星の下、路の上
書くべきことがない。
空っぽである。
疲れた身体に鞭打ち、家路を急ぐ。
この暑さのせいか、とにかく空っぽである。
潔いほどの空っぽさだ。
なんにも考えられない。
ヌルめのシャワーを浴び、缶ビールのプルトップを引く。
ただそれだけが今の僕に必要なことだ。
iphoneはさきほどからユーミンの「ひこうき雲」をリピートしつづける。
公開初日から何度も足を運ぼうと思ったジブリの「風立ちぬ」
いまだに行けてない。
映画を見ようという気力が萎えている。
いやいや、そもそも映画を映画館で見ようという気さえ萎えている。
そんな自分が腹立たしい。
街灯の灯かりにふと立ち止まる。
「こんな人生で良かったのかよ・・・」などと思ってしまう自分に更に腹が立つ。
空を見上げる。微かな星空。
そういえば火星旅行の乗組員を募集していたな、片道切符の・・・
帰る当てのない旅路・・・行きに十ヶ月かかるそうだけれど、火星に無事に降り立ったとしても水も食料も???だらけ・・・。
そういう旅路にはどんな覚悟がいるのか、
星の下、路の上・・・帰ったらとにかくビールを開けよう・・・。
星の下、路の上