セイントターミナル(第二回)―主人公の一日は昨日のことなんて覚えてられないぐらい大変なんです―
閲覧は自己責任でお願いします。暴力表現がありますので。
では、登場人物紹介をば少し―
大豆生田 弥次郎兵衛(マメブタ ヤジロベエ)
本作の主人公。さえない、自称均整のとれた駄目人間。
美冬(ミフユ)
主人公の家に居候している天使。何か目的があってこの世に来たらしいが…。
バッドモーニング!
目を覚ます。ソファの上である。さっさと用意をしなければならないのだが…。ん?あ、いくら校内の地位が低くたって学校には行きますよ。親が学費を払ってくれてるのに。と、
部屋に入ると―死にそうな目にあわされた。
「あんたね、自分のしたことわかってるわよね?」
「いや、そこもともと僕の部屋…。」
「下僕が口答えするんじゃないわよ。」
ギリギリと胸ぐらを絞め上げられる。すんごい強い。いや、僕が弱いだけか。
「なに黙ってんのよ!」
血の流れが止まった感じがする。死ぬ?僕もしかして死ぬ?やっぱこの人強いわ。
「アタシの着替え覗いたんだからただじゃ済まさないわよ!」
すごい剣幕。学校あるのに。と、少し喉元に隙間ができる。
「着替えってなんですか!何か発光してただけじゃないですか!」
「るっさい!あれは天使の禊なの!天使はあんた達みたいに風呂なんか入らないのよ!かわりに聖なる光の力で体を清める大事な儀式をしてたのに…。」
「いや、禊って…着替えじゃないじゃないですか。」
「着替えてんのよ!禊のための聖衣に着替えてたんだから!」
「や、でも光が眩しすぎて見えなかったんですけど。」
「いちいちいちいち細かいこと言って…どうだっていいのよそんなの!一発殴らせなさい!」
「ちょっ、まっ―」
ゴッシャァァァ!―家具もろとも吹き飛んだ。学校あるのに。大丈夫だろうか。僕。
「さっさと出ていきなさいよ。もう一発殴りたくなっちゃうじゃない。」
「勘弁してくださいよ。もう出ますから制服だけとらせてください。あと、鞄も。」
「さっさとしなさいよ。アタシまだ禊が済んでないの。あんたのせいで。」
「悪かったですってば!」
「うっさいハゲ!」
断じて禿げてない。
―バターン!
なんとか制服と鞄を奪還することに成功した。ゆくゆくは自室の奪還も試みよう。必ず奪還する。
主人公の昼休みはお友達とのスキンシップで忙しいのです
僕の学校での振る舞いなんていたってシンプル。ただ、空気のようにしているだけである。もう話しかけられもしない。当たり前。だって僕駄目人間だし。
クシャッ。
「おい。それちゃんとゴミ捨てとけよなー。」
「いや、あいつもうゴミと一緒じゃん?あいつごと焼却炉行きっしょ。」
「プハッ!それいえてるわ。」
「じゃあさ、今度火ィ点けたやつぶつけてやろうぜ。」
「ゴミにはお似合いっすね!」
―たまにこういうことしてくる奴がいる。さっきのは宿題として配られたプリント。
ガコッ。
今のは中身を飲み干して…ない缶ジュース。赤い缶に躍動感あふれる白いアルファベット。炭酸と糖分で制服はベトベトになっていた。
「きったねー。アリにでも集られるんじゃねぇの。」
「いっそのことアリに喰ってもらえば?バラバラにされてよ。」
「いいねー。社会の害虫が駆除されるんじゃん。シロアリでもけしかけてやろうぜ。」
「あ、そだ、それ捨てといてー。」
「ついでに新しいの買ってきて。」
「もちろん金だすよな?いるだけで空気汚れてんだからこれぐらい奉仕しろよな。」
ガタッ。財布を持ち、教室の外にでる。ドアから出たら左向け左。1、2のリズムで―
ドンッ。ドサッ。
―誰かにぶつかってしまったようだ。後ろに倒れ込んでしまう。
「うわっ。こいつマメブタじゃん。きっも。ちょっとエミ、大丈夫?」
「最悪。いま胸触られた…。」
「いや、そんなこと断じてないです!」
「ああ?どの口がほざいてんだ?ああん?」
「ヒック…最低…。」
「ほら!エミが泣いてんだよ!触ったんだろ?なぁ!」
「や、だから、そんなこと一切して―」
ボッコォ!
「ふざけてんじゃねぇよオラ!さっさと慰謝料よこせやナァ。」
「や、ちょっと待ってください。」
「はぁ?さっさとよこせやハゲ!」
ゴスッ!
「こいつ、痴漢です!」
「ちょ、誤解です!」
(何あいつ、マジキモー。)
(うっわ。いつかやると思ってたんだよなーあいつ。)
(なぁ、リンチしね?)
「てめ、俺のカノジョに何やってくれてんだ?あぁ?」
「や、僕は何も―」
ゴン。ゴキッ。ボゴッ。ズドン。………。
「おいお前。昼飯終わっちまうんだけど。さっさと買ってこいよ。コーラ。」
「今、ちょっとお金が無くて…。」
「はぁ?ざっけんじゃねぇよ。」
ドスン。踵落とし。クリーンヒット。気絶した。
…目が覚めると。保健室にいた。保健室の先生から聞くに、気絶していた僕を数学の先生が―多分嫌そうに―運んできてくれたんだそうだ。で、起きるなり目に飛び込んできた保健室の主、涼子先生もとい治療先生も厄介そうな目をしている。涼子先生のあだ名の由来はフルネームが愛知涼子(あいちりょうこ)だから。真ん中ね。注目…してた?ごめん。さて、厄介そうなので保健室からはさっさと御暇しよう。そういえば、僕って禿げてるのかな…。さっきの騒ぎの時もハゲって言われたし…。ああ、金どうしよう。財布ごととられてしまった。
さて、掃除の時間。同じ場所の担当の人たちは来る様子がないので一人でする。というか、掃除ぐらいがなんなのだろう。僕の家には誰も居ないから、いつも一人で掃除してるんだけど、みんなどうしてそんなに避けるんだろう。どうせしなきゃいけなくなるのに。とかどうでもいいこと考えつつ掃除を終わらせ、帰路につく。踏んづけられたタンポポが道路に虚しくへばりついていた。その上を踏んで歩いた。足の裏からタンポポがにょきにょき生えてきたら面白いなーとか思ってクスリとしたのがいけなかった。
「おい、何笑ってんだ?」
「先輩、こいつ今先輩見て笑ってましたよ。」
「ああん?誰だ?…一年か。上等だオラ。」
ドンッと胸元を突き飛ばされ地面に叩きつけられる。ちなみに、僕の通う私立K高校の制服はネクタイが学年別に色分けされているという素敵システムが搭載されているのだ。
「何ひとりごといってんだ?殺すぞ。」
有り得ない。また天の声(←いや独り言)が発動していたようだ。しかも死なされるようだ。
「おい、お前、金は?」
「すみません、ちょっと今持ち合わせが…。」
「うっせーよバーカ。」
言うなり、蹴りを放ってきた。
―ミシッ。
「オラ。さっさと出せや。」
「カハッ…。カハッ…。ハァ…ア゛…。」
「邪魔くせえやつだな。脱がせちまうか。」
「しょうがないっすね。やっちゃいましょうや。」
そう言って、てきぱきと僕を脱がしていく。抵抗はできない。先程の脇腹への蹴りが効きすぎて、まともに身動きが取れなかったからだ。
「こんな感じでしょうかね。」
「はっ、こいつ包茎でしたよ。」
「だっせえなぁオイ。見た目だせえ奴はみんな包茎なのか?おお?」
「…クッ。」
「こいつ今先輩に唾かけようとしましたよ。」
「…めぇ上等だ。」
ゴキッ!メリッ!ミシッ!ボコォ!ドスン。ドスン。ドスン…。
気がついたらまた保健室にいた。もう見るのもうんざりといった感じでこちらを見てくる治療先生。さっさと服を着て御暇しよう。そうだ、夜は何にするか決めてなかった。うーん。そうだな。なんか口切ってて痛いし、どうだろ、蕎麦でもしようかな。
「―大豆生田君。」
「なんでしょう?」
「これ、持っていきなさい。」
「なんですか?これ。」
「…文字が読めるならわかるはずよ。さっさと帰りなさい。」
「はぁ…。ではさようなら。」
「…気を付けて。」
そっけないけど、傷薬?痛み止め?的なやつをくれた。何か嬉しい。道路にへばりついていたタンポポはいつの間にかすっくと上に伸びており、虚しさはどこかに消えてしまっていた。
セイントターミナル(第二回)―主人公の一日は昨日のことなんて覚えてられないぐらい大変なんです―
今回もたどり着けませんでした。この小説は…どうなんだろ?下品な話になる予定なんですけどね?うん、わかってます。今でも十分ですよねwという訳で、第二回はここで終了です。次もちょっと…たどり着けないかもです。
追記:
小学校、中学校、高校、大学、職場exc…どんなところにもタチの悪い奴の一人や二人、いるものです。そういう手合いに対して、どう接していますか?華麗にスルー!できたら一番賢いんでしょうけど…。何か、ユニークな対処法などされている方、ご感想に添えていただくのもよろしいかと…。自身の安全は、自分で作っていかないとですね。
さいごに:
皆様からのより多くのご意見・ご感想をお待ちしております。なにかといたらない点ばかりでごさいますが、最後まで御付き合い頂き、光栄至極に存じておりますので、もうひとつ、お手間をいただき、わがままにお付き合いください。