?あんた。」
「し、信じるって言っても、次元移動なんてバカみたいな話し、誰も信じないわ!」 そう強気に返した。
剣市は、少し怒ったように、「じゃあ行ってみるか?過去か未来に!!」 そう反論した。
春花は、まだ半信半疑だったので「じゃあ、古代エジプトまで連れて行ってよ。」 そう言った。 剣市は、驚いたような顔になったが、
すぐに頼もしい顔付きになった。
「わかった!それって西暦何年だ?」 そう聞いて来たので、春花は
驚いた顔をしながら呆れたように「あなた、学校行ってないの?古代エジプトは紀元前よ。」それを聞いた剣市は「えぇぇぇぇ!」
そう叫んだ、その後、「だ、大丈夫かなぁ?」そう呟いていた。
「できないの?」 と春花が言うと剣市は、「た、多分、、、行けると思う、まだ紀元前なんて行った事がないから、、、」不安そうに聞いてみた。 すると剣市は、「わからない。でも、やってみようぜ!!」
そう言う剣市、乗り気じゃない春花だったが、好奇心に駆られて、「わ、わかった。行くわ!私、古代エジプトがとても好きなの、一度行ってみたかったの!!」 そう言い、差し出された剣市の手を取った。「よし!じゃあ行くか!!」言うなり集中しようとする剣市に、「ちょっと待って!」と春花が止めた。「もし私が違う時間に行くとして、今この時間はどうなるの?このまま進んでいたら私は行方不明になって親が心配するわ!」 そう言い顔を曇らせた、その言葉に剣市は、「大丈夫!!あんたが古代エジプトに行ったら今この時間は止まるんだよ。安心して!!」
それを聞いた春花は、「良かった。」そう胸を撫で下ろした。
「じゃあ、もういい?行くよ?」「う、うん!!」そう言い剣市はまた集中し始めた。 すると、周囲から自分達だけが切り離されたかのように鳴ると、途端に地面にぽっかりと穴が開いたのだ。
そして、二人はその穴に吸い込むようにして落ちて行った。
「きゃぁぁぁぁ!!」その絶叫が白黒の世界の静寂を破っていた。
春花は、声が枯れたので、叫ぶのをやめ、ちらりと片目を開けてみた。
そこには七色に光る壁があった。
そして、穴はいつの間にか垂直ではなく、
なだらかなスロープになっていた。
「すごいだろ?このまま、ずっとこんな感じだよ。」
「で、でもあなたは落ちて来たじゃない」そう言うと剣市は、顔を染めながら、「あ、あれはちょっと失敗したんだよ!」そう言った。
春花が感じた数分が経つと、なだらかなスロープが、急なスロープになってきた。 そしてまた数分が経つと、突然辺りが明るくなってきた。 それを見た剣市が、「お、もうすぐでつくぞ!!」
そして、明かりはだんだんと大きくなり、やっと出口についたと思った二人だが、穴からなんと、投げ飛ばされたのだ

第2章に続く。

古代エジプト紀行 ー=プロローグ=

古代エジプト紀行 ー=プロローグ=

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-02

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