ろーる

2127年 長山県時松市 日本最大の科学研究所が設立。時松市の

2132年 時松科学研究所 キメラの実験成功。日本を世界にアピール。
2141年 時松科学研究所の予算問題。
2145年 時松科学研究所取壊しか?
バサッ
「くだらねぇ。」
大國 隆也は自分が読んでいた新聞を音をたてて畳んだ。
「くだらねぇ!」
ガスっ
「痛ーーっ」
「くだらないくだらない言ってないでさっさと朝ごはん食べなさい。」
隆也は母の鉄拳をくらったようだ。
朝食を終えた隆也はいつも通りに高校に行く。隆也は今年で18歳になる高校三年生だ。隆也は時松科学研究所と共に成長をしていた。時松市は少子化問題や過疎化に悩まされており、土地が大いに有り余っていて、研究所などの建物を建設するには最適の立地条件であった。隆也は羽田見山から見える時松科学研究所を睨んでいた。
「こんな所すぐに出てってやる。」
隆也は誰に言うでもなくそう呟いた。
チリンチリーン
「隆也ーー。ごめーん待ったか?」
前方から田植えを終えた田んぼの間を自転車に乗った少年がベルを鳴らして向かってきた。少年は、隆也と同じ高校に通う親友の正木 京介である。
「いつも待ってるよ。」
「どーせなら可愛い彼女に待っててもらいたいよなー。どーせなら。」
「俺が永遠に待っててやるよっ。」
ガシャン
隆也はそう言って京介が乗っている自転車を蹴りました。
「嫉妬すんなって〜。」
「いいから早よ漕げ。」
そう言って隆也は京介の自転車の後ろにまたがった。
「そう言えば、明日 時所でイベントがあるみたいだぜ。」
時所とは、時松科学研究所を略した言い方である。
「平日なのにまた町おこしのイベントか?くだらねぇ。」
「まぁ、それで人が来てくれるんだったら良いじゃん。」
「俺はすぐにこんな所出ていってやる。」
隆也は後部座席を掴んだまま空を見上げた。視線の先には時松科学研究所とそれを取り囲むようにそびえ立つ巨大な壁であった。時松科学研究所は緊急時に備え、時松市全土を覆うシャッターが壁に組み込まれていて、緊急時の際、時松市はドームのように外部から遮断される仕組みになっている。
隆也は変な違和感を抱いたまま、学校の校門をくぐった。

「大國…大國っ!」
ハッ
「大國ー、この時期に授業中に寝るとは余裕だなお前。」
隆也の目の前には国語の担当教師である、林田が教科書を丸めて自分の肩を叩きながら立っていた。
「受験に国語は使わないので仮眠を取っていました。」
「大國、お前っ。」
隆也は数学の教科書を取り出し、問題を解き始めました。
「大國、調子に乗っていると欠点取るぞ。」
隆也は林田の言葉を無視して、問題を解きつづけます。そんな隆也の態度を見て林田も、隆也をほっておきました。
トントン 隆也は背中を突かれ後ろを振り返りました。
「何であんなこと言うの?」
後ろに座っていたのは、隆也を仮眠から起こした張本人の 上沢 歩美でした。
「くだらねぇから。」
「でた、あんたのくだらねぇ。
口癖だよねそれ。」
歩美はそう言って笑いました。
「…くだらねぇ。」
隆也は再び数学を解き始めました。

「隆也、もう大学は決めたの?
この時期にはみんな決めてるんじゃないの?」
「明良観。」
「ここからは遠いわね。下宿にするのね。」
「…うん。」
「そう。頑張りなさい。」


隆也は爆風に飲み込まれた。
そこで隆也の意識は遠のいた。
隆也は肌が焼ける痛みを感じ、目を覚ました。
「…何だよこれ
どうなってるんだよ。」
隆也が見た光景は、数分まえの光景とはまったく別で、爆風により吹き飛ばされた家の破片や工場の破片。潰れた民家や民家が燃えている状況でした。
それに、隆也が最も嫌っている時末科学研究所からは、黒い煙が時末市を覆っていました。
「地震じゃねぇよな。何があったんだ?何でこんな…痛っ。」
隆也はまた、肌の痛みを感じ上を向いた。

「雨?」
上空は黒い雲に覆われて、雨が降っています。
「酸性雨か?とにかく母さんに会わないと。たしか避難所は高校だったよな。」
隆也は薄暗い空の下、瓦礫のなかを歩いていつもの通う学校に足を動かした。


高校の体育館では、動揺を隠せない村の人達が半数以上集まっていました。
「おーい。隆也ー。」
京介が体育館の中央に胡坐をかいて、手招きしてあかます。
「おい、京介。何が起きたんだ?」
隆也は京介の隣りに胡座をかいた。
「それがさー、お前にとったら良い報告かもなんだけどさー、時所で事故が起きたみたいなんだわ。」



「体育館から出られない?何でだよ!」
隆也は警察官に怒鳴りかけた。
「外は危険だ。まずは、住民の安否を確認しないといけないから、協力してくれないか?」
「母さんがいないんだ。探しに行かせてくれ!」
「あのね、それはみんな同じだか」
「黙って言うこときいてろ。」
隆也と新米巡査の間に、体格の良い刑事が話に入ってきました。
「お前1人が外に行くだけで、他の住民も外に出る許可を出さんといけなくなる。お前以外の他の住民はじっと指示に従っているんだ。お前の行動一つで混乱を巻き起こす可能性もある。」
警察官はそう言って、人並みの中に消えていきました。
「誰だよあいつ?」
「あぁ、新しく来た警察官だよ。」
京介の父親は市長で


隆也と、京介は外の様子を伺うべく体育館の階段を上り2階の窓から外を見た。外の様子はどんよりとしていて、煙で遠くまで見ることができない状況であった。
「何も見えねぇ。」
「体に悪そうな煙だよな。
どーせなら健康に良い煙なら良いのにな、どーせなら。」
「おい、あそこに何かいるぞ。」
隆也と京介のように、体育館の2階に登っていた男性が入り口を指差して、大声で言いました。
体育館内にいる人全員が入り口に注目した。
「ぐるぅ」
そこには、頭・胴体がライオンで、尻尾が蛇な生き物、キメラが立っていた。
「逃げろー。」
一斉に人が2階へと上り始めた。
人間は、檻に入れられている動物を見ることは楽しむのに、檻と言う境界線がなくなったとたん恐怖を覚える生き物である。
「なぁ、隆也。何かやばくねぇか?」
「あぁ。キメラが犬や猫みたいにペットにならない理由知ってるか?
…凶暴で人を襲い…実験中に何人か食われたからだよ。」
2階へと上がる階段(はしご)は2個しかなく、一斉に人が押し寄せるので、スムーズに2階へと上ることができない状況であった。
「うわぁぁ、来るな来るな」
1人の男性がキメラに狙われた。キメラは男性の左足に噛み付き、右の前足で男性の胴体を押さえつけ、男性の足を引きちぎろうとしています。
「ひっ、痛い痛い…助けて 助けてぇぇ」
「見るな!」
隆也は叫んだ。
ブツっ
その途端、肉が千切れる音がしました。
体育館内が静寂に包まれた。
「うわぁぁぁぁ」
「きゃぁぁぁぁ」
体育館内はパニックで、2階へと上る階段に人が群がりました。
「見ちゃた…俺見ちゃた。どーせなら
俺あの時爆睡してたら良かったのに。どーせなら。」
横で腰を抜かしガクガクと震えている京介を無視して、隆也は自身に冷静になるよう呼びかけました。
「集まったらダメだ。みんな散らばるんだ!」
最初にキメラを見つけた男性が叫びました。
しかし、体育館内はパニック状態で誰も男性の言葉には耳を貸しません。
キメラは、捉えた男性の顔を押さえつけ首筋に牙を当てだしました。
隆也はその光景が、見るに耐えられず、自分の履いていた靴を構え、キメラに向かって投げつけた。
「やめろぉぉー。」
バンッ
靴は、キメラとは少し外れた床に当たり、大きな音をたてました。
隆也はすかさずもう片方の靴を投げつけた。
バシッ
靴はキメラの尻部に見事命中しました。
「よしっ…。」
キメラは隆也の下まで駆けつけて、隆也を威嚇します。
「ガウゥゥゥ」
「うわぁー、隆也ばかやろー。
どーせならもっと遠くにやれよ。
どーせなら。」
「くだらねぇ。いいから靴寄越せ靴。」
「ひぃぃ〜っ!」
「大國。あたしの靴使って。」
「おうっ。」
自分の靴を隆也に渡したのは、隆也と同じクラスの、上沢 歩美です。

「大國、はいこれ。」
「あぁ、サンキューな。」
上沢 歩美は、隆也の靴を取りにいってくれました。
「大國、ありがとうね。」
「は?何が?」
「大國が叫んでくれたから…その…見なくてすんだと言うか…その…とにかくありがとう。」
歩美は、そう言うとそそくさとその場を立ち去った。
「は?何だあいつ?」



「ねぇ、ねぇ。君高校生?何歳?名前わ?あっ、俺は大学1回の 倉間 行人(くらま ゆきと)
彼女募集中ーとか、言ってみたり。」
隆也は急に話しかけられ驚きを隠せません。
「あっ、そんなに緊張しないで良いからー。ほら深呼吸深呼吸ーとか、言ってみたり。」
隆也に声をかけた 倉間 行人
は、
「あっと、大國 隆也です。高校3年です。」
「うん。隆也君ね、平凡な名前良いねー。」
「ん?」
「うん、うん。良いよ良いよ。」
何だこいつ?明らかに人を貶してるよな。
「あーっと、倉間さんは何で時松市に?」
「おっ、良いこと聞いてくれるね隆也君。さすが主人公気質!とか、言ってみたり。」
「はぁー。それで何で時松市に?」
「はいはい。僕はね、今日行われるはずの時松科学研究所のイベントに参加すべくはるばるここまで来たんだよー。そしたら、爆発なんて言うまさかの大イベントだったよーとか、言ってみたり。」
「くだらねえ。あんた頭可笑しいよ。冗談でも言って良いことと悪いことがあるだろ。くだらねぇ。」
隆也は 倉間 に、そう言ってその場を立ち去りました。
残された 倉間 は、立ち去った隆也の方を見つめ
「くだらねえ。が口癖ね。良いね良いね。」
と、呟いたことを隆也は知る由もありませんでした。



「まてよ、俺たちだって少なくともこの煙を吸っただろ。」
隆也の言葉に体育館内の人々は、立たずを飲みます。
「…解毒剤とかないのか?このまま煙の中にいるだけじゃぁ…俺たちも危ないんじゃないのか?」
「その通りだよ、隆也君。君の言うとおり、一時的にも煙を体に含んでしまったのだから、みんな有害分質を体内に含んでいる。研究所の誤作動に反応するシャッターが作動された今、政府からの援助も期待できない状態だしね。いわば僕らは、研究所の煙が時松市全体を覆いかぶるまで、このまま死を待つしか道はないね。」
体育館内がまたもや静寂に包まれた。
そして、床に腰をつかし遠くを見る人や、手帳を取り出し遺書を書く人、絶望で啜り泣く人、大声をあげて壁を叩く人達が出てきた。
「ふぅー。みんな落ち着いて下さいよー。助かる方法が一つだけあります。」
隆也含め体育館内の人達は、倉間の言葉を待った。
「今もまだ、研究所からは煙が出続けている。
いずれ時松市全体を覆う頃にはみんな死んでいます。
しかしですよ、もし、煙を止めることができれば我々は助かるかもしれません。先に言っておきます。私は市民の皆さんよりこの分野、つまり時松科学研究所がしていた分野について知識があります。
僕の話を聞いてくれますか?」
以前とみんなが倉間に注目している。
倉間はそれを良く思ったのか、上機嫌なご様子だ。
「時松科学研究所で作られ、今なお放出されている煙、KRM19は、雑草に使う枯れ葉剤と良く似た性質をしています。
枯葉剤とは、かつてのベトナム戦争で使われたのをご存知でしょう。
ジャングルを巧みに利用して戦うゲリラに対抗するために米軍が使った除草剤の一種です。除草剤にはダイオキシンなどの有害な物質が多く含まれています。アメリカ人のように除草剤を広大な畑に撒く人達にとったら枯葉剤を森林に撒くことはそれほど抵抗がなかった、森林に撒くことにはね。
まぁ、もともと植物に扱う薬を人が含むだけでも何らかの症状はでるでしょう。ちなみにベトナムのこの化学剤での健康被害については現在では一部疑問視されています。
ダイオキシンの人体への作用は皮膚病変、それと免疫系、神経系、内分泌系、生殖器系に障害をもたらすとされています。
時松市を覆っているYKT19にも似た症状が出るでしょう。」
「それで…どうやって助かるんだよ。」
「ふぅ。心配しなくても解毒剤はちゃんとあります。
こんな毒煙を止めると同時に、科学研究所内にある解毒剤を手にいれさえすれば、みんな助かります。」
体育館内の人達から安堵の笑みがみえます。
「ただし、手に入りさえすればの話ですがね。」
倉間の言葉でまた、体育館内が静寂に包まれた。


「俺は行く。」
「ちょっ、隆也。どーせならもう少しましな冗談言えよ、どーせなら。」
京介は隆也の肩を叩き、顔を覗き込んだ。すると、隆也の目は本気だった。
「隆也。死にに行くようなもんなんだぞ。わかってんのか?」
「こらこら、隆也くんのご友人。
そんなこと言っちゃダメだよ。
死ぬも生きるもその人の運命しだい。
とか、言ってみたりー。」
「…倉間さんの言うとおりだ京介。
まだ、死ぬかどうかはわかんねぇ。
それに、誰かが行かなくちゃいけねぇんだ。」
「だからってお前が行く理由にはならないだろ。」
「母さんを探す。」
京介は、その一言で押し黙った。
「体育館にずっといても、母さんは探せさねぇ。
俺は母さんを探すためにも、体育館を出る。」
京介は、隆也の肩を強く掴んだ。
「お袋さんが亡くなってるとは言わねぇ。けどな、もし、この場にお袋さんが居たら全力で止めてる。」
「でも、」
「それに…」
京介は顔を伏せた。
「行ってほしくねぇんだよ、お前に。」
「京介…。どーせなら、もう少し場所を考えろよ。どーせなら。」
隆也は京介の口癖を真似した。
2人のやり取りは、体育館中の全員が注目していた。
京介はあたふたして取り乱した。
「お前が行くなら俺も行く。」
「はぁー?何言ってんだお前。」
「決めたもんね。」
「遊びに行くんじゃないんだぞ。生死に関わることなんだぞ。わかってんのか?」
「わかってる、それぐらい。でもな、1人より2人の方が見つかる確率は高いだろ。」
京介の目は本気だった。
京介は、隆也の肩をポンっと叩き、
「それに俺の方が生命線長いしな。」
と、笑いながら言った。
パチパチ
「良いね良いね。
これぞ友情、青春だね!
良い友達を持って良かったね、
隆也くん!」
倉間は、隆也と京介の間に立ち2人の肩をポンポンと叩いた。
「うーん困りましたねー。
これじゃあ人数が足りませんねー。
最低でも20人は欲しいです。」



「何で俺がこんなことしないといけないんだよ。他にもいっぱい人はいただろ。ちくしょう。」
竹中はあることを思いついた。
「まてよ…負傷して戻っても、
参加したんだから賞金は貰えるよな。」
竹中はもと来た道を歩き、体育館がある方向に歩み始めた。
「しょーがねぇよな。負傷したんだから。
他の奴が行けば良いんだよ。」
ガサッ
「うわぁっ、キメラか?」
竹中は音のする方に拳銃を向け発砲した。
パンパンッ
すると、その場所から鳥が羽ばたいた。
「何だ…鳥かよ…驚かすなよ、
ちくしょう。」
竹中は鳥だとわかり安心してしまい、
その鳥の右足が噛み砕かれて、血だらけだったことに気づけなかった。
「早くこんな所抜け出そう。」
ガサッ
「なっ何だよ…また鳥か?
ちくしょう。」
グルゥ
茂みから出て来たのはキメラだ。
「うわぁぁぁー」

隆也達は、後ろから悲鳴が聞こえた。
「悲鳴だよな…今の…」
「…おっおう。」
「逃げろっ。誰かやられたんだよ。
近くにキメラがいるんだ。
逃げろっ。」
重本はそう言って悲鳴が聞こえた逆方向に逃げ出した。
これが現実なんだと隆也は思った。
映画では、仲間の悲鳴が聞こえたら駆けつけて助けに行くが、現実では危険が近くに潜んでいると足がすくんだり、自分だけ助かろうとして逃げ出すんだと。
「木に登って2人とも。」
隆也の手を引いて呼びかけてくれたのは、間宮巡査だ。
隆也は手を引かれるまま、木に登った。
ガサガサ
現れたのは、口元を真っ赤にしたキメラだ。
キメラは臭覚で隆也達の場所を着きとめ、下から威嚇した。
「…どーせなら、木になりたい俺。
どーせなら。」
京介は意味不明なことをブツブツ言って気を紛らわしていた。
威嚇して、隆也達が下りてこないことを確認してキメラは来た場所へと戻った。
ガサガサ
隆也はキメラの行動を不審に思った。
体育館の時では最低でも10分は威嚇していたのに、2分も経っていないのに、こんなにもあっさり諦めるのかと。
「降りよう。ここは危険だ。
今のうちにもっと遠い所に避難しよう。」
間宮が、木から降りようと言い出したので、隆也はすかさず防止した。
「待って下さい。今、降りるのは危険です。」
「でもね、いつまでもここにいる訳にはいかな…」
すると、茂みから何やら奇妙な音が聞こえてきた。
ズザザ…ズザザ…
その音は、何やら物を引きずっている音だった。
「何か来ますね。」
「あぁ、降りるのはやめよう。」
ガサガサ
現れたのは、先ほどのキメラで、
さっきと変わっていたのは
竹中を引きずっていることだ。
「あれは…竹中さん。」
間宮は驚愕な表情で呟いた。
キメラは隆也達の前に腰を下ろし、
竹中を仰向けにした。
「ゔぅ…。」
竹中は小さいながらも息の根を必死にしていた。
キメラは、隆也達がおりてくるまで竹中を食らうつもりらしい。
「ゔぅ…けて…」
キメラは、竹中の顔に爪を当て
ズシャッ
そのまま押しつぶした。
「…。」
隆也は呼吸をするのを忘れており、
必死に酸素を吸い込んだ。
頭の中がガンガンと響き、意識が途絶えそうになるのを必死に堪えた。
隆也達の距離からでも血生臭さは漂っていた。
チャキッ
間宮はキメラに狙いを定め、
パンッ
放った。
ギャウッ
発砲した玉は見事キメラに命中した。
キメラは、間宮と隆也のいる木に爪をたてた。
ガウッ
「わぁっ…」
間宮はキメラの声に驚き拳銃を落としてしまう。
キメラは木に登ろうと爪をたてる。
「たったか…隆也っ。」
隆也は京介の震え声を聞いて、落ち着きを取り戻した。
「京介、お前は目瞑ってろ、
バカ。」
隆也は木の下の方に乗っており、キメラと至近距離である。
カチャッ
隆也は、左腰に刺してあった日本刀を構えた。
「落ちない限り、俺の方が有利だ。」
隆也は、キメラの左手に刀を振った。
キメラはさらに怒り、隆也に牙を向けた。
「たっ…たか…や…」
京介は、親友の危機を見て意識を飛ばしてしまった。
「京介っ。」
京介が木から落ちる瞬間をスローモーションで見え、隆也は考えた。
このままだと、木から落ちた京介にキメラが気付き、狙いを京介に定めてしまう。
「京介ーー」
隆也はキメラの左手に、自身の持つ最大の力をこめて刀を突き刺した。
「京介っ。」
キメラは、刀で木に固定されてしまい身動きがとれない。
それを横目に隆也は、木からおりて気絶している京介を抱きかかえ、何とか木に登ろうとする。
しかし、焦りでなかなか木に登れない。
このままだと2人ともやられてしまう。
どうしたらいいんだ。
隆也は、自身に落ち着くよう言い聞かした。
考えるんだ俺、登れないなら何をするべきだ。
キメラは刀に牙を向け、木から引き抜こうともがいていた。
「君だけでも助かるんだ。」
間宮は叫びました。
「君だけでも生きるんだ
そうしたらその子だって…」
間宮は隆也の冷たい目に見つめられ、喋るのをやめた。
隆也は、無表情ながらも間宮に伝えていた。
(何を言っているんだ?)
隆也は走りだし、キメラに近づいた。
「…っ、叩いたりしたって死にはしないぞ。やめるんだ。」
刀は徐々に木から抜けていき、
もう先まで見えている。
「ダメだっ、もうムリだっ」
間宮は目を瞑った。
キメラは刀を木から抜き、後ろにいる隆也に噛み付こうしたまさにその瞬間。
隆也は、キメラの足元にある拳銃を掴み発砲した。
パンッ
血が飛び、
隆也は、崩れ落ちた。

「隆也くん!」
隆也を呼んだのは、A班の倉間だ。
倉間は隆也の後の茂みから現れ、すぐさま隆也に駆けつけた。
「隆也くん大丈夫かい?
聞こえているかい隆也くん?」
隆也は血だらけだが、すべてキメラの返り血で無傷であった。
「…嘘だろ…」
隆也は呟いた。
「ほっ…良かった。」
「倉間さんっ…大國!」
現れたのはA班にいた、歩美だ。
「あぁ、歩美ちゃん。
隆也くんなら大丈夫だよ。
キメラに勝ったみたいだ。」
「大國…あっ、正木 何寝そべってんの。」
歩美は、気絶している京介の上を跨いで、隆也のそばに膝を付けた。
「大國、大丈夫?
血だらけじゃない。
大國?」
大國はハッとして、京介の元に行った。
「京介。京介。
起きろ京介。」
「…うっ…隆也が食われた。」
「食われてねぇはバカ。
くだらねぇこと言ってんじゃねぇよ。」
「うぇっ…隆也?隆也!
良かった…良かった」
京介は隆也の安否を知り、隆也に泣きながら抱きついた。
「正木…踏み潰す。」
2人の抱擁を静かに見つめていた歩美は
微笑みながら呟いた。
「上沢。」
「うっはい!」
歩美は突然 隆也に呼ばれ驚いた。
「京介頼む。それと、
俺が良いって言うまで絶対後ろ見るなよ。」
「…わかった。」
隆也はそう言うと、キメラの死体に近づき撃たれた部位を確認した。
「あーあ。何で正木の世話なんかしないといけないのよ。」
「感じ悪ー。どーせなら、もっと可愛く世話してもらいたいしな。
どーせなら。」
「あんたに媚びうるなら
シイタケに土下座した方がマシだわ。」
「えっ、俺 シイタケに負けたのか?
キノコに負けたのか!」

顔の横に撃たれたあとがある…
「隆也くん。」
「あっ、倉間さん。」
「凄いよ隆也くん。キメラをやっつけちゃうんだもん。」
「いや…倉間さん。
本当に俺が殺したのですか?」
「あはは、可笑しなことを聞くね。
隆也くん以外ありえないよ。」
「B班の中では、俺しか殺せた奴はいませんけど、A班の誰かが咄嗟に撃ってくれたとか?」
倉間は首を横に振った。
「それはないね。俺が一番に隆也くんを見つけた時は、もうすでにキメラは倒されていたし…
僕たちA班の場所からじゃ隆也くんに
弾が当たってしまうしね。」
「…そう…ですか」
「信じられないみたいだね。
でも事実だよ、君はみんなを守ったんだ、もっと喜びなよ。
ほらスマイルスマイルー、
とか言ってみたりー。」
「…はぁ。」
隆也は苦笑いをした。
そして、間宮の手伝い(竹中の死体を埋める)をしに向かった。
…俺が…殺したのか?

民家(山内家)
A班とB班が合流したので、一旦集合場所の山内家に集まった。
「そうですか…重本さんも行方しれずなんですね。
B班は、壊滅的ですね。
困りましたねー。」
「はい。高校生2人がよく頑張ってくれました。
それに比べて僕は…」
「まぁまぁ、間宮巡査。
今日のことを踏まえてまた明日に生かしましょう。」
「はい…ありがとうございます。
倉間さん。」
倉間と間宮が話してある間、高校生組は高校生組で今日のことを話しておりました。
「A班は、みんな無事だったらしいな。
良かった。」
「うん…キメラに会わなかったからね。そっちは…やっぱり今のなし。」
歩美は隆也の方をチラリと見た。
そして、隆也も視線を感じ歩美の方を見て、視線がぶつかった。
「?どうした、上沢?」
「…ありがとう、大國…。」
隆也は意味がわからないという表情である。
「ほらっ…わざわざ…向こう向いてろって…。」
「歩美可愛いいー。
大國くん、正木くん、始めましてだよね。歩美の友達の 中本 加奈子です。
よろしくね。」
そう。隆也も京介も気になってはいたがなかなか聞くタイミングを逃してしまい、聞けず仕舞いだった人物、中本 加奈子が話に入ってきたのだ。
「「始めまして。」」
「歩美はね、大國くんが死体を見せないように取り計らってくれたことに
感謝してるのよ。」
「加奈子ー。」
「あぁ…感謝されるようなことは
してねぇよ。」
「でも…」
「C・D・E班の人達は大丈夫か心配だな…
外もだんだん暗くなるし…」
歩美はまだ何か言いたそうであったが、隆也が話を変えたので言うのをやめた。
プォップォープォップォー
その時、突然辺りに車のクラクションの音が鳴り響いた。
「何だっ?」
「隆也くん。」
倉間が隆也を呼んだ。
「倉間さん…行ってみましょう。
誰かが助けを求めているのかもしれません。」
「うん。」

隆也・倉間・山吹の3人は、予備のガスマスクを持ってクラクションの鳴る方に向かった。
プォップォープォップォー
「こっちだ隆也くん、山吹さん。」
倉間は駆け足で爆風で飛ばされた破片などを跨いで、どんどん進む。
すると、道の真ん中に一台の軽自動車があった。
「あれだね。」
隆也達は軽自動車に近づいた。
「あっ、人…女の子がいる。」
中には隆也と同年齢ぐらいのツインテールの女の子が、助手席からクラクションを鳴らしていた。
女の子は隆也達に気付くとすぐに車から下りて、隆也達に近づいた。
「…怖かった。莉子ずっと1人で…
怖かった。」
そう言って女の子は安心したのか
その場に崩れ落ちた。
隆也達 3人は外も暗くなってきたので、
女の子を連れて、
急いで民家に戻った。

「隆也隆也。」
「ん?」
「誰だあの子?」
京介は隣の部屋で寝ている、隆也達が連れて帰ってきた少女を指差したずねた。
「車の中にいた。詳しいことは
本人が起きてから聞くつもりだ。」
「ふーん。あの子 幸運だったな、
車の中にいたんだからあんまり煙を吸わずにすんだんだよな。」
「…そーだな。不幸中の幸いだな。」
ガラガラっ
「D班戻りましたー。」
D班の萩野と田島は、隆也と京介達のところに腰を下ろした。
「お前ら早いのな。よいしょっと。」
「…あぁ、事故があってな。」
「事故?何があったんだ?」
田島は、隆也の言葉に違和感を抱き、たずねた。
「キメラが現れたんだ。」
隆也の言葉に2人は目を見開いた。
「もうその話はやめよーぜ。
どーせなら、わっと驚くような話しようぜ。
どーせなら。」
「京介がキメラに遭遇して
生きていることが驚きだわ。俺。」
「なんだとー!俺だってやるときは
やる男なんだよ」
「へーふーん。
どーせびびって気絶でもしてたんじゃねぇ〜の、お前。」
「萩野 凄いな。」
「えっ。まじの話?こいつ。」
「うるせーー。
何で隆也言うんだよー!」

「大國。今日のこと聞いてもいいか?
話したくなければの話だからな。」
隆也は首を縦に振って、話し始めた。
キメラを倒したことも話したが、倒した違和感のことは話さなかった。
「そうか…大変だったな。」
「…あぁ。」
大変てもんじゃなかった。
死ぬかと思った。ここに居ることが本当に奇跡だと思う。
「大國…俺が言えることは、」
田島は隆也の肩を掴み言った。
「帰ってきてくれてありがとう。
それだけだ。」
隆也は涙腺が緩んだことに気づいた。
あの時の恐怖が今になって思い出してきたのだ。
「おいっ。りゅう!
何 隆也泣かしてんだよー!
どーせなら、笑わせろよ。
どーせなら。」
「うるせー京介。ビビり野郎。」
隆也は顔を腕で隠した。
凄いとか、大変だったとか、褒め言葉・同情の言葉よりも、田島の言葉は隆也の胸に強く響いた。

「大國。あの子起きたよ。」
歩美が隆也達に知らせた。
「あぁ…サンキューな。」
隆也は、そう言って部屋をでた。
隆也に続き、田島・萩野が部屋を出て、京介が出ようとした瞬間。
歩美が足を出して京介の足を引っかけ、京介は床にへばりついた。
ビターーんっ
「へぶっ」
「何で大國 泣いてたの?」
「…その前に俺に謝れ。」
「…何で泣いてたの?」
「謝らねぇんだな…
んー何かりゅうが泣かしてたぞ。」
「田島が?」

車の中で発見した女の子の様子を見にきた隆也達より先に、倉間達が女の子に質問をしていた。
「あっ…隆也くん。」
「倉間さん、その人は?」
「彼女は、床末 莉子(ゆかまつ りこ)
時松研究所のイベントに来る途中に
爆風にあったみたいだ。
彼女は車で待つよう言われていたので、KRM19の影響からは逃れたみたい。」
倉間は女の子の方を向き、同意を求め、彼女も首を縦に振った。
「まぁ、莉子ちゃんも隆也くんと同年齢なんだし仲良くしてあげてよね。」
倉間は莉子に馴染んでもらえるようそう言って、その場をたった。
「床末 莉子(ゆかまつ りこ)です。
時松市には始めてきました、
仲良くしてください。」
莉子は隆也に笑いかけた。
「…あっ、俺 大國 隆也(おおくに たかや)、時松市に住んでる。
それで…」
隆也は隣に居る茂松に目線を送った。
「田島 竜士(たじま りゅうじ)。」
「りゅうー素っ気ねぇのな。
俺は、2人と同じ高校に通ってる
萩野 蓮(はぎの れん)です。
えっと〜女の子が大好きでーす。
莉子ちゃん可愛いから狙っちゃおうかなーなんつて。」
「蓮 引くわー。
俺は俺は、正木 京介(まさき きょうすけ)です!
どーせなら、京介って呼んでください!どーせなら。」
「隆也くんに、りゅうくんに、蓮くんに、京介くんね。
よろしくね。」
莉子は隆也を見つめた。
「?あっと、上沢。
お前達も自己紹介しろよ。」
隆也は見つめられていたことを
不思議に思ったが、女子どうし仲良くした方が良いと思い、歩美を呼んだ。
歩美は、大國に呼ばれた嬉しさもあるが、可愛い女の子を目の前に自己紹介
するのには気を引ける何とも言えない面持ちで、莉子の所に行った。
「上沢 歩美(かみさわ あゆみ)です。
隣は、中本 加奈子(なかもと かなこ)。」
「よろしくね。莉子ちゃん。」
「はい!こちらこそ。
2人のことは、あゆ と かな って呼んでも良い?」
「…良いよ。別に。」
加奈子は歩美の気持ちを察して、微笑みながら頷いた。
その後、無事にC・D・E班が戻り
莉子を囲んで夕飯を食べた。
高校生組は先にお風呂に入るよう言われ、各自の部屋に戻った。
ピタっ
「? 急に止まるのな、りゅう。
どーしたんだよ?」
「先に部屋 行ってろ。」
田島と萩野は同室で、部屋に入ろうとした田島は立ち止まり、元来たみちを行った。
「素っ気ねぇのな。」


田島は、廊下でウロウロ同じ行動をしている歩美を見つけた。
「何してんだ?」
歩美は急に尋ねられたので、体がビクッと跳ねた。
そして、後ろを振り返り自分が不審な行動を見られていたことに恥ずかしく思い、顔を赤らめた。
「…見てた?」
「見てた。」
歩美は、田島に隆也が泣いていたことを聞いた。
「何で大國 泣かしたの?」
「泣かした覚えはない。」
「正木が言ってた。田島が大國泣かしたって。」
「正木の見間違えだ。
俺は泣かすようなことは言っていない。」
「…そう。
大國に何て言ったの?」
田島は歩美の方をジッとみた。
「何よ?」
「大國のこと気になるんだな。」
「…何て言ったの?」
「ありがとうって、言った。
それだけだ。」
「…そう。
ありがとう。」
歩美は、田島にそう言ってその場を立ち去った。
田島は去った歩美の背中をずっと見ていた。


女子部屋
ガチャ
莉子は田島に隆也のことを聞いたあと、女子部屋に戻ってきた。
「あっ、あゆちゃん!
おかえりー。」
女子部屋には、
高校生
2年 有岡 鈴 (3組)・西村 夕凪(3組)
穂木 萌香(5組)

3年 上沢 歩美(6組)・中本 加奈子(2組)
綾部 奈美(1組)・床末 莉子

大学・専門学生
1回 半崎 葵 ・ 萩野 愛
丸山 桜

2回 大野 唯 ・ 山上 美優
飯塚 玲
の、合計13人が1部屋 3・4人に分かれている。
歩美は、高校3年組の4人部屋である。
一部屋6畳半の和室だ。
トントン
「飯塚だけど、ちょっと良い?」
「あっ。はーい。」
襖を開けると、大学2回生の3人がいた。
「お風呂、女子からなんだけど
順番とか決めてないし、若い子からって話になって言いに来たの。」
淡々と飯塚は言っていく。
「ちょっと 玲!
怖いって。パワハラだよそれ。」
飯塚の話を止めたのは、同じ大学2回の
大野 唯だ。
玲は唯の方をチラリと見て、また話し始めた。
「…時間とか勝ってに決めさせてもらったんだけど、高3は18:00から、
ちなみに夕食は19:00だけど、遅れてきてもなんら問題はないから。」
「玲のパワハラ。
お風呂1時間しかないなんて
ありえないよねー。
それじゃ、お邪魔しましたー。」
嵐が去ったように静かになった。
「…莉子、唯先輩好きだなー。
何か可愛いし!みんなは?」
莉子は、部屋の静まりを無くすために話題をふった。
「先輩達ってみんな美人で可愛いよね。」
加奈子が微笑みながら言った。
「うんうん。そーだよねー!
莉子も見習わないとだね。」
「莉子ちゃんは十分だと思う。」
歩美は素直な意見をぼそりと言った。
「あゆちゃんありがとう!
あゆちゃんも可愛いよー。」
歩美は可愛いと言われ、顔を赤くした。
「…ふん。
冗談に決まってるじゃない。」
この一言で一気に気まずくなった。
気まずくなった原因を作ったのは、
綾部 奈美 である。
「わかってるわよ、それぐらい。」
歩美は奈美をジーっと睨んだ。
莉子はあわあわと落ち着かない様子だ。
「ふふっ、みんな可愛いってことで
良いんじゃない。」
場を和ましたのは、加奈子だった。

女子部屋 大学2回
「B班。2人亡くなったみたいよ。」
玲は深刻そうに言った。
「えっ。そんなぁ」
「えっ?1人は行方不明なんじゃなかったっけ?あれ?」
「…そうね。
私が間違えたわ、唯。」
「だよねー。驚いたー。」
いつまでも呑気な唯に、玲はため息をもらした。
「…あの〜2人は仲良しですね?
いつから仲がいいんですか?」
山上 美優がたすねた。
「「仲って」」
玲と唯は、互いを見た。
「高校の時にお互い知り合ったのよ。
唯が仲良くしてくれてるみたい。」
「いやーそれほどでもー。」
唯は嬉しそうに玲に擦り寄った。
「はいはい。狭いから寄らないの。」
そんな、2人のやり取りを微笑みながら見て、
「良いなぁ。」
と、美優は呟いた。
「えっ?じゃあ、美優ちゃんにも
抱きつくよ!」
「唯、美優さんが困るでしょ。」
「そーかなー?
美優ちゃんはどう思う?」
美優は微笑みながら言った。
「抱きつくの歓迎です!」
唯はすぐさま美優に抱きついた。
「ふっ…あんた面白いね。
私のことは、玲って呼んで、
私も 美優って呼ぶから。」
「はい!」

女子部屋大学・専門学1回
「あーっ。充電器忘れたー!」
「充電器って、今私たちが使っている
電子機器は、電話機能しかないのにどうしてそんなに消費してるんですか!」
「んー。何でそんなに怒るかな?
終いに怒りすぎて眼鏡割れるよ!
眼鏡ちゃん。」
「半崎 葵です。萩野さん。」
「!ちゃんと名前覚えてくれてたのね。
葵ちゃん!」
「いっ一応です!
別に同い年だからっ、仲良くしようかな〜なんて思ってませんから。別に。」
「…ツンデレなのね。葵ちゃん。」
ははっと苦笑いをした、萩野 愛は
部屋の隅で本を読んでいる
丸山 桜 に声をかけた。
「丸山 桜ちゃん。愛って呼んでね。
それでさ、充電器持ってない?」
「あっ。よろしくね。
充電器持ってるよ、はい。」
「ありがとー!
桜ちゃん優しいー!」
「そんなそんな。」
愛は充電器を借りたことに満足した様子で、充電器をさしながら
誰かに電話した。
「あっ、もしもしーお姉ちゃんだけど、
…うん。うん。そっか、楽しくしてるんだね。
うん。うん。はいはーい。じゃあねー。」
愛が電話を切ると桜が話かけてきた。
「ご家族に電話?」
「そーなの。弟にね!」
「弟おもいのお姉ちゃんなんだね、
愛ちゃん。」
「そーなのよ!15分おきに
電話してるんよー。」
ブラコンだと、葵は心の中で呟いた。桜は自身のカバンの中から一冊の本を取り出した。
「何の本?」
愛は桜の本に興味を示した。しかし本の中身に興味をしめしたわけではなく、生死をかける状況下でどのような本をもちこんできたのかなぜその本を持ってきたのかについて興味を抱いたのである。
「あっ、これは獣医専門書なの」
桜は葵に見えるように本を見せた。
「獣医になりたいの?」
「うん。難しいけどね」
桜は少し困った顔をして答えた。
「私のペットがね、、家にいるの。きっといろんな人の家族がまだ家に取り残されているとおもうの。彼らは人じゃないしただのペットだって思もう人もいるとおもうの。、、でも命は人でも動物でも同じだと思うの。わたしがこれに参加したのはね、彼らを救いたいの。きっと寂しくて不安でおびえていると思うの。、、なんて、そんなことできないのにね」
桜は死亡者が出たことから自身の命の危険性を目の当たりにしていたので、悲しそうに話した。葵は桜の話を聞いたが自分が何を答えたらよいのか言葉が浮かばなかった。
「やろうよ桜ちゃん」
数分の沈黙を破いたのは愛であった。

女子部屋 高校2年
「お風呂1番に入るみたいだよ!
入りに行こうよ?」
有岡 鈴は、同室の2人に尋ねた。
「うん。行こ行こ!」
「…。」
西村 夕凪は、スタスタと2人の前を通り過ぎた。
「あっ、西村さんも一緒に行こうよ。」
「何で?」
「えっ…みんなと行った方が楽しいよ。」
鈴は、夕凪に尋ねた。
「何で?」
「…ごめん。」
夕凪はそのまま脱衣所まで歩いて行った。
「有岡さん、鈴ちゃんって呼んで良い?私のことは 萌香って呼んでよ。
西村さんのことは気にしないでおこう。」
「…うん。」
鈴は納得いかない様子だったが、
萌香の言葉に同意した。


田島は歩美と話した後、
数分その場で、歩美が去った後を見つめてすぐに部屋に戻った。
部屋の襖を開けた瞬間、満面の笑みで
萩野が迎えていた。
「りゅう〜おかえりー。
何してたんだよー。」
田島は、部屋の中に入り自分の荷物を整えながら呟いた。
「…上沢と話した。」
「へー。仲いいのな、お前ら。」
田島はジロリと睨んだ。
「えっ?りゅう と上沢って仲いいの?」
同室の京介が田島に尋ねた。
「…悪くはない。」
田島は、京介の質問に答えた。
「悪くはないって…くくっ…
お前ら幼馴染じゃんかよー。
家も近所なのにな。」
「えっ?そうなのか 蓮?」
「おう!そーだぜ。」
田島は、同室の隆也を見ていた。
隆也は田島の視線に気づく、
「…?何だよ田島?」
「大國は興味ないんだなこの話。」
「??興味持ってほしいのか?」
「いいや。」
隆也は田島に話しかけらたことにも疑問を抱いたが、田島の話に興味がないか?などと聞かれ困惑している。
(田島?…よくわかんねぇ。)
「おい〜蓮!今ちょうど、1年の女子が風呂に行ってるんだって!」
「えっ!風呂!
この付近は危ないから警備が必要だよな。よしっ、俺らが危険から1年生達を守りにいくぞ!」
「蓮…ただ単にのぞきしに行くだけだろお前。」
「は?もちろんじゃん。
別に京介は、来なくてもいいかんな。」
「なっ何でだよ!
どーせなら、俺もお前らの見張りとして行くし。どーせなら。」
「ははっ、蓮 こいつ面白いな!
俺らまだ同室の奴をちゃんと分かってないから、自己紹介しねぇ?」
「良いねぇ。採用!
改めまして、萩野 蓮(はぎの れん)です。
女の子が大好きです!よろしくなのな。」
蓮が自己紹介を始めた。
「正木 京介でーす。趣味は野球です!
どーせなら仲良くして下さい。どーせなら。」
「はいはーい。
川谷 広也(かわたに ひろや)です!
元サッカー部です。
好きなものは、サッカーです。
よろしくッス。」
「今出 大地(いまで だいち)。
野球部投手。」
今出は自己紹介すると、隆也を見た。
隆也は、始めてみる顔ぶれで覚えることに専念していた。
「田島 竜士(たじま りゅうじ)。」
「りゅう 素っ気ねぇのな。」
蓮は苦笑いで呟いた。
「大久保 真和(おおくぼ まさかず)です。
のぞきなんて絶対阻止しますからね。
よろしくお願いします。」
「あははっ、阻止されないように気をつけるかんな。
ほい、最後 隆也だろ。」
隆也は蓮に言われ自己紹介した。
「大國 隆也です。
よろしく。」
隆也は、2人の視線に気づいた。
「…何だよ。
田島と、今出。」
「別に。」
田島は、答えた。
「りゅう はわかるけど 大地は何で
隆也を睨んでんの?」
蓮が隆也と今出を交互にみた。
「…気に食わねぇんだよ。こいつ。」
隆也は今出の言葉に疑問を抱いたが、
冷静に一言言った。
「くだらねぇ。」
「はっ?何がくだらねぇんだよ。
お前の方がくだらねぇだろ。」
「自分が気に食わないってだけで
すぐに人を嫌うことが
くだらねぇって、言ってんだよ。」
「何だとっ。」
今出が隆也に手を出そうとしたので、
京介と蓮がそれを止めた。
「落ち着けよ!大地!
冷静になれよ。何でそんなに隆也を嫌うんだよ。
どーせなら、仲良くしようぜ。
どーせなら。」
「京介の言う通りだ。取り敢えず冷静になれよな。
てか、りゅう も見てないで止めろよな!」
田島は蓮に呼ばれ、胡座を止めて立ち上がり、今出の利き腕でない方の肩をつかんだ。
「やめろ、今出。」
今出は田島にやめるように言われたので、しぶしぶ隆也から顔をそらし
その場に座った。
「何なんですか?君たち。
争いごとは他所でして下さいよ、
まったく。」
大久保は、冷や汗をかきながら呟いた。
「まぁまぁ、…おっと、それじゃ
女子風呂行って来まー!」
蓮は、襖を開けっ放しにしたままで
廊下に飛び出した。
「あーっ。俺も行くし!」
「どーせなら俺も行く!どーせなら。」
「君たち何を言ってるんですか!
あっ、待ちなさい!」
蓮に便乗した京介、川谷 広也を止めるべく、大久保 真和も廊下に飛び出し、3人を追いかけた。
部屋には 隆也・田島・今出の3人が残った。
部屋は静まりかえっていた。

気まづすぎる…今出には知らない間に嫌われてるし、田島は…よくわからん。
京介 早く帰ってこいよ、クソう
こんなにも京介を求めているのは屈辱的だ。
隆也は、部屋の気まづさに押しつぶされそうである。
トントン
「お邪魔しまーす。」
そんな隆也を救ったのは、倉間である。
「倉間さん!どうしたんですか?」
「んーとね、女の子達が夕飯の準備してくれるみたいなんだけど、任せっきりも悪いでしょ、だから日替わりで夕食の準備手伝うことにしようと思って、まずはA班からしようかな〜ってことで 隆也くんと京介くんを呼びに来たんだよ。」
「いきましょう 倉間さん。
今すぐ行きましょう。」
隆也は倉間の肩を掴みながら言った。
「えっ、でも京介くんは…」
「京介?誰ですかそれ。
ははっ、取り敢えず行きましょう。」
倉間は隆也に圧倒されるがまま、台所に連れていかれた。
台所では、大学二回の3人が夕飯のしたくをしていて、それを見守るように間宮が入り口に立っていた。
「間宮さん?どーしたんですかっ?」
「あっ、倉間さん。いや、何かお手伝いできるものはあるかとおもったんですけどね…」

数分前 台所
「ありません。」
「えっ、でも何か手伝えることとか…」
「結構です。」
「もう!玲 怖いよ!
せっかくお手伝いしてくるって言ってもらってるのに。」
倉間は手伝いをしようと試みたが、それをことごとく玲が切り捨てていたのである。
玲は唯に言われ、少し考え
「考えましたが手伝ってもらわなくてもすみますので、お気遣いだけもらっておきます。」
と、間宮に言い放った。

「はぁ。大変だったんですね間宮さん。お疲れ様でした、とか言ってみたり。」
間宮はシュンと肩をうな垂れていた。
隆也は、大学生3人に歩み寄った。
玲はそれに気づき向き直る。
「手伝います。見る限りオムライスを作っているみたいですけど、米を炊くのは数回行うでしょう。」
「…助かるわ。手伝ってちょうだい。」
隆也は頷きながら腕まくりをして、台所に歩み寄った。

「「いただきます。」」
隆也を含め大学3回生達の料理は、食卓を彩っていた。
「隆也ー!何で言ってくれなかったんだよー。どーせなら、俺だって手伝いたかったしー。
しかも、蓮の奴 風呂場に居なくて俺らだけ疑われたんだぜー。」
「京介煩い。駄まって食え。変態。」
「うわっ!酷ぇぇ。」
京介は、蓮がいるであろう風呂場に行ったが蓮はいなく、高校1年生から冷めた目を浴びされていたのだ。
「くそーう。蓮に嵌められたー。
どーせなら、隆也も共犯になれよ。
どーせなら。」
「くだらねぇ。自分の罪を認めてるじゃねぇか。」
蓮は 広也達と夕飯を食べていた。
「蓮。お前どこにいたんだよ。」
「ん?どっか。てかてか、お前ら覗きに行ったんだってな。
くくっ…爆笑なのな。」
「お前にやられたよ。
この仮はいつか返す。」
「いや、結構です。」
食事が進んでいる中、倉間が席を立った。
「お食事中少し話があります。」
みんなは倉間の話を聞くため、手を止めた。倉間は聞く体制になったことを確認して、話し始めた。
「今日、探索中にB班がキメラに遭遇しました。その際に、B班は2人少なくなってしまった。B班は壊滅的だから、B班の人達を他の班に割りふろうと思うんだ。
良いかな?」
隆也は京介を見た。
京介を1人にしておくのは危険だ…
あいつ、すぐ気絶するし…
「あの…きょうす…正木と同じ班にしてもらえないですか?」
「隆也〜」
京介は心底嬉しそうに隆也を見た。
その瞬間 京介は殺気を感じ、周りを見わたした。
(何だったんだ…今の?ちょー怖えー)
京介を睨んでいたのは、歩美であった。
(正木…潰す)
「うん。じゃあ、この後B班の人はこの場に残ってください。
それでは、お食事を続けてください。」
倉間の言葉でみんな箸を動かした。
「歩美良かったね。」
佳菜子は歩美の隣りに座っており、歩美に耳打ちした。
歩美は佳菜子の言った意味が理解しておらず首を傾ける。
「大國くんと同じ班になれるかもよ。」
意味を理解した歩美は少し微笑み
「…うん。」
と小さく呟いた。
食後、B班はその場に残り今後のことを話し合った。
「竹中さんと重本さんのことは気の毒だとおもうけど…」
「重本さんが気の毒?」
倉間が話だした直後に隆也が倉間の話を遮った。
「重本さんはまだ生きています。
気の毒なんかじゃありませんよ。」
「…隆也くん。もうここは、以前の時松市ではないんだ。危険な場所なんだ。こんな場所で1人でなんて生きていけない。君だってわかっているだろ。」
「…わかっていません。だから俺はここに居るんです。
母さんを探すためにここにいるんです。」
「…隆也」
京介は隆也を気遣った。
「とりあえず、今後のB班の事を決めましょう。倉間さん。」
「…そうだね。考えたんだけど、やっぱりB班の人達を他の班に割り振ろうとおもうんだ。
もちろん、隆也君と京介君はセットでね。」
「はい。それが妥当だとおもいます。」
隆也は頷きながら倉間に答えた。
「うん。じゃあ、隆也君たちはA班に来てもらおうかな。間宮さんはC班に。

この時隆也は1人、心の中で決心していた。

部屋に戻った隆也と京介を蓮達は待ち構えていた。
「おかえりー。んで、何話したのな?」
蓮は2人を座るようにして話を促した。
「班割したぐらいだけどな。」
「そうそう。ちなみにちなみに蓮達とは別の班だぜ。
どーせなら、一緒の班が良かったし。どーせなら。」
「京介はスルーして。そっか、お前らの班壊滅状態だったのな。」
隆也と京介は思いつめた表情をした。
蓮はそんな2人を見て話題を変えた。
「はーい!ここで、あいうえお作文しまーす!いえーいなのな。」
「はぁ?あいうえお作文?」
「ノリの悪い隆也も強制だかんな。」
「はぁ?…くだらねぇ。」
「蓮、お題は?」
広谷が聞いた。
「お題は〜、Y・K・Tなのな。」
「はぁ?毒ガスじゃねぇか。」
隆也は食ってかかった。
蓮はそんな隆也の言葉をスルーした。
「はーい!俺から行くのな‼
Y:ヤンキーに
K:京介
T:たかられる」
「ふざけんなよ‼蓮‼
どーせなら、
Y:やっぱり
K:京介
T:たくましい。
だろ、どーせなら。」
「「…」」
静寂が室内を包んだ。
「Y:やっぱり
K:京介
T:タイキック」
蓮が呟いた。
「はぁ?蓮ムカつく‼」
蓮は笑って、田島に話をふった。
「りゅうは無いのな⁇」
「…Y:や
K:きゅうは
T:楽しい」
「「何かおかしい」」
田島を除く全員が言った。
田島は考え、また発言した。
「…Y:や
K:きにく
T:頼む」
「「誰にだよ」」
蓮は頭を抱えた。
「広谷は何かねぇのな⁇」
「ん?俺?うーん。
Y:やぁやぁ
K:君たち
T:罪を償え。」
「「怖い怖い怖いわっ‼」」
「ん?そうか?わかんね!
あははっ。」
広谷の笑顔は爽やかだった。
「君たちまったくと言って良い程センスが無いですね。」
口を挟んだのは、大久保 真和である。
「ん?ん?じゃあ、大久保言ってくれなのな。」


「道路に瓦礫が落ちているから、足元に気をつけてね。」
「「はい。」」
倉間を先頭にA班は前に進んで行った。
歩美は、同じ班になった隆也をジッと見つめていた。
その姿を加奈子は優しい瞳で見ていた。
「なぁなぁ、隆也」
京介は小声で隆也を呼んだ。
「何だよ。」
「…上沢ちょう睨んでねぇ?」
「え?」
隆也は京介に言われるがまま後ろにいる歩美を見た。
歩美は、前に歩いている隆也が急に振り向き自分を見てきたので驚いていた。
「…あー。たしかに見てるな。
何でだ?」
「俺よく睨まれるんだけど、
どーせなら、りゅう睨めよな
どーせなら。」
「?何で 田島?」
「何か蓮に聞いたんだけどさ、
上沢とりゅうって家が近所で幼馴染何だって。」
「へぇー。仲良いのか。」
「そうそう。もう家族ぐるみで仲良かったんだってさー。」
「へぇー、あの田島が…」
隆也は、中学時代に野球をやっており田島や蓮とはチームメイトであった。
さらに、田島と隆也はバッテリーを組んだ仲であり、お互いのことは少ながらず理解し合っていた。
田島は口数が少ないが、伝えたいことはハッキリと言ってくれるやつだ。
しかし、改めて隆也は田島のことを知らないんだと思った。
時松科学研究所までは、車で45分はかかる距離で、それに道は爆風により瓦礫だらけで通りにくい。
そして、いつキメラに襲われるかわからない状態だ。
そんな中、隆也はある事を決意していた。隆也は京介に耳打ちした。
「おい。京介。」
「んあ?何だよ隆也。」
「バカ。声でかい。」
「仕方ないだろ。ガスマスクしていて聞こえにくいし、喋りにくいし。
それで、どうしたんだ隆也?」
隆也は思い詰めた表情で京介に言った。
「…今日、俺は行こうと思う。」
京介は隆也の様子を見てただならないことだと感じとった。
「…行くって?」
京介は薄々答えをわかっていたが隆也に尋ねた。
「…家を見てくる。母さんがいるかもしれないから。」
隆也の答えに、やっぱりかと思い、京介は肩をおとした。
「隆也…お前は俺に何て言って欲しいんだ?行ってらっしゃいとでも言って欲しいのか?
言うわけないだろ、引き止めるに決まってるだろ。」
京介は隆也を睨んだ。
「何も言わず見送ってくれたらいい。
そんなことより、俺はお前が心配だ。俺がいなくても大丈夫か?
いや、大丈夫なわけないな。くそう…どうすれば…」
「おい!隆也‼俺のことは良いから自分のこと考えろよな‼
俺も付いて行ってやるよ。
しゃーなしなしゃーなし。」
「は⁇足手まといだから良い。」
隆也はさらりと答えた。
そして、強い眼差しを京介に向けた。
「母さんを探すために俺は来たんだ。頼む、何も言わず行かせてくれ。」
「…」
隆也と京介は互いを見ながら沈黙だけが2人を包んだ。
「何か言えよ。バカ。」
「えっえっ⁇いやいや、何も言うなっていっただろ!えっ⁇
俺が悪いの?」
隆也は京介をからかい、笑みを深めた。そしてすぐ、厳しい顔をして京介に言った。
「とりあえず、俺は今から母さんを探しに行くから、みんなを誤魔化してくれ。」
「わかった。タイタニックに乗ったつもりで俺に任せろよ!」
(沈没するじゃねぇか…)
隆也は心底心配だった。
「じゃあ、…またな。」
「……また後で!」
隆也は京介に背中を向けて走った。
「…またな…隆也」
京介は隆也の背中に呟いた。
そしてその一部始終を歩美は見ていた。

A班
桜は獣を鳴き声を耳にしてその場に立ち止った。そんな桜の様子を見ていた葵は数秒考え息を吐いて桜に歩み寄った。
「桜ちゃんどうしたの?みんないるから大丈夫だよ」
桜は葵に気遣われていることを悟り、首を横にふるう。
「ごめんね。大丈夫」
桜は

ろーる

ろーる

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted