波の国のお姫様

波の国はいつもゆらゆらくらり
寝転がっているのがやっと
お城もお家も無くて
みんな漂っている

お姫様はただかわいいドレスが着たかった
でもフリルもレースもリボンも
お姫様の身体を海へと沈めるだけ
ゆらめく太陽の光、遠くなる
唇からもれて走ってゆく水泡
苦しい
リボンが海月のように舞う
涙も、声も、海に吸い込まれてしまった

波の国に王子様は現れない
波の国の人はいつも空ばかり眺めて浮いているから

波は海。海は涙。涙は、お姫様の。

波の国のお姫様

波の国のお姫様

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2013-07-28

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