Memory cell

身体、その細胞は知っている。
私たちが突然人間になったのではないことを。
今の自分が成り立つまでに、どれほどの長遠な生物の営みがあったかを。
人間は生物の営みの、ほんの一部を成す存在かもしれないけど
それでも全体の中で欠くことの出来ない、一部であることを。


魂の私は、身体を勝手に乗り回し
人間社会が嫌いだからって、見捨てるようなことも考えていた。
それは人間の精神の自分勝手のような。
身体の私は、病を期に教えてくれたのかもしれない。
一生命として責任持って生きることを。


人の精神は何事にも自己中心的な視点で考える。
それが地球のバランス、生物のバランスを崩してゆくような…
人が意図すればするほど壊れてゆくような…


身体は、その細胞は知っていて、自分勝手な精神に教えてくれる。
自身の存在がどれほどの生物の営みの
微妙かつ絶妙なバランスの先に成り立っているのかを。
そして、あなたという、その一点も、この先の道しるべなのだということを。
この器あってこそ、こうして自分として感じられることの奇跡を。

Memory cell

Memory cell

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-08-21

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