地元才能発掘書店
地元才能発掘書店
昭和47年年ここ金沢文庫に創業した岩下書店。
そのルーツは昭和7年の静岡までさかのぼります。
岩下書店二代目岩下長次郎は明治32年東京日本橋に生まれました。
生家は江戸日本橋で歴史を誇る魚問屋。
小さいころから魚に慣れ親しんだ幼少期をすごしました。
そんな祖父長次郎に大きな転機が到来します。
時は1923年 そう関東大震災です。
そのころ長次郎は日本橋人形町交差点角で木村書店を営んでいた兄松太郎
が北海道へ出征した留守を守り書店業のキャリアをスタートさせていました。
そんなさなかの関東大震災
祖父の住まいのある東京日本橋も大きな被害を受けました。
一面焼け野原の東京。
財産をひとつ残らず失った木村松太郎は、以前の主人であった福岡登良雄の招きで静岡へ移るのでした。
長次郎もまた兄を頼り静岡へと移り住むこととなりました。
そして福岡登良雄が営む東京堂書店に大正13年兄とともに入店するのでした
新たな土地、新たな仕事。元来真面目な明治生まれの日本男児。朝から晩までそれは一生懸命働いたそうです。
そんな忙しい中、また大きな人生の転機が訪れるのです。
将来の妻となる「美和」との出会い。
「美和」の父は静岡の事業家でいくつかの事業を営んでおりました。
その中のひとつに書店「岩下勉強堂」があったのです。
「美和」と結婚し婿となり「岩下勉強堂」の二代目となったのです。
折りしも時代は太平洋戦争前のきな臭い時代。そして太平洋戦争へ。
今では想像もつかないくらいの苦労があったと聞いています。
苦労の絶えない時代でしたが、7人もの子宝に恵まれるという幸せもありました。
その中の一人が三代目岩下寛治だったのです。
戦中の混乱期に幼少時代をすごし、中学から名門静岡商業高校を卒業の後、父の事業である
岩下書店を継いだのです。静岡時代は持ち前の人柄の良さを生かし、外商(店舗外での販売)をバリバリとこなし
「外商の岩下」と周りから恐れられていました。
そんな中、仕事にも慣れ、徐々に「独立」したいという願望を持ち始めていました。
「独立」その大きな野望は「一旗あげるなら首都東京で!」と若き青年の志は日に日に大きくなるのでした。
様々な方策を練っているときに、ひとつの話が寛治のもとへ入ってきました。
「横浜の金沢文庫という場所で新しくショッピングセンターがオープンするのだけど
そこで書店の出店者を探している。1回話を聞いてみないか?」
渡りに船とはまさにこのこと!早速いろいろ調べてみると、金沢文庫は日本で最古の図書館のあった場所。
「そんな本と由来のある街でお店をもてるなんてなんてすばらしいんだ!」
「しかも、いま最も話題になっているショッピングセンターに出店できるなんて!!」
と、喜び勇んで正式に出店することになりました。
二代目長次郎も自分が生まれ育った日本橋に程近い場所で息子が書店を開いてくれることに
とても喜んでいたそうです。
二代目長次郎と同様三代目寛治も、今まで慣れ親しんだ静岡を離れ、未知の地横浜へ行くことはたいそう不安だったそうです。
しかしその不安を断ち切るがごとく開店準備に奔走し、1972年(昭和47年)9月 バザール金沢文庫内に岩下書店はめでたく
オープンしました。
オープンこそ華やかだったもの、年末12月までは予想通りの売上まで届かず悩みと不安で眠れぬ夜をすごしたといいます。
しかし、お客様のおかげでその後売上も順調に推移し現在まで30余年金沢文庫で書店を営まさせていただいております。
そして、ユニー開店とほぼ時を同じくしてこの世に生を受けました四代目 私、岩下雅紀。
初代、二代目、三代目の想いを胸に更なる発展とお客様に愛される書店を目指し日々勉強させていただいております。
○当店の象徴である二つのシンボルマーク
そのひとつがこちら○に本のマーク。
本はもちろん「書物」の本の意味はもちろんですが
《本当の》本屋
金沢区で 《主要な》本屋でありたい。
そんな想いをこめて作ったシンボルマークです。また初心を忘れないため
初代創業当時のロゴマークも復活させました。
昭和3年当時の岩下書店
一番左端が二代目長次郎、左から三人目が妻 美和
もうひとつのシンボルマーク(蝦蛄)は
地元金沢にゆかりのあるものと、先代たちの想いを忘れないという気持ちをこめて
金沢が誇る名産「蝦蛄」をシンボルにした家紋を作成いたしました。
二代目長次郎が日本橋の魚問屋の出身で江戸っ子。金沢柴産の蝦蛄も江戸前として名高い名産品。
二代目の想いを昇華し金沢の名産を本を通じて数多く生み出したい・・・・
そんな想いをシンボルにしました。
昨今、大型書店や、ネット書店の台頭により町の本屋の存在意義が薄れてきています。
岩下書店は地元「金沢・横浜・湘南」に根ざした書店として、才能豊かなこの地域に眠る数多くの才能を発掘し、皆様にとってなくてはならない存在に
なってゆきたいと考えております。
4代目
岩下雅紀
地元才能発掘書店