赤吹雪~伊吹山編 18章~

赤吹雪~伊吹山編 18章~

要はとうとう、宿の客全員を殺す決心をした。
そして、見事に浅野の部屋への進入に成功する。
しかし、そこに現れたのは……!?

2月 17日 12:24
はぁ…はぁ…
ぐぅ……
僕は今、浅野さんの部屋に来ている。
宿の裏の木を登り、
音を立てないようにして窓を外して中に入った。

ここは、僕が壊れてしまった場所。

息が苦しい。
胸が痛い。
心が痛い。

なんだか、とても痒い。
でも、皆を殺さなきゃ。
そうしないと、僕が殺される。
最後に、皆にメッセージを書こう…

そうして、僕は彩以外の
皆にメッセージを書くことにした。
最後の大石さんへのメッセージを
書き終わった後、後ろから視線を感じた。

「なんで彩さんには書かないの?」

「…………!!お前は…確か…!!」
その顔は、この2日でよく見慣れた顔だった。

「………なにしに来やがった」

そいつは、口を横に広げてくすくすと笑った。
「うん。色々と私の実験に付き合ってくれたから、お礼を言おうと思って。」

……………あ?
「実験だと?どういうことだ?」

「そう、実験。
人は、疑心暗鬼に陥ると面白いことになる。
これからこのデータを転送しなきゃいけないんだ。」

…………何言ってんだこいつ…殺した方が良いか…

僕はスタンガンとナイフをポケットから取りだし、
そいつに向けて構えた。
そして、そいつに向かってナイフで切りつけた。
つもりだった。
僕は僕の足から崩れさった。

「浅野さんはこうやっていったん動かないようにしたんでしょ?
第一、そのスタンガンだって
私が貴方の部屋に置いておいたんだから。
私が持ってないわけないでしょ?」

……………くそ!くそ!……
全てこいつのせいだったのか!

「殺されるのが恐い?ねぇ、恐い?」
そいつはケタケタ笑いながら、
こちらをじっと見つめていた。

僕は…こんなところで死にたくない!!!!
「………俺は……殺されたく…ない…。」

「そうやって、浅野さんも死んだんだよ?」

喉に押し付けられたスタンガンが、
カチカチっという音を立てて、
その後、バチッという音が聞こえたと思う。
喉が焼けたような熱さが一瞬訪れた。
その後、僕は死んだ。
でも、彩への未練はなぜか無かった。

あぁ、もしかしたら。
なんとなくは気づいてたけど。
僕が壊れていたのか。
なんで気づかなかったんだろぅ。
やっぱりごめんなさい。彩。

赤吹雪~伊吹山編 18章~

要は、最後は穴から這い上がりました。
しかし、やはり死んでしまいました。
疑心暗鬼から解き放たれる時。
それは、自分の最後が目前に迫った時なのだろう。

赤吹雪~伊吹山編 18章~

要、死す。

  • 小説
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  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-10

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