赤吹雪~伊吹山編 14章~

赤吹雪~伊吹山編 14章~

彩へ。
彩。
ごめんな。
僕は、
もう、
ダメみたいだ。
なんだか、
とってもとっても、
心が痛いんだ。
でも、
僕には、
よく、
分からないんだ。
ごめんな。
~事件2年後の彼の泊まっていた部屋のメモより。

2月16日(水)午前8時30分

叫ぶ人、吐く人、ここにいる人全ての日常を壊した、この腕。

これには流石の大石さんでもうめき声をあげる程だった。

皆がパニックになっている中、
浅野さんだけが落ち着いて状況分析していた。

「…浅野さん、どうですか?」
僕は浅野さんに尋ねた。
「ケータイのプロフィールを調べてみたけど、予想通りだったよ。
このケータイは……伊藤 誠の腕です。」

「伊藤 誠…?
もしかして、あのバラバラ殺人の…?」
僕はびくびくしながら聞いてみた。

「どうやら、その様ですね。
メールが来てる様なので、少し見てみますね。」

浅野さんは慣れた手つきでメールを開いた。

※これ以下は、全てメールの内容

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2月12日 13:47 氷柱

誠君、お元気ですか?
氷柱です。
誠君は、いつも楽しそうですね。

突然ですが、
蕾ちゃんとはどういった関係ですか?

以前、私がシャープペンを無くした時、
誠君がシャープペンを見つけてくれたんですよね。
でも、あれって実は蕾ちゃんが買ってくれたんですよね?
私、蕾ちゃんから聞いたんですよ。
誠君は私に
「ごみ箱の後ろにあったよ」
と言ってくれましたが、
何故嘘をついたのですか?

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2月13日 7:04 氷柱

誠君、どうして無視するんですか?
誠君、誠君、誠君。
どうしてですか?
もしかして蕾ちゃんと今出掛けてるからですか?
だとしたら許しませんよ?
私は、いつでも現れるんですから。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2月13日 12:07 氷柱

コロス

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2月13日 12:59 氷柱
誠君、どうして携帯電話
を持っていないんですか?

困りますね。
もしかして蕾ちゃんが
持ってるんですか?

蕾ちゃんが持っているのだとしたら、少し困りますね。
これだと、蕾ちゃんを呼び寄せて蕾ちゃんを殺せないじゃないですか。

まぁ良いですけどね。
だとしても消すだけです。
さよなら、蕾ちゃん。


今、あなたの後ろで待っていますよ。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

※ここまでがメールの内容。


「……これは…戦慄のメールだ。」
僕と浅野さんはただただ、
蒼白するしか無かった。
というか、怖すぎる。
この「氷柱」は完全に殺人を普通と考えている。
く、狂ってやがる……!!!!

この携帯電話を全ての人に回すことにした。
鮮花は「もうイやだぁぁぁああ!!!!!!!!」
と叫んで、
奥の部屋に逃げていってしまった。

浅野さんはこんな状況にも関わらず
そういえば、と言った様子で紙を渡してきた。

それは、さっきの放送の内容だった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「連絡します。てぶ・ろのおと・ものです。こ・・げん・う・ん、お・び・あかいて・くろのおと・ものがござ・・す・こ・ろあたりの・るかたは、いっかいの・けつ・までおこ・・ださい。」

「連絡します。てぶくろのおとしものです。こいでげんどうさん、およびあかいてぶくろのおとしものがございます。こころあたりのあるかたは、いっかいのうけつけまでおこしください。」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
…………小出ゲンドウ!!?あの朝のニュースで行方不明になっていたっていう小出ゲンドウか!!?じ……じゃあ…

事件は僕に繋がったのか?
ただスキー旅行に来ただけなのに?
なんで?なんで?なんで?なんで?
………いや、なんで繋がったのか。
当然、
1つの答えに繋がるじゃないか。
……この中の、誰かが氷柱に決まってるじゃないか………!!!!!!!!

その後、皆は解散した。その時間まで、自由時間となった。

僕は鮮花のことが心配だったので、急いで僕の部屋に戻った。
でも、その部屋に鮮花はいなかった。
考えてみればそうか。あんな気持ち悪がっていたし、皆と一緒にいたいよな。

僕は僕の部屋で1人、ごろりと寝ていた。
11時までに、全てのことを忘れられるように。

そして、誰が氷柱なのかを考えるために。

赤吹雪~伊吹山編 14章~

要は、精神的に死ぬ寸前まで陥ってしまった。
最早、彩の言葉は邪魔なノイズにすぎず、
物事はすべて、作り物の様に思えてしまう。

赤吹雪~伊吹山編 14章~

腕が、箱のなかで、入っていた。 血まみれの腕が、第一間接から、 箱のなかで、切れていて、 とても綺麗に、赤く染まっていた。 それは、とてもとても、綺麗だった。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-09

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