空-sora-
いつもの帰り道、やはり、ふと、空を見上げる。
そんなことすれば足元が覚束なくなり、危ないだなんて毎日のことだからわかってるのに。
やはり、毎日見上げてしまうのです。
6/11 今日は私の誕生日です。お母さんが大きなケーキを作ってくれて、友達にもたくさんプレゼントをもらって、幸せな一日でした。夕焼けが綺麗できらきら輝いていました。
6/23 今日、友達と喧嘩しました。私は彼女のことを親友と思っていたのに、彼女のほうは違ったようです。今日は酷い雨で、傘で防ぎきれなかった雨でびっしょりです。うんざりです。
6/28 今日は体育祭でした。梅雨らしくじめっとしていて、あまり体育祭日和ではなかったけど、日差しがなかったので運動するには丁度いい感じでした。
7/2 今日から期末テストが始まりました。あまり勉強はしてないけど、なんとかなりそうです。ここのところずっと曇りか雨で、お日様を見てない気がします。
7/18 今日から午前中授業です。あれからあの子とは一言も口を聞いていません。今日はたまたま目があって、睨まれるでもなくスルーされました。まだ梅雨は明けず、しとしとと雨が降り注いでいます。
7/20 今日は終業式でした。明日から夏休みです。あの子と毎日顔を合わせなくていいと思うと、少し心が軽く、スッキリします。今日は狐の嫁入りでした。変な天気…。
8/20 明日は始業式です。久々に友達に会えると思うと嬉しい反面、あの子とも否が応でも顔を合わせるとなると少し沈みます。それだけじゃなくて、あの人の…いえ、これはしまっておきます。今日は夕焼けが凄く神秘的な色をしていて、心がぽっとあったかくなりました。
8/21 今日は始業式でした。久々に友達と会えてとても話が弾みました。あの子のことは、夏休み中にお互い心の整理が付いていたのか、軽く挨拶を交わしてそれっきり、でした。そして、やはり、あの人と目が合うと、いえ、声を聞いただけで本当に久しぶりでたった一ヶ月なのにとても長い間あっていなかったように感じられて、心がふわっとあったかくなりました。やっぱり、私は…。帰り道、やけに赤い夕焼けにドキドキしてしまいました。
あぁ、そんなこともあったなと微笑みながら日記を閉じる。
元から私は空というものが好きだ。
何にも邪魔されずに、最も伸び伸びと、それでいて神秘的で脆く繊細な危うさを持っていて…。
空は一分一秒でも同じ佇まいでいることはないし、表情だってずっと同じであることなどありえない。
私が空から感じるそれは写真にうまくおさめられない上に、今だってどう言葉で表現したものかわからない。
一言でいうと、とにかく綺麗なのだ。
美しい。心の底のほうからじんわりと言葉にしようのない感動が押し寄せるのだ。
例えそれが漆黒の夜空でもなんの変哲もない青空でも機嫌の悪そうな豪雨の日でも。
世界全体を包み込む、科学的にも証明されているそれに、私はこの上ない感動を覚えるのだ。
見る人によって、いや、見る人の心までも透かして見せているかのように、見え方や感じ方に差が出る。
人からすればいつもの晴れた青空でも私は毎日微妙に色が違うと感じる。
いや、それは日毎ではなく、本当に秒速、それ以上の速さで、だ。
そして、私達人類の言葉では表せられないような微妙で精巧で精密で優雅で浅くて深いコントラストを生み出す。
真っ白なんてもんじゃない。真っ透明だ。
真っ透明なキャンバスなのだ。
巨大で、広大で、寛容で、気分屋で。
あぁ、こんなにも身近あって、こんなにも素敵だ。
今日も、鳥が元気に鳴く朝を迎える。
勢いよくカーテンを開けると、少し雲がかかった青が頼りなさそうに迎えてくれる。
ほぅ、と息をつき、じっと眺める。
……今日も綺麗だ。
さぁ、今日は、明日は、明後日は、どんな空が見えるんだろうか。
空-sora-
はじめましての方ははじめまして。前作からご覧になっていただけている方はお久しぶりでございます。
前作をご覧になられた方は、文章の趣向の違いに驚かれたかもしれません。
この作品は、読んでいたらなんとなくわかった方もいらっしゃるかもしれませんが、私自身の話です。
日記部分も、私の実体験が元となっております。そして、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、私の『心』と『その日の空模様』がリンクしているのです。
不思議なことに、このリンクを含め、私の実体験です。
そこから、私はよく空を見上げるようになりました。
私はとても空が好きで、ふと見上げ、眺めては、干渉に浸っているようなそれは年寄りくさい学生なのですが、この感動をどうにかして伝えたい、と書き殴ったのが、この文章になります。
思うがままに書き綴ったので、結局何が言いたかったのかわからなかった方も多々いらっしゃるかもしれません。
文章中にもあるとおり、人によって感動の対象や見え方というのは大きく異なると思います。
私の場合は『自然の景色』が主に最も感動する対象です。
その中でも空がこの上なく好きで、この題材を選ばせていただきました。
もしかしたら、私が普段なんとも思わないようなところに酷く感動を覚える人もいるかもしれません。
それは、物であったり、景色であったり、誰かであったり、視覚的でなくとも聴覚的や感触的、味覚的であったり…と、本当に誰一人として同じ感覚を持つ人などいないのです。
この作品を通して、そのことが少しでも多くの人に伝われば幸いです。
それでは、感情むき出しの酷く荒れた文章になってしまいましたが…。
ここまでお付き合いいただいたあなたに最大級の感謝を。
またどこかでお会いできることを心待ちにしております。