Neo Border [Version2.0] ■011■
Foresight
近未来、
現実国家では正すことのできない不合理さが
ネット上に仮想国家を生み出した。
時を少し戻し。
Markは今や名誉だけもらったメンバーの一人でしかない。
Johnからもらった “MSSS(Medical Support Security System)” “TFS(Tutelary Fairy System)”搭載モバイルはとても有能で、ストーカーに出来るだけ会わないですみ、 “GVR Revolution(GVR革命)”以来自由な旅を1年以上も続けている
秋初め、彼はここスイスに居た。
あちこちのワインフェスティバルを訪ねては美味しいワインを飲み歩いていたが、フェスティバルシーズンも終盤に入った9月の終わりに不思議な少女と出会った。
その夜いつものようにこの地方の知人や、街の人、旅行者たちとお祭り騒ぎの中、横に座ってきた隣街に住むという成年が、もっと旅の話が聞きたいから自宅に泊まるよう頼んできた。回りの人たちもその成年を知っているようで、話しを聞かせてやってくれと言う。そこまで言うならとお邪魔することにした。手首に巻いた細いブレスレットもセイフティを示す。
決して秘蔵のワインに引かれたわけではない。
店を出て成年に案内されながら歩いているとふと成年の姿が無い。
周りを探すと暗がりからフェスティバルの衣装をまとった少女がゆっくりと現れた。
そしてまるで大人のような口ぶりで
「今年のワインも格別においしくできましたが、来年もまた格別のワインを飲んでいただけるよう
今からお話しすることを出来るだけ早く実行してください。
広がった夢が流れ出さないように、ひとまず楔を打ちつけておいたほうがいいでしょう。
夢もみなさんの手が届かない所で迷子になれば、狼の餌食となり、その味をしめた狼は群れを成してやってきます」
後ろの、まだにぎやかな路地から成年が 「こっちですよー」
手を上げて答え振り返ると既に誰もいなかった
成年の家では、夜も遅かったが家族がとても暖かく迎え入れてくれた。
リビングで秘蔵のワインを頂きながらいろいろな国の話をした。成年は目を輝かせながら聞いていた。
時折「ならば、Markさんは“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”は何だと思いますか?」
「多分、心を持った人類にとっての新しい、そして最後の国家群じゃないかな」
そんなちょっと難しい話もはいったが、成年の真剣なまなざしに、心高ぶるものを感じながら夜が更けていった。
次の日の朝、一家総出で見送ってくれた。昨晩は夜も遅かったため出会えなかった娘さんも中央で微笑んでいた。
・・・・・なんとなく似ている
「また来年お会いしましょう」
「是非に!楽しみにしています」
そしてその2週間後
”Ragnarok Crisis・ラグナロククライシス(ネットパニック)”が起こった。
Neo Border [Version2.0] ■011■
この小説は将来映画製作用の原作のため、
時間経過と共にバージョンが変化していきます。
前”1.0”バージョンは書きながらアップしていたため、
ストーリー”010”で時代に追いつかれそうになり停止しましたが、
今回は最後まで書き上げてバージョンアップすることにしましたので、
とりあえず完結しています。
最後までついてきていただければ幸いです。