遠い世界

近くて遠い。遠い世界。

僕は何をするべきなんだろうか。
何のために生まれてきたのだろうか。
その意味を突然考えることがある。
その答えは常に見つからないままである。
なんとなく進学してなんとなく就職した。
周りがそうしているから、なにもやりたい事がないから。
そんな逃げの姿勢でここまで来た。
でも、限界だ。
どんな仕事を任されようが僕にしか出来ないことなんてこの世には一つもない。
代わりなんていくらでもいる。
わかってた。
自分にしか出来ないことなんて無い。
そんな事わかってた。
それすらも直視することの出来ない、それこそが僕の弱さそのものだった。
だから認めたんだ。
僕には何も出来ないって。
でも、その瞬間僕の心は叫んでいた。
そうだこれだけは認めてはいけなかったんだ。
誰もが知っている。
恐れを抱いている。
そんな現実。
「僕は何をするべきなの?」
その問に誰も答えない。
「諦めるの?」
その方が楽だって思えてきた。
でも本当に諦めていいんだろうか?
まだ頑張れるのかな?
その答えは自分で見つける。
もう少し。もう少し考えさせてくれ。
二つの極端な意見がぶつかる。
この答えは出るのだろうか?
出たところで何になる?
むしろこんな事考えないほうが良いのではないか?
「結論は出たかい」
急かされる。
此処にいたい。でも頑張れる気もしないんだ。
そんな矛盾してる僕はどうすれば出来るんだ。
「こっちにおいで」
誘われる。
向こう側に誘われる。
いやだ。行きたくない。
「だったら答えは一つだろ」
ああ、そうだよ。
苦しい。辛い。楽しく無い。
でも向こう側にだけは行きたくない。
だからもう少し頑張ってみるよ。
ありがとう。

遠い世界

遠い世界

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-13

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