赤吹雪~伊吹山編 17章~

赤吹雪~伊吹山編 17章~

要、社会的に死す。

2月17日 7:28
一日ぶりに、僕は談話室で座っていた。
いつもの談話室で
ゆるゆると過ごしていた。
もう、氷柱という殺人鬼は存在しない。
もう、良いじゃないか。
だってほら、いつも通りの日常が始まるよ。

「き、きゃぁぁぁああああ!!!!
浅野さぁぁあん!!!!」

奥の部屋から、咲里の声が聞こえてきた。
まあ、浅野さんの死体を見たんだろうな。
大石さんが慌てて浅野さんの部屋へ向かった。
大石さんの「うっ」という声が聞こえた。まぁ、浅野さんが妹と一緒に倒れてるんだ。そりゃ呻きもんだろう。

僕は、ここで皆に揺さぶりをかけることにした。

「 …………誰だよ。」
皆が一斉に僕の方を向いた。

「誰だよ誰だよ誰だよ!!!!!
何なんだよ電波搭の電波を切ったり!!!!!
伊藤 誠と!
蕾って奴を殺したのは
誰だっていってるんだよ!!!!
しかも、何で無関係な浅野さんまで殺すんだ!?
浅野さんは関係無いだろう!!!!」

僕はそのリビングにあった机を大きく蹴り飛ばした。
その場にいた人全員がこちらを向いて、唖然としていた。

「……………要。」
彩が話しかけてきた。

「何だよ!!犯人でも分かったのか!?」
「あんたでしょ、浅野さんを殺したの。」

………………なんて……言った……?

何で他の人もこの言葉に何も動じないんだ?

「…おい、嫌な冗談は止めてくれ。なんで俺が浅野さんを殺さないといけないんだ?
それに、何で俺が伊藤 誠なんて殺さないといけないんだよ!!!」

「…………浅野さんはあんたでしょ。
で、伊藤 誠を殺したのは別の人物。」

「…だから何で俺が殺さないといけないんだよ!!!!
証拠を見せろよ証拠をーー!!!!」

そう言うと、彩はテレビを持ってきて、何かのカセットを入れた。

テレビには、何故か、僕がドアを開けて入ってくる様子が写っていた。

「………あ………あぁぁぁぁああぁあぁぁぁああぁぁああぁあぁぁぁああ!!!!!」

僕は外へと飛び出した。
雪は降ってはいなかった。
ただ、雨がしとしと降っていて、
その雨が、僕の傷に染みて…。

「何でだぁぁあああ!!!!!」
僕は叫んだ。
もう、終わってしまった。
こんな楽しいスキー旅行もおしまいだ。
もう死ぬしかない。
ぼくは、一握りサイズの石をもって、頭の上へ振り上げた。
その手は、彩に押さえられた。

「………お前は、まだやるべきことがある。
伊藤 誠を殺した犯人は、まだいるかも知れない。
その犯人を…お前は殺したつもりだったんだろ?」

…………もう、嘘をつく必要はない。

「そうだ!僕は…浅野を殺した!!!!
日常に帰りたかった!
ただ、それだけだぞ!」

「ついでにもうひとつ、
鮮花が殺された。」

「………………………………。」

「………寂しくないのか?」

「誰が死んでも、僕は関係無い。
悲しくなんて、全く感じない。
でも、何でかな。
昨晩、結構面白くてさ。
僕はさっさと氷柱をブチ殺したいだけだ。」

「………それが、お前の結論か。
お前は最低だぞ。」

「ああ、俺は最低だ。
正直、さっさとお前に殺してほしい。」

「俺は帰るぜ。
要、お前はいつまでそのままでいる?」

「どういう意味だ?」

「じゃあな。お前があの宿に帰れるのなら、俺はお前を応援してやるが、それまではお前を殺人鬼という扱いでいくから。
今頃宿ではお前を罵る声が大量だぜ。」


そして、彩は帰っていった。
彩の帰ったあと、また吹雪が僕を襲った。
この量は、また明日帰れなくなる量だ。

僕の中で、ある結論に達した

僕と彩以外の全員、殺せば良いんだろ?



なんて、簡単なことなんだ。
あはははははは…!!!!

そうだ、そうすれば氷柱は居なくなり、僕を殺人鬼だと知る人物は1人も居なくなる。
くくくくくくくくく………

赤吹雪~伊吹山編 17章~

浅野さあぁぁぁん!!!!!

っというわけで、物語はもう終演へと入りました。
彩は異常者です。
それも、かなりの異常者の中に入ります。
異常者が異常な世界にいたら、普通になるんですよ。

Thank you for reading!

赤吹雪~伊吹山編 17章~

要はもう戻れない。 精神が、死の穴へと落ちきってしまった。 死から逃れる術は、ない。 彩はなんとか要を引っ張りあげようとしますが、 全て無駄でした。 彼は、精神が死んでしまっていたのだから。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-10

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