水面(みなも)
ゆれるゆれるゆらゆらと・・・・・。
水面(みなも)
ヒュ! チャプン・・・。
釣りでも、始めようと思って近くの池に私は釣りに出掛けた。
そこで、釣り針が池に落ちる音が聞こえた。
先客か・・・。
釣り仲間が欲しいと思っていた私は先客の彼に話しかけた。
「釣れますか?」
彼は笑いながら答えた、「まったく、釣れません。」
そのまま、私は彼の隣に座り、釣りを始めた。
しばらく、彼の隣で釣りをしていると妙なことに気づいた。
彼は、チャプンと釣り針を池に落とすとほんの10分程して、また、池から釣り針を上げて、チャプンとまた釣り針を池に落とした。
私は気になって訊ねてみた。
「それじゃ、釣れなくないですか?」
彼は言った。
「いいんです。釣れなくて・・・。」
私は続けて訊ねた。
「でも、釣りにきたんでしょ?」
彼は言った。
「私は釣りに来たのではありません。」
「自分に言い聞かせているのです。」
「人との関係は水面のようなもの。少しのことで揺らいでしまう。と自分にいい聞かせているのです。」
と彼は言うとまたその動作を繰り返し始めた。
ヒュ!、チャプン・・・。
水面(みなも)