セイントターミナル(第三回)―ナイチンゲール美冬さん―
今回も訳わかんないですねw僕、多分病気してますw
登場人物
大豆生田弥次郎兵衛(マメブタヤジロベエ)
本作の主人公。なんだか、踏んだり蹴ったりである。ボロボロになって家に帰ってきました。
美冬(ミフユ)
主人公の家に居候している天使。
突然素直になられると天使でも調子が狂います
ドアを開ける。家に入る。これで帰宅完了。あとするべきことと言えば…。
「―なによ。」
「部屋を返してください。」
…帰ってからすぐにやろうと決めていた、自室の奪還を決行することである。
「嫌よ。」
「どうしてですか。」
「当たり前じゃない。どうしてアタシが動かなきゃなんないの。アタシ天使よ?」
だからどうした。僕の部屋を使う権利まで侵されることはないはず。
「お部屋なら昨夜用意いたしましたから…。」
「はぁ?それならあんたがそっちに行けばいいじゃない。」
「そんなこと言わずに。」
「つか、あんたその傷なに?何かあったの?」
おっと、言われてみれば僕の体は傷だらけである。やや、何かまだ頭がぼーっとする。
「これですか?なんといいますか、度重なる暴力の産物ですかね。」
「それどう見ても普通じゃないんだけど。」
「普通?美冬さんはこっちの普通なんかわかるんですか?」
「あんたが生まれる前から人間の相手してんのよこっちは。」
「そうだったんですか?知らなかったです。」
「あんたね…ほんとアタシをなんだと思ってるのかしら。」
「天使ですよね?」
「そんなこと聞いちゃいないわよ。というか、あんたにとって、あたしってそれだけなわけ?」
「どういうことですか?」
「ハァ…もう、いいわ。とりあえず、ちょっと見せてみなさい。」
ぐいっとうでを引かれる。で、僕の顔を覗き込む美冬さん。
「わわっ。」
「なによ。」
「あ、いや、なんでも…。」
「へんなの。」
顔が近い!美冬さん!近いよ!
「ひっどいわねー誰にされたの?こんなコト。」
「それは…。」
―それは言いたくない。ああいう手合いに負けたくない。
「そうやって、弱い自分を隠してばっかりいたら、いつまでも弱いまんまだよ。」
「…。」
「…。」
二人して無言になる。なんだか、すっごい近い。美冬さんはさっきから僕の体をみてくれているのだが…何かすごい恥ずかしい。今左腕なんだけど…なんだかくすぐったいような、照れくさいような、でも不思議と心地良い。
「治してあげるわ。」
「えぇ?」
「なに素っ頓狂な声上げてんのよ。当たり前でしょ?それぐらい出来て当然。アタシは天使よ?」
「そうでした…。」
「よく笑ってられるわね。大丈夫そうなら治してあげないから。」
おっと、知らないうちに笑っていたようだ。でも実際は笑ってられないほどグロいことになってます僕。全身ボッコボコ。あ、いや、普段からだけどさ、キモイのは。だから、ここは素直にお願いするのが吉だろう。明日も学校あるし。というか、今日月曜日だから一週間これで学校行くのは辛い。
「あの、できたら…お願いしたいです。」
「…。」
急に黙り込む美冬さん。何故?
「―よくできました。」
「えぇ?何がですか?」
「じゃあさ、ちょっと力抜いてて頂戴。」
「ええと、こうですか?」
「はぁ…。」
ええ?なぜため息をつかれるのだろう。
「まだ肩に力が入ってるわ。」
「すみません。」
「力抜きなさいっての。」
「抜けてませんか?」
「全然抜けてないわ。」
「…どうしたらいいですか?」
「あんた…どんだけ運動神経ないのよ…。仕方ないわね。」
ほっといて欲しい。こんなのでも体育の単位はおとさずに済むようにちゃんと補修受けてるのに。
「じっとしてて。」
パァァァァァ―。
「うわっ!眩しい!」
いきなり眩い光が僕を包んだかと思うと、全身の力という力が光に奪われ、僕は床にへたりこんでしまった。
「その調子。」
「―。」
「何も言わないで。」
何となく黙っていられなくなって、何か言おうとするも止められてしまった。すると、美冬さんは手のひらを僕の顔にかざして、目を閉じた。
キィィィィィィィン。
と甲高い音がして、かざした手のひらが光る。
―チョン。
「ゃ、なに?」
「ああ、すみません。」
「別にいいけど。」
なんか…あまりの神々しさに触っていたようだ。柔らかかった…。美冬さんって女性なのかな?そもそも、天使に性別ってあったっけ?
「目を閉じて頂戴。そしたら―」
…そしたら?まだ何かあるのだろうか。
「―歯ァ食いしばれ。」
「えええええええええ!?」
「いっくわよー!えぇい!」
ピカァーーーーー。ショァァァァァァァ。
瞳を焦がすような光の暴力。後、何かが焦げるような音がして、
「乙女の柔肌に気安く触るんじゃないわよこのタコ!ハゲ!ド変態!」
見目麗しき天使様の罵詈雑言でフィニッシュ。堪えた…。
「ほら。自分の腕、よく見てみなさい。」
髪の上から頭を鷲掴みにされ、腕をぐいっと引かれ、二の腕を見せられる。これは…!
「すごい…。」
先程まで自分の腕をおおっていた、惨たらしい痣が、まるではじめからなかったかのように、綺麗になくなっていた。もっと言うなら、腕だけでなく、全身の痛み、痣、傷、全部なくなっていた。左手の親指の先の古傷まで。
「あったりまえよ。これで、アタシが超強い天使だってこと再認識したでしょ。」
「はい。天使ってこんなこともできるんですね!感動しました!ありがとうございます!」
「あんた、ちょっと調子に乗ってる?」
「ああいや、とんでもない。」
「ふーん。」
なんか、良くないことでも言ってしまったのだろうか。あ、そうか、お礼を言ってないからか。
「あの、本当にありがとうございます。」
「…。」
また急に黙ってしまう美冬さん。一体なぜ?
「ねぇ。」
「なんでしょう?」
「誰にされたの?」
「それは…。」
それは言えない。負けたくない。
「まぁいいわ。ああそうだ、部屋、見せてよ。」
「部屋ですか?どうしたんですか突然。お部屋なら僕のをお貸ししますけど。というか、今もしてますし。」
「アタシ、部屋、移るから。用意してくれてたんでしょ?なら見せてよ。」
「わかりました。では早速。」
天使のお住まいは主人公宅のスウィートルーム
「わぁ…。」
「ここまでするのに手間かかったんですよー。天井の埃も徹底的に落としましたし。こう見えて、模様替えもしたんですよ。それに―」
「いいわ。十分わかった。」
一目見て、十分に伝わってきた。この子が寝る間も惜しんで頑張ったこと。今までたった一人で生活してきたこと。あたしと出会ってから今までの僅かな時間に、たくさんのことをアタシのためにしてくれていたこと。アタシは、さっきまでの自分の態度が恥ずかしくなってしまった。
「どうしたんですか突然。らしくないですよー。」
飄々と話す彼。言うほどには気軽で、手軽なことではなかったでしょう。あたしと出会って4日。今日で5日目だけど、その間にこれだけの準備をしてくれていた。
「でも、何かすみませんね。なくなった人の部屋なんて少し抵抗あると思います。ここはもともとお婆ちゃんの部屋でしたので。」
「いいの。関係ないわ。アタシ、ここ、気に入ったから。」
「助かります。早速お布団を持ってきますね。押入れの中にしまい込んでありますので。」
「…ありがとう。」
言うなり、彼は部屋から出ていってしまったので、聞こえなかっただろう。でも、本当に嬉しい。しばらくすると、布団を担いだマメブタが部屋に入ってきた。
「お待たせしました。すぐに敷きますからね。」
「いいわ。あとは自分でする。」
「…そうですか?わかりました。では―」
「―待って。」
「なんでしょう?」
「アタシ、思うの。あんたはもっと素敵な人になれると思う。」
「まさか。そんなことありえませんよ。」
「だから、もっと自信持って。」
「はぁ…。」
「言っとくけど、天使のお墨付きよ?」
「たしかに、お住みつきですね。」
「あ、ちょっと…。」
―パタン。
扉は静かに閉じる。いつだってそうだ。だから、気づかないのだ。
「はぁ…。なんだかなぁ…。」
全然分かってくれない。あいつって本当に駄目人間なのかな…。
セイントターミナル(第三回)―ナイチンゲール美冬さん―
毎度のことですが、今回も到達できませんでした。部屋がきれいなことにすごく感激したようです。美冬さんの過去が気になるところです。それと、素直になられるとドキッとしちゃうみたいですね、美冬さんは。…もっとバカバカしい話なんですよ?これwという訳で、第三回はこれで終了です。僕、文章力無いなw次回でやっと次の日の話ですね。二回目のタイトル…覚えていますか?
追記:
家庭的な男子が好きとかいう同級生がいました。女の子です。僕も家事の手伝いぐらいならしてますし、掃除や洗濯なんかも出来ます。当たり前ですが。でもまぁ、その女の子の脳内優先順位では、僕は間違いなく圏外ですがねw顔面崩壊しておりますので、生まれつき。
さいごに:
皆様からのより多くのご意見・ご感想をお待ちしております。なにかといたらない点ばかりでごさいますが、最後まで御付き合い頂き、光栄至極に存じておりますので、もうひとつ、お手間をいただき、わがままにお付き合いください。