黒猫カフェ

⑴「いらっしゃいませ」

*****

「はあぁぁ…………」


ストレスの解消法といえば、とりあえず寝る事と食べる事。
女子力低すぎるのは自覚していても彼氏も今のところなし。
そんな女子がこの世の中生きていくにはどうしたらいいのか。

そんな事を2ヶ月前までは考えながら、カビくさくなりそうな毎日を生きていた。



そんな生活を変えてくれたのは
ご近所で見つけたお洒落なカフェ。
おしゃれ、だけだったらどこにでもあるけれど……この黒猫カフェは少し違ってた。


「お疲れですねぇ」


冷たいアイスティーが行儀悪く机と仲良くしていた私の目の前に置かれた。スタッフさんの1人、アキヒロくんだ。
ココ、黒猫カフェは黒髪のイケメン君達が飲み物やスイーツを届けてくれる素敵なとこ。
執事喫茶ともホストクラブとも少し違っていて、でも、普通のカフェとも少し違う、一風変わったお店なのだ。

普通のカフェならきっとこんな風にいちいち来るお客さんの1人でしかない私の名前と顔を覚えたり、注文しなくてもその時飲みたいものを当てて出してくるなんて事はしない。


「なんか楽しいことないかなって」

「お仕事大変なの?」

「疲れが抜けなくて……」

「そっかー。あ、新作のケーキあるよ?」

「じゃあそれも。」

「承りました。気分が少しでも変わるといいね?」


ここにくるだけでも凄く気分転換になる。
アキヒロくんにかぎらず、ここのスタッフはみんなこうなのだ。接客、というには独特で…友達とも彼氏とも違う。
日常から少し離れているのに、こんなにも自分をわかってくれて、わかってくれようとしてくれるのだ。

お茶やケーキも凄くお手頃だし、隅っこに格安なアクセまで置いてて……働く女である自分から見ても利益あがってるのか不思議なくらいだ


「はい、お待たせしました。桃のレアチーズケーキですよー。」

「可愛いー!」

「でしょ?」



お店の外観や雰囲気
ケーキやグラスにお皿
スタッフさんたちと制服
アクセに至るまで、凄くセンスがいい

ホストクラブみたいに気安く触ってこないし
執事喫茶みたいに凄く特別扱いしてくれるわけでもない
指名料とかメンドクサイ設定やルールもない


まさに女の夢の園。



「あ、この間買ってくれたアクセ…付けてくれてるんだね」

「うん。可愛いよね。こーゆーの好きなんだぁ」

「そっかー。」



個人的にはここで凄く似合ってるーとか付けてくれてる君も可愛いねーとか言われるとなんかテンション下がるけど、アキヒロくんは本当に嬉しそうにアクセをつけた私を見てニコニコ笑ってくれるだけ。
でも本気で喜んでくれてるのがわかるからその方が嬉しかった。



「今日もひとつ買おうかなって思ってるんだ!」

「あ、これとか好きそう。」

「うん!好き!ここのアクセって店長さんの趣味?もっとコーナー大きくしてもいいのに!」

「みんな見てくれるけど、あんまり買いはしないからね。店長も少し置ければいいみたいだよ?」


まぁお財布の紐が硬い世の中、確かに衝動買いする人は少ないのかもしれない。
でもやっぱり可愛いし、私は凄く好みだからつい買ってしまう。



「あ、そうだ。店長からね、お手紙預かってるよ。」

「手紙?」


差し出されたそれは、真っ黒な封筒に真っ赤な猫のシールが貼られていた。
このお店に何回か通っているけれど、店長さんはまだ会ったこともないのに……何だろう。



「アクセ買ってくれたし、疲れが溜まってるみたいだからよかったらって。」

「なぁに、これ?」

「特別券。」


割引券とか、それともメイド喫茶とかみたいにスタッフと写真とれます的なあれなのか。
よくわからないまま、封筒をあければ、真っ白な便箋にはとんでもないことがかかれていた。


「………マジ、ですか?」

「うん。実はこの店ソッチがメインだったりして……あ、でも誰でもそれ使えるわけじゃないんだ。」

「そ、ソウデスカ……。」

「………嫌だった?」

「………びっくりするでしょ!まぁでも…嫌じゃないし、むしろ…うん。やったーって気持ちもあったり…?」

「そっか。まぁスッキリするかもしれないし、よかったらまた今度……。」

「今。指名はアキヒロくんで。」

「……あは!承りました。」






【夜の黒猫カフェ】

この間はアクセサリーお買い上げありがとうございました。
スタッフ達がいつも貴女のお話をしてくれます。
最近少し、お疲れ気味のようですし、日頃の感謝を込めて貴女様を夜の黒猫カフェにご招待したいと思います。

夜の黒猫カフェは、お客様の心と身体をケアさせていただいております。
とても簡単に言えば、スタッフが貴女の欲を何でも満たしてくれるというもの。
スタッフと夜を共に出来る特別券をご用意いたしました。


追加料金などはございません。
ただし御利用の際はこの間買ってくださったアクセサリーを身につけておいてください。それが通行書となっております。


※お好きなスタッフを1名お選びください
※避妊は必ず致します。
※お付き合い、とは違うのでご了承ください
※特別ルールがございます。スタッフから説明がありますのでそちらに従っていただくようお願いいたします。


貴女様が少しでも元気になって下さることをお祈りしております。





「それでは、また夜にお会いしましょう。」

⑵「こんばんわ」


****


「こんばんわ。いらっしゃいませ。」


夜の黒猫カフェはとても静かで何だかとても神秘的だった。
私服のアキヒロくんは、なんだかいつもと様子が違ってて何だか余計に恥ずかしい気がする。



「せっくす…しちゃうの?」

「うん。」

「風俗…?」


そーなるのかなぁ、なんてアキヒロくんはいつもの優しい笑顔で笑ってくれる。
今までは風俗とかホストクラブにハマる女の子なんて……と思っていたけど、今ならなんとなく気持ちがわかる。


「アキヒロくんは…嫌じゃ、ない?」

「まさか。むしろ気持ちよくなってくれるなら嬉しいよ?」



お付き合いじゃなくて
恋人ごっこじゃなくて
つまり、アキヒロくんが私に精一杯ご奉仕してくれるらしい。

ルールもとてもシンプル。
「勘違いしないこと」、それだけだ。


恋人同士のセックスは、男が気持ちいいもの。
女の子も気持ちよくないというわけではないけれど……正直オナニーの方がイケる。
だから正直、恥ずかしい事に凄く興味があった。


だってこんな女の子の夢のセックスだ。
恋人のセックスは気持ちが満たされるものだけど、これから行われようとしているのは身体を満たすものだ。

オナニーするのは男だけじゃない。
女の子だって気持ちいいのがいいに決まってる。



「さ、こちらにどうぞ?」


黒猫カフェの2階。そこの一番奥の部屋。
そこには女の子が好きそうなもので埋め尽くされていた。



そんな空間で、アキヒロくんにギュッとしてもらえてるこの状況だけでドキドキする。


「お風呂は入ってきたんだね?」

「え、エチケットかなって……」

「あはは、そんなに緊張してるの…初めて店に来てくれた時依頼だねー。」


いつもの優しいアキヒロくんの口調と手つき。
それなのに少しずつ脱がされていく状況だけで、あそこがじゅんとする。

昔の彼氏に散々濡れが悪いと言われてきたのに……マジか。
こんな扱いひとつで、空間だけで、こんなにも違うのか。



「紐パン…どうしょう……凄く好きなんだよね」

「え、そうなの…?」

「うん。すぐ脱がせるから、気持ちよくさせてあげられるしね?」


胸の愛撫なんかよりも、すぐに触れてくるとか。
確かに胸の愛撫だって、どちらかと言えば男の趣味に近い。


揉みしだいて、楽しむのとは違う。
アキヒロくんは確実に私が、女の子が気持ちいいところを触ってくれる。


「すんなり一本入るね?わかる…?俺の中指、ほとんど根元まで入ってるよ。」



そう言っていつものように嬉しそうに笑うから……余計に濡れる。
可愛い顔して手馴れだ!なんてもう考える余裕もない。



「震えてる…立ってるの疲れた?」


そう言って、私の愛液で濡れた指がいやらしく太ももにはってくる。
そのまま、ベットに私を寝かせたアキヒロくんは、濡れた太ももに優しく…ゆっくり舌を絡ませてきた。
熱い吐息がかかってくすぐったいし、舐められたところがスースーして余計に変な感じがした。



「……ローター、使ったことある?」

「な、い…けど……」

「気持ちいいよ?」


アキヒロくんの長い指が、今度はローターと一緒に入ってくる。
知識にあっても使ったことも見たこともなかったそれに少しと戻ったけれど、そんな考えもすぐにとんだ。


やばい、なんだこれ。


「ね?」


アキヒロくんはローターをそのままに、私の足の指を丹念に舐めてくれている。
足のなんか舐められたことなかったけれど、これも困ったことにすごく気持ちいい。



「や、あし…ぃ……!」

「気持ちいいでしょー?」



舐めたりくわえたり吸われたり。
ローターからの振動だけで、きっと3回はイケる。
それなのに、アキヒロくんが優しく…それでいて執念深く舐め回すから………もう始めて数分で私の下半身はぐしゃぐしゃだった。

黒猫カフェ

黒猫カフェ

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • 成人向け
  • 強い性的表現
更新日
登録日
2013-07-23

Copyrighted
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Copyrighted
  1. ⑴「いらっしゃいませ」
  2. ⑵「こんばんわ」