場所

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「私には、居場所が無い」そんな悩みで、今の時代を生きている人達はどのくらい居るんだろう・・・・・。

これは、人間一人一人の居場所について、考えて書き綴った作品である。

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私は普通のよく居るサラリーマンである。 毎月の給料も貰え、なに不自由なく日々を暮らしている。

しかし私は自分には居場所がないことをよく感じるのだ・・・。

会社で確かに働いてはいるのだが、それも別に私でなければならないというわけでもなく、とって替われる人が居るから別に・・・・。

会社での私の扱いはそんなものであった。

このままでいいのだろうか・・・・。

私以外にもこのようなことで悩んでる人はたくさんいるのだろう。だから仕方ない。

しかし私は仕方ないでこのまま終わらせたくはなかった・・・・。

自分の居場所とはなんだろう。会社で必要とされること?友達や仲間が多いこと?彼女がいること?

いくつもの事柄が私の頭の中で、クルクルと回り始める。

考えてみてもどれもしっくり来ない。なぜかどれも違うような気がするのだ・・・。

会社で必要とされれば、確かに嬉しいだろう。

友達や仲間が多ければ、確かに楽しいだろう。

彼女が居れば恋愛などで確かに刺激もあるだろう。

だがどれも違うのだ、私の求める自分の居場所と言うものとは違うのだ。

その日はもう考えてたらわけがわからなくなり、とりあえず寝ることにした・・・・・。


 そして朝になりいつもどおり、会社に行く準備をしていた。

寝癖をなおし、顔を洗い、朝食を食べ、スーツを着た。

そうしてまた誰も居ない一人の部屋から私は出て、会社へと向かった。

その通勤中に小学生の4人の登校してる子供たちを見かけた。

なにやら妙なことに前を歩いている3人はランドセルを背負っていなかったのでおかしいなっと思っていると。

後ろの1人の子を見て納得がいった。

前の3人はその後ろの1人に自分たちのランドセルを持たせていた。

「おい!! さっさと歩けよ!! 学校に遅刻するだろ!!!」と前の3人の1人がその子に強い口調で言った。

「ごめんよ・・・。急ぐから・・・」後ろの子が言うと、「先に行ってるから、荷物落とすなよ!!」と言って前の3人はそそくさと先に行ってしまった。

「あ!」荷物を持たされていた子がつまづいたのと同時に声を上げて転んだ。 

ズシャ!! 私はその子に駆け寄り、声をかけた「大丈夫?」

「うん、大丈夫!!」その子は心配をかけないようにニッコリと笑って私に答えた。

「君はいじめられてるみたいだけど、辛くないの?」と私が訪ねると

その子は「辛くないって言ったら嘘になるけど・・・」「でも、これが僕の今だから、負けたくないんだ」と答えた。

その言葉を聞いたとき私の中の昨日までの悩みが吹っ切れた。

私はその子に言った。「学校はどこ?荷物半分持つよ・・・」

「でも、おじさん会社は?」とその子が言った。

「いいんだ・・・。君には恩があるから・・・・」私は答えた。

学校まで見送ったあと、私は急いで会社に向かった。

当然上司に叱られたが、私の表情は明るかった。

「お前・・・。何を笑ってるんだ!!!」と上司が声を荒げていった。

私は顔を真顔に戻し「いえ、すみません!!!」と答えた。

今日はいい日だあの子が教えてくれた、居場所は探すものなんかじゃなかった。

今、私はここに居る。良くも悪くもここに居る。そんな当たり前のことだけど、それが一番大事なことだった。

居場所は探すものではなく、気づくものだった。

ありがとう、少年・・・。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-24

Public Domain
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