鬼と獣、六

最終話です、たぶん。

繋がる心、そよぐ風

何事も無かったような店内。
桃太郎とシロが店内へと入る。こちらはこちらで楽しんで来た様子である。



「何と無く暇つぶして来ましたけど…話の方はまとまりました?」

桃太郎が尋ねる。


「…あ、うんっ!順調だよ。ね、鬼灯?」



「ええ、まとまりました。…では、用事も済んだ事ですし。帰りますかシロさん」


白澤はまだ落ち着かない様子である。鬼灯が何も変わらぬテンションで切り返す。


「もういいの?…ん〜、じゃあまたね桃太郎!白澤さん!」


シロは少々名残惜しそうに挨拶をする。


2人がドアを開けて外に出る。
桃太郎は見送りに出たが、白澤は来ない様だ。



「あ、忘れ物をしました。ここで待っていて下さい。直ぐに戻りすから」

鬼灯が思い出した様にそう告げると足早に店内へと戻る。
白澤は椅子に反対を向いて座り、背もたれに顎をのせる体勢で浮かない顔をしていた。
そして、帰ってきた鬼灯に気付くと、平常心を装い、どうしたのと声を掛けた。

「別に。…また来ますから。今度は私1人で。では…」

鬼灯は白澤に近づく事なく小さくそれだけを告げると外へ出て行った。

「やっぱ可愛いじゃん…」


白澤は小さく溜息をつくと、くでんと背もたれに脱力した。



鬼灯はと言うと実は照れていたという事実を全力で隠蔽するために下を向いて、眉間にシワを寄せた。
周りから見れば相当に機嫌が悪く見えただろう。


「鬼灯様、怒ってない?また白澤さんと一悶着あったんだな…シロ、癇に障っちゃ駄目だよ」
いち早く異変に気付いた桃太郎がシロに素早く忠告した。


「わあ、わかったよ〜、気を付ける」


シロもこれには素直に従った。



「では、失礼します…」


鬼灯が軽く頭を下げて帰路へ。
急いでシロも続く。





夕方になりかけた空はオレンジがかり、緩やかに風が通り過ぎていた。



これで鬼灯の、そして白澤の一日が終わる。

二人のこれからに期待。

鬼と獣、六

鬼と獣、六

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  • 青年向け
更新日
登録日
2013-07-27

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