忍野白澤ショートストーリー第弌話

猫。

猫。
猫というのは、大体の人が可愛いと思いこみ愛玩している。
だがネコ科とは豹やライオンも含まれ、獰猛な一面も隠し持っていることは明らか。
それでも人間はその仕草や鳴き声、外見に騙されている。
愛玩動物として不動の地位を得た猫は堕落し、自分で餌をとることさえできなくなるほどに退化してしまった。
爪や牙は猛獣のそれであるのにもかかわらずだ。
これはそんな怠惰な猫に魅入られた、怠惰な人間の話。
ある夏休みの前日、道を歩いていると真っ白な猫の死体が転がっていた。
猫は基本的に他の生き物に見つかりづらい場所で死ぬ習性がある。
それを不審に思った僕は、少しこの猫の死因について考えてみた。
まず道路はそんなに広くなく、車二台が通るのがやっとくらいの道幅。
歩道は白いラインで引かれていてお世辞にも広いとは言えない。
近くに電信柱があり、血痕が付着している。
あぁ、つまりこの猫は不幸にも事故にあってしまったのだ。
車に轢かれて慣性の法則によりその体が宙に浮かび、電信柱に体が激突して死亡。
車に轢かれたことが死因なのか、電信柱に激突したのが死因なのか僕にはわからなかったけれどもどちらにせよこの猫は死んでいる。
手を合わせて去ろうとしたその時、猫がフラフラと立ち上がった。
あり得ない光景に僕は目を見開いてその猫を凝視する。
尻尾が二つに割れ、猫又みたいな感じの尻尾になった。
おかしい。
明らかにこの現象はあり得ない。
そう思っていた時声が聞こえた。
「そこの人間、これは見せ物では無き故早々に立ち去れ。」
何と、猫が喋った…?!
ふと無意識に僕は言葉を猫に向けて発していた。
「お前…名前は?それと性別は雄か?雌か?」
猫は人語を理解しているらしく、やれやれと言った風な仕草で答える。
「吾輩の名前は傾時(かとき)、性別はメスじゃ。」
言われた途端に認識が始った。
いや、これは世界の収束か…?!
猫が能登麻美子のような透き通った声になった、だと?
それに毛並みやら血の痕と傷が消えている。
おかしい、これは白昼夢か?
はは、暑くておかしくなっちまったか…僕。
「まぁよい、暫しうぬに憑いていてやろう。」
とうとう憑かれることになった。
どうなるんだろう僕の人生と夏休み。
帰り道、猫は僕の肩に乗って降りようとしなかった。
家に帰ると某少女漫画に登場する化け猫のように自由奔放な態度で部屋を駆け回るかと思いきや、意外にも僕のベッドの上で丸くなっている。
晩御飯は何がいいかと聞いたら、魚の刺身と言われたのでカツオの刺身を与えたら美味しそうなんだが…くちゃくちゃ音を立てて普通に食べていた。
ここで僕は猫に聞いてみる事にした、疑問は多い。
「おい傾時、お前って何なんだ?怪異とか妖怪とかそういうのなのか?」
不用心にもほどがあったと、僕は思った。
なぜかというとそういう存在なら僕の事なんて一瞬で殺せるはずだから。
「煩いの…食事の後くらいゆっくりさせい。」
だが、と猫…傾時は言葉を続けた。
「妖怪とも怪異とも違う、吾輩は猫だ。それ以外でもそれ以下でもない。」
その言葉が言い終わった直後猫から煙が立つ。
勢いよく、まるで煙幕のように。
煙が消えてきて僕は焦った、幼いが整った顔立ち。
そして白く長い髪、金の猫目。
身長は148位で小柄だ、猫からすれば大きすぎるが。
全裸で現れた傾時は堂々と胸を張っていた。僕はその豪気さに赤面して顔を背ける事くらいしかできなかった。
「ははははは、純情よな。最近の若者は無害系がおおいのかえ?」
ニヤニヤしながら聞いてきたであろうそのセリフに僕は赤面をやめられずに答えた。
「ん、しらねぇよ…つか服きてくれないかな…頼むから。」
猫は気だるそうな態度をとり、よかろう。と短く言葉を吐いた。
よし、これで目のやり場に困らない!
思い切って再び煙に巻かれながら猫の方を見ることにした。
和服、豪奢な外見でとてもじゃないが触れない。
触れないというよりかは触ってはいけないような。
儚く、それでいて存在感がある不思議な和服。
柄は洋風でフリルやらで飾っているが、着物自体がいいものだと一目でわかる。
「おい猫、一つだけ聞くぞ…お前の目的ってなんだ?」
猫は無表情で答えた。
「ない、基本的には吾輩に目的なぞないが…強いていうのならば…」
口を濁した猫は怖いほど冷たい目をしている。
視線で人を殺すように、蛇がカエルを睨むかのように。
「この街を正常に戻すことかの」
は?
どういうこと?
正常だろこの街は。
僕は怠惰に生きていけたのだから。
あれ?
そういえば僕、いようにやる気に満ちている?
いや、新しいことを始めたから…。
というか興味の対象を見つけたから ?
ちがう、これはもっと大きな違和感だーーーー!!
「気づいたか愚鈍なる怠け者よ」
この街には大きな歪が存在する。
傾時は説明を始めた。
つまりこの僕にその歪みを直せということらしい。
その歪みは人の精神であったり怨念から生まれるものであり、無意識集合体となっているものなんだとか。
夜の学校に忍び込むことを猫に強制され、現在深夜なのに校門をくぐる僕。
私立高だがセキュリティはほぼない。
現在通ってる学校だから知っている。
校庭の方にいくと傾時が方からおりて女体化した。
煙が晴れた頃、小さな女の子が立っているではないか。
近寄るとその子は暖かくて、柔らかかった。
でも…傾時は嫌なものを見る目で女の子を見る。
「傾時、どうしたんだよ…そんな怖い目でみると怖がっちゃうだろ?」
離れよ、と静かに傾時が言った。
僕の意思とは関係なく体が動く。
終わらせてやる、と。
確かに傾時は言った。
傾時の体から黒い煙がでる。
それが巻きついてまるで龍のように少女に向かって行き、突き刺さった。
それを傾時が煙後と吸い取ってしまう。
直後、僕と傾時の別れがやってきた。
僕の背中に、日本刀が突き刺さったからだ。


続編に続く。

忍野白澤ショートストーリー第弌話

楽しかったです(笑)
でも続編があるのですが全くそのことは考えていません!
ヤバい!!
何が何でも今年中には書きます(゚o゚;;
最後まで読んでくださった方、俺の才能と能力のない文章を読んでいただきありがとうです!
これからも頑張るんでおうえんよろっす!

忍野白澤ショートストーリー第弌話

猫の話です。 猫の話をずっと書きたかったので。 まぁ、この場合…擬人化ですが(笑) くだらねぇ、でもいいなと思ってもらえる作品に仕上げたいと思ってます! 頑張りますので応援よろーwwwww

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-08-03

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