永遠
永遠の愛
ナターシャの美しい髪をリチャード王子は優しく撫でながらそっと囁いた。
「ナターシャ愛してるよ、永遠に」
ナターシャはうっとりしながら瞳を閉じるー
城中が寝静まった後に、ナターシャは毎夜こっそりと王子の寝室に忍び込む。
二人だけの甘い時間はほんのひとときで、朝が来る前に二人は離れなくてはならない。
ナターシャは美しく、けれど召使の身であるので王子との恋など叶うはずはない。
けれど二人は信じていた。この恋が永遠に続くと。二人だけの秘密の時間は永遠に続くと信じていた。
ある日ナターシャは王女から暇を出された。
二人だけの秘密だと思っていたけれど、二人の秘密は二人だけのものではなかったのだ。
ナターシャは悲しみ、憂い、もう王子に会えないのだ、と絶望した。
「私は貴方と共に生きます」
悲しみに暮れるナターシャに王子は言いました。
全てを捨てて、二人で生きていこうとー
明日の夕刻、森で落ち合って誰も知る人のいない何処か遠くへ行こう。
二人は約束をしました。
その夜の夕食時。王子は王女に見透かされてはいけないと、しごく自然に振る舞い、王女もまたしごく自然に王子に飲み物を勧めました。
王子は自然を装い飲み物を飲み干し、そのまま部屋に戻るつもりだったのですが、王子の身体はもう自由を奪われ、息も出来なくなっていました。
「あなたがあんな卑しい女のものになるなら、永遠に私のものにします」
王女は息をしていない王子の身体を優しく撫でました。
森でリチャード王子を待つナターシャ。夜が更けても王子は現れません。
でもナターシャは信じています。王子はきっと現れる、と永遠に待ち続けました。
永遠
永遠の別れ