レストランにて

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ケーキは別腹なの~

「ケーキは別腹なの~」
と、言って彼女は、口の中に右手を突っ込んで、胃袋を引っ張り上げた。
「ぐぇ……きゃ、きゃ、きゃほんっ」
可愛らしい声と一緒に胃袋が口から吐き出される。
私の彼女の名前はミッチョン。
やっぱりミッチョンは可愛いのだ。
いや、カワユイのであった。
ミッチョンの右手には二代目石光屋製の「ストマックアルファーセカンド」が握られていた。
ドクドクと脈をうつストマックアルファーセカンド。
人工食道と胃を繋ぐ筋肉には連結部品が取り付けられており、ミッチョンはそれをパチリと外したのだ。
ミッチョンは何やら鞄の中をゴソゴソあさりだした。
どうやらヘブライ屋スター製の「ハイウェイストマック7号」に付け替えるらしい。
「う~」
ミッチョンは唸りながら、連結部をパチンと繋いだ。
「ぐぅえっ」
「ミッチョン大丈夫?」
私はミッチョンが口に胃を右手で押し込んでいる姿を見て、声をかけた。
「ぬぐぐぐぐ…ぐがががが…ごくっ、あ~、あー、うん・・・スッキリした!大丈夫だよ♪」
どうやら上手く胃を飲み込めたようだ。
「どうして胃を交換したのさ?ミッチョン」
「え?タロちゃん知らないの?」
「何が?」
「ハイウェイストマック7号の方が、脂肪吸収率が低いのよ…」
「あっ、そうなの。さすが女子だね」
「常識よ、ジョーシキ」
そういうとミッチョンはケーキを食べ始めた。
「タロちゃんは食べないの?」
「いや、なんだか調子が悪くてね…食欲が無いんだよ、なんか頭が痛いんだよ。何かの神経とかが高ぶってるのかなぁ」
「うーん、なら、余計に心配だから食べなきゃ」
「うん、そりゃそうなんだけど…」
ミッチョンは大きな口でワシワシとケーキを食べている。
「じゃあ全自動治癒脳髄「改善丸4号」使えば?」
「え?何?改善丸4号?それ効くの?」
「効く効く、ちょっとやったげるからっ!」
「えっ?わっ、ミッチョン何をするつもり?え、なに?わ、わわわ」
ミッチョンは力任せに私の後頭部をビンタした。

バチーン!

すると、私の鼻の奥で連結部がパチンと音を立て…

チュルン。

鼻から一般系脳髄屋製の「脳チャマ髄髄」が飛び出した。
「わわわ、ミッチョンがいきなり叩くから鼻から脳髄が飛び出しちゃったよ」
「いいから!いいから!で、これを鼻から吸ってごらん」
ミッチョンは力一杯私の鼻に改善丸4号をねじ込み、私のオデコをビンタした。

ピシャーン!

「みゃ~!痛いよ、ミッチョン~!」
ビンタの威力で脳髄が鼻の奥に突き刺さる。
「ほら、もっと吸ってごらん!もっと鼻で!」
「え・・・う、うん…」

カチリ…

頭の中、何かが繋がった。
「あれ、なんだろう…この感覚…」
体の中が熱い。
「効いてきたでしょ?今タロちゃんの体の中を改善丸4号が治療してるのよ」
「へぇ~、で、どうなるのミッチョン?」
「悪い所を自動で排出するのよ。鼻からね」
「え?鼻から、もう、また鼻から出るんだ~勘弁して下さいよ~」
「楽しみね♪」
「もう…ミッチョンったらワクワクしちゃってる」
「大体10分で結果が分かるから」
「ふぇ~、なんだかな~」


10分後。

鼻からニュルリと右目と前歯が落ちた。

レストランにて

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  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 成人向け
更新日
登録日
2013-08-13

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