そこにある世界から抜け出して

私の友人は何かを抱えていた。

それが一体何なのか気になって、つい尋ねてしまう。

自分は弱い存在で、

大きなことを抱え込んでいる人を見ると少しでも役に立てないか、

助けられないかと声を掛ける。


けれど、結局はエゴで動いているのだろう。

自分には何もできない。

何かを抱えるような行動を起こせない。

しかしその世界に少しでも関わって、自分もいるのだと思ってもらいたい…

どこかにそんな気持ちがあるのだろう。

こういうのは”偽善者”っていうのだろうか……


”良い子”、”気遣える子”をやめよう。

自分らしくしていこう。

何度そう思ったことか。

私にはできなかった。

結局は気になって声を掛けて、自分のために相手を助けようとする。

「ホント優しいよね」

友人の口癖だ。

全然、違うよ。ただの偽善者だよ。

優しいのは、君のほうだよ……


いつの日かエゴの日々を抜け出して、本当の自分に出会えるのだろうか。

本当の自分を分かってもらえるのだろうか。

正直不安ばかりだった。

そこにある世界から抜け出して

そこにある世界から抜け出して

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-08

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