赤吹雪~伊吹山編 7章~

赤吹雪~伊吹山編 7章~

彩は、自分を異常と感じている
「異常な」正常者である。

2月15日(火)午後8時30分

オリエンテーションが終わり、僕達は
それぞれの部屋へと帰って行った。

僕達は今から寝る準備に入ろうとしていた。

彩は何だか気だるそうだ。
いつもならすぐに寝ると言って、ベッドの中にうずくまるのに。
「…何かあった?体調が優れない?」

「………嫌な予感がする。」
ほほう。
「…え?何が?」

「あの手袋がやっぱり気になる。
その宿泊客リスト見せてくれ。」

僕は、彩にリストを見せた。

「………………………………。」
彩はリストに夢中なので、有線ラジオをつけることにした。
「しかし最近は物騒だねぇ。蒲郡で
バラバラ殺人だとさ。おかげであちらこちらで検問をしてるみたいだよ。」

ラジオでは、昨日のバラバラ殺人事件についてが放送されていた。

「………そうか。なら、つじつまが
合う。……その検問はいつから始まった?」

話しかけられた時、ラジオが急に切れた。

検問は確か……
「え~っと、昨日の夜11時30分からみたいだよ。朝のラジオで聞いた。」

「朝のラジオ?……ああ、電車の中でか。
その頃には事件は発生していたってことか…何で検問をしたんだ?」

……は?
「??……どうゆうこと?」

「犯人は、17才なんだろ?
だったら検問は不要のはずだ。
車にはまだ乗れないはずだからな。
…これは、共犯がいるという可能性から、この検問を始めたのかもしれない。
もしくは、小出 ゲンドウと小出 ユイの行方不明についてもついでにやっておくんじゃないか。」

確かにその発想はなかった。
……ん?
「……あれ?何で彩は行方不明なのを知ってるの?」

「お前と一緒だ。電車の中でお前の携帯電話のテレビで見た。」

……金が結構かかるからやめてほしいところだ。

「でも、途中でいきなり砂嵐になったから、候補押し連打ゲームをしてた。
そうだな……桐野があとどれくらい駅があるかを尋ねる前位だな。」

それって……ラジオから妙な音がして、画面も急に砂嵐になったあたりだろうか。

……ということは、あそこは電波が届かない場所なのだろう。

「ちょっとココアでももらって来るよ。彩も欲しい?」

彩は首を横に動かした。

「……ちょっと待て、要。少しだけ話がある。」

僕は、彩からある注文をされた。

「……わかったよ。じゃ、行ってくる。」

談話室から紅茶をもらって来る途中
に店長に会った。

店長には、少し聞きたいことがあった
「こんばんは、店長さん。少し時間は
ありますか?」

「……?えぇ、かまいませんよ。
では、私も何か飲み物を持ってきます」

待っていると、すぐに店長がやって来た。湯気が上がっているから、コーヒーかココアだろう。

「で、お話とは?」

「……手袋を、貸して貰えませんか?
…少しだけ、外の空気を吸いたくて。」

「……いえ、今外に出ると、危険です
どうしてもと言うのなら……私と一緒に行かないと。」

「……そうですか。」

そして、二つ目の疑問。
「……こちらのホテルの隣のタワーは何ですか?」

「ああ、このタワーですか?
ラジオを放送しています。このタワーだけで東海三県全てに電波が届くようになっております。」

「……電波局のある場所が書いてある地図はありますか?」

「えぇ、探して来ましょう。
少し時間がかかるかもしれませんが、
10分ほどで帰って来ます。」

「…ありがとうございます。」

僕は真相を求めることが好きだ。
でも………
……今回は、何かがおかしい気がする
何か……こう……
手を出してはいけない物に手を出してしまった感覚。

ようやく店長がやって来た。

「いやぁ、ありましたありました!
この赤い円が電波の届く範囲。
そして、黄色い点はその電波局のある場所です。」

「ーーーーーやっぱり……。」

「…………?
どうかされましたか?」

「あの……これを写させてもらっても
良いですか?」

「……?ええ、構いませんが。」

「…ありがとうございます。」

赤吹雪~伊吹山編 7章~

彩ってキャラは自分で作った訳ですが、
スゴく可愛いという設定でいきたいと思います。
和服で無口とか、空の○界の両○ 式に似てると思うのは僕だけ?

赤吹雪~伊吹山編 7章~

ラジオも有線ラジオも切れた。 テレビはつかない。 外は吹雪で出られない。 これは、その空間に新しい「世界」が生まれたことになります。 関係のない人達の目がない世界で起こる惨劇を、 外の世界は感知出来ません。 この世界では、何があってもおかしくないのです。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-08

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