電脳惑星
はねたまごとの出会い
基は0であり 1である。
基は無であり 総である。
基は勝者であり 敗者である。
基は生者であり 死者である。
この世界は構築する、たった2つを見詰める星。
この言葉を、夢の中で私は聞いた。
そして、夢から覚めたとき私は考えた。
基は人間であり ・・・・今は?
まだ、私は信じれていない。
基は人間だった自分を鏡で見る。
普通の女子高生・・だけど違うんだ。
半年前まで、私は普通に学校に通っていた。
柏木 鈴花(かしわぎ すずか)私は、
一人の学生として 勉学に励み、部活に励み
友達との他愛も無い話をしては盛り上がり
一人の人間として 毎日を刺激の無い日々を
平凡に暮らしていた。
そんな私に異変が起きた。
平凡な毎日に飽きていたその頃、ある噂を耳にした。
「私さ、昨日見ちゃったんだ?」
帰宅途中のバスの中私は何気なしにその子達の話しを
聞いていた。
「え?何見たの??もしかしてさ・・有名人とか!?」
「違うわよ?そんなのよりもっと凄いもの!!
『はねたまご』よ!!」
重要部分を小声で話していたため上手く聞き取れなかったが・・・
え、はねたまご?自分の頭の中で考えた。
たまごに・・羽が生えてるのかな?
私は、普通の鶏の産む卵に黄色いヒナの羽が生えてるのを想像した。
自分で想像したものの・・・うわっえぐっ・・
そうこうしてる間に私は自分の降りるバス亭についた。
いつもならこのまま家へ直帰なのだが。
今日は何故かいつもと違う道へ足を進めた。
人気の無い道・・静まり返った公園。
私は何も考えずに公園に入った。
ブランコに座り休み時間の他愛も無い話を思い出し一人で
ニヤニヤしていた。
恐らく傍から見れば不気味な人だっただろう。
そろそろ帰ろうかと思い顔を上げたその時、ぶわっっと私の
真横を何かがもの凄い速さで通った。
一瞬の事で何も言えずポカーンとしていると
近くから声がした。
『アナタは・・今の生活に満足してる?』
私は周りを見渡し叫んだ。
「だ、だれ!?どこにいるの?」
そして、その声の主が私の目の前に現れた。
真っ暗闇な公園の中、淡く光その物体。
「たま・・ご?」
その光卵は半透明な中身は綺麗な海の様なものが
中に入っていた。
そして、何よりも吃驚したのは・・・
「羽が・・ある・・あなたが『はねたまご』なの?」
そう、バスの中で女の子達が話していた『はねたまご』
自分で想像していたのとは全然違う。
幻想的で綺麗で見とれてしまう・・・。
『ワタシは、アナタに刺激的な毎日を送ります。』
そう言い残すとはねたまごはスウッと消えてしまった。
この出来事で私は人間から
人間ではないなにかに生まれ変わるのだった。
平凡な毎日との別れ
朝、目を覚ますと私の首にはアミュレットがあった。
「あれ?こんなのつけたっけ?」
と、思いながらもその綺麗なアミュレットに見とれていた。
魔方陣の様な形に真ん中には丸いガラスがはめ込まれ、中には
黄色い液体が入っていた。
「凄く綺麗・・吸い込まれそう・・・」と思ったその時、
本当に吸い込まれたのだ。
アミュレットの中では無く、眩しい光が私を吸い込んでいく。
私はその眩しい光に負け目を瞑った。
『鈴花さん・・鈴花さん・・・』
誰かが呼ぶ声に気付いた。
目をあけるとそこは…
「な…にここ…」
辺り一面に水滴のような物が浮いていた。
色は青、赤、オレンジなどいろんなものがあり、一際大きく目立ってる水滴が
私の方に寄ってきた。
『それでは、鈴花様。中央遺跡へまいりましょう。』
私は声の主が誰だかわからないまま、その場を離れた。
移動中は電子やらなんやらが私の周りに渦巻いていた。
中央遺跡に着き、私の目の前にガラスで出来た様な女性が現れた。
『初めまして鈴花様。ワタクシは、鈴花様専用の遺跡のナビゲーターで御座います。』
遺跡のナビゲーターは一礼をして、続けた。
『鈴花様。"電脳惑星"へようこそ。鈴花様には大地のアミュレットをお送りしました。
これからの日常で起こる事件。頑張って解決してください。』
そう言われ、私は月のアミュレットを一度見た。
すると、真ん中に大きなヒビが入ってる。
「あれ?ヒビが・・・さっきはこんなの無かったのに…」
私がそう呟くと、遺跡のナビゲーターは
『先程の移動の時かもしれません。
月のアミュレットを修復します。』
ナビゲーターはそう言い、中央遺跡の麓まで来た。
間近で見ると凄い迫力だ。
麓には小さい電子の渦があった。
「これ・・・なんですか?」
私が質問すると、ナビゲーターは、
『これがアミュレットの修復地、休眠区域です。
ここにアミュレットを付けたままの状態で、入って下さい。』
私は言われるがままに入った。
すると、ものの5秒でアミュレットがさっき見た時と変わらずのままに戻った。
そして、私の身体にも異変は起きた。
透き通った黄色の羽根が、私の背中から生えたのだった。
「ひゃっ・・・なにコレ・・・」
私は悲鳴にも似た声で呟いた。
『この世界は歩くより飛ぶ事が多いのです。羽根があると何かと便利ですよ?
後、羽根が出ている時のみに魔法が使えます。』
「魔法・・ですか・・・」
そんなのアニメや漫画の世界だけだろうと思っていたので、
あまり信じては居ない。
『表の世界でも夜になれば羽根を出すことは可能です。』
そう聞いたときふと疑問に思った。
「でも、表の世界で飛ぶ理由があまりわからないんだけど・・」
私のその疑問でナビゲーターの雰囲気が少し重くなったと感じた。
『表の世界にも鈴花様と同じ様な方が増えつつあります。
その中でも一番に危険なのが、ここ"電脳惑星"の裏の世界の方です。
皆黒い羽根をつけているのでスグにわかるかと思いますが・・・
あの人たちには気をつけてください。』
そういい終わると、今日はここまでです。とナビゲーターは言い、
消えていった。
私も気が付いたら朝のベットの上に座っていた。
電脳惑星