短編集

この詩は、上司幾太が人生のなかで、思ったことを忘れないよう書き綴った、作品集である。

あのとき気づいたことを忘れないようにと・・・。

短編集

1、変わる

私は社会人になったが、社会に馴染めずに世捨人、同然の生活を送っていた。

周囲からは社会のクズ、日本の恥。
散々に言われた。

親身になって話してくれる人も居たが、私の心には響かなかった。

ただ、私の心に語りかけてきたのは、人の言葉ではなく。ただ、一切に過ぎて行く時間だった。

たとえ、幾つもの人の言葉を重ねても、変わらなかった私の心に時間だけは、真実を語ってくる。

時間だけは私の心を今日も少しだけ、少しずつ変えてくれる・・・。

2、待つ

待つ、私はあなたのことを待った。

春、夏、秋、冬季節が巡りまた一年、また一年と時が過ぎて行く。

ただ、寂しくはなかった。

「何時か帰ってくる。」

その期待を私は持ち続けていたから。

随分と歳をとったけれど気持ちはあのときの見送ったときのまま。

「また、帰ってくるよ・・・。」

あの時の言葉が今も耳に残っている。

たとえ、この身体朽ちても私はあなたを・・・あなただけを・・・待続ける。

それが、私の・・・幸せ・・・。

3、出会い

魂と魂の出会いは、儚く短い。

そんな儚く短い時間のなかで、何かを感じる。

それは、悪いものではない、何か温かく、心地良い・・・。


ただ、儚く、すぐに来る別れがまた、虚しく、苦しい。

しかし、その別れはまた新たな魂との出会いの始まり。

私はどれほどの魂と巡り会ったのだろう。

記憶は無いけど、魂に刻まれた何かは確かに残っている。

何故出会い、何故別れるのかは知らないけれど。

そんなに悪いものではない・・・。

4、歌

物心、ついたときからこの歌が始まった。

この歌は時に聞きたくない歌であったり、

時には温かく私を包んでくれる。

他にもこの歌はいろんなことを教えてくれる。

濁ったもの、透き通ったほど美しいもの、


痛み、苦しみ、喜び、悲しみ。

この歌は耳で聞いてるだけじゃない。

私の存在、意識、全てで聞いてる。

この命、尽きてもこの歌は終わらない。

もう、終わりはしない・・・。

5、名残

今の自分と昔の自分とでは、感じかたや考え方も大きく変わってしまった。

ただ、心の奥にある何かは、昔となにも変わらない。

「変わらないものはない。」確かにそうかもしれない・・・。

しかし、変わっていようと、変わる前の「名残」は存在する。

その「名残」が人に感動を与えたりする。

「名残」に気付ける心を大事にすれば。

過去を未来を大事に出来そうな気がする。

6、玄関

私は何度この玄関の扉を開けただろう・・・。

幼い頃から、自宅の玄関の扉を開けるとまるで魔法のように日々が変化していく。

毎日毎日、玄関の扉を開けて外に出ると何かが起きる。

雨の日に玄関の扉を開けると、雨の匂いがする・・・。

不思議な香りだ・・。

何時しか玄関の扉を開けなくなると、何も始まらない、日々が続いた。


ドラえもんのように「どこでも行けるドア」ではないけれど。

全ての家の玄関の扉は「なにかが始まる。」「なにかが起きる。」扉ではある。

家の外に出ないと始まらないことが沢山ある。

意外にも魔法の扉は身近にあるものだ。

7、作る?

よく、「私がこれを作った。」と言うが、人はこの地球にある資源を利用して、組み合わせたり、加工したりしてその物を変化させたに過ぎない。

人は何一つ、作ること生み出すことは出来ない。

地球上にある資源の利用方法を工夫してるだけに過ぎない。

なら、生み出しているのは何か?

作っているのは何か?

その答えはわからない。

何時しか人は、生み出した、作った者を神様もしくは創造神と呼んでいた。

8、傍観者

私の中には二人の私が居る。

一人は一人の人間として、泣いたり、笑ったり、怒こったり しながら一人の人生を送る私。

一人はあくまで傍観者として、私の目線で世の中をただ見ているだけの私。

どちらも私・・・。


いつか、いつの日か人生が終わるとき、この二人の私が、人生のことを教えてくれると思っている。

それは、答えではないだろうけど、それは今までで、一番、答えに近いはず。

これが、一人の人間の限界である。

9、見えない

私は、「見えない」。
何が見えないのか何が見たいのか何も分からない。

ただ、春には綺麗な桜を見て、暖かい風を感じたい。

夏には焼けるような日差しを浴びて、眩しいくらいの向日葵を見たい。

秋には木々の葉の綺麗な紅葉を見て、少し肌寒い風を感じたい。

冬には、白い雪が積もった雪景色を見て、吐息が白くなるくらいの寒さを感じていたい。

願うことはそれだけなのだが何故、今私は悩んでいるのか、何に悩んでいるのか。

何故、悩まなければいけないのか。

私には「見えない」。

10、180度の窓

私達人間の視野はだいたい180度だ。

そう、どの人間も見えてる範囲はせいぜい「180度」。この窓の中で常に人間は世界を見ている。

この「180度の窓」から見える景色は常に変化して、人間は世界を見ている。

世の中には、まるで世界を知った風に、なって様々な人に説教や否定する者がいるが、所詮その人達も今までの人生を「180度の窓」でしか、生きて居ない人達。

そんな者が世の中を知れるわけがない。

世の中を知ってる人など何処にもいない。

なぜなら、君自身が見ている「180度の窓」の景色が君がいる世の中なのだから・・・。

11、複雑社会

現代は何故こんなにも複雑な仕組みになっているのかを私は考えて、ある結論に辿り着いた。

私の考えでは、全ての原因は「お金」であるのではと考えた。

現代「お金」がなければ殆どの人達は生きていけない。

つまり、その「お金」をあらゆる手を使って手に入れようとしたために、税金、貸付、株など様々な方法が現れた。

しかし、それは「お金」という魔物から離れられない社会を人間みずから作り出してしまった。

その、魔物に取り憑かれると「心」を失う。なぜなら最優先されるのが心ではなく「お金」になるからである。

私は「お金」がこれから先どれだけ、人間を狂わせ、社会を狂わせるのか見ていくとしよう。

12、悪魔

私のこの世で一番怖いものは人間である。

昨日まで仲が良かったのに急に冷たくなったり。
普段なにげなく接していて、裏では違ったり。
いいときは近づき、悪いときは離れていく。
ひとつのことで態度が変わる人間が私は怖い。

生きていれば失言だってある、本当に真っ直ぐ純粋な人はそうはいない、誰だって間違いはある。

それをたったひとつのことで人を疑い、信じなくなる。

いや、たったひとつの事で疑うこと事態、かりそめでしか人を信用してないのだ。

私はそんな人間を見ると悪魔に見えるときがある。

13、ダメ出し

よく、人は人に対して、「なんで、そうなんだ。」「お前ってやつは!」など、自分のことは見ようとせず、人の批判ばかりして、酷い時は性格さえも否定する。

だが、批判ばかりする人を良く見るとその人も突っ込みどころ満載であったりする。

こういう事が無くなるのを私は願って止まないが、生憎と人はそこまで良く出来ていない。

ひとつ解るのが、他人を批判・否定するのではなく、他人を批判・否定する自分自身を批判・否定する必要があるんだと、私は思う。

14、燃焼

私は私なりに必死に人生を生きた。

今は何をするにしてもやる気が出ない、社会では、「自分なりにやった。」は意味がないと言われるが私はそうは思わない、

たとえ社会では結果が全てだろうと、今その結果が出なかっただけであり、

また、これから先にある結果には少なからず影響するのだから無駄ではない。

と、思うのだが先とは、どれくらい先になるのか見えないことが私のやる気を無くしていく・・・。

15、誤解

あの人はああだ。
この人はこうだ。
聞いた話しであの人は・・・。

人は自分の目で真実を見ているようで、見ていない。

いや、見ていない。その「誤解」で人は真実を潰して、偽りを真実とする。

最後には何が真実で偽りなのかがわからなくなる。

自分の目に見えてるもの、自分の思う事すべてが真実と思った時、人は「誤解」がわからなくなり、やがて周囲を傷つける。

やがて、一人になると、人は言う「社会が悪い」気づくべき自分に何時気づくかは自分次第か時の運。

だが、そういう生き方もまた人らしい・・・。

16、見つめる

人は何かを「見た。」ときにじっと見つめる。

見つめる時、それはきっと興味が無い物ではないだろう。

あなたが今、自分のやりたいことを探しているなら、自分が「見つめた。」物を思い直してはどうだろう。

もしかしたら、ヒントが隠れているかもしれない・・・。

人は興味が無い物を見つめたりはしないのだから。

17、先にあるもの

1日1日をとにかくやれるだけ必死に過ごして、やっているけど一体その先に何があるのか。
成長した私の姿があるのか・・・。
社会人としての成長とは一体なんなのか。はたまた、仕事を通して何かしら得るものがあるのか。
私にはこの「先にあるもの。」がわからない。

18、傘

雨粒ひとつひとつを肌で感じる。それは嫌なもやもやを消し去る為に、自分の心を洗うために、だから私は傘を持っていても傘を差さない時がある。

19、時

嫌な時、楽しい時、辛い時、苦しい時、悲しい時、いかな時にさえ時は一秒づつ容赦なく進んで行く。
「誰か時をとめて。」
「誰か時を早めて。」

そんな気持ちをよそに時は過ぎてゆく、

時はこの世界で唯一皆に同じだけある平等である。

しかし、私に取ってはなんとも辛い平等である・・・

20、ただ

「ただ、会いたくて。」「ただ、寂しくて。」「ただ、悲しくて。」「ただ、楽しくて。」日本人は気持ちを説明できないときに「ただ・・・。」を良く言う、他に言葉がないのである。どんなに口が達者であろうとも、人の心は説明出来ないことがある。
大昔からある言葉では足りないのである。知るとすれば「ただ、感じることだけである。」

21、向日葵

気持ちが晴れなくてどうにかしようと思って、ふと、部屋に花を飾ろうと思った。

花瓶を最初に買いまた後日に花屋さんに入って見た、「部屋に飾りたいと思って。」と言うと、店員さんに向日葵を進められた。

鮮やかな黄色で如何にも元気をくれそうなので、向日葵を買って部屋に飾った。

ふと気付くと向日葵は部屋の明るい方に向いていた、そういう特質をもっていたのは知っていたけど、

実際に見るといつも明るい方を向いている向日葵を見ると気持ちが少し明るくなった。
ありがとう、向日葵。

22、キャンパス

産まれたばかりの赤ちゃんはまだ何も描かれていない真っ白なキャンパスを渡された。

物心がつくと、キャンパスに描くための筆を持つ。

けど、まだ描けない、なぜならパレットに色がまだないから。
だから描くための色を探して、パレットに集めていく。

そして、色を集めながらキャンパスに絵を描いてゆく。

誰にも同じ絵など描けはしない、その人にしか描けない絵を描いてゆく。

ただ、感じるままに、思うがままに。この世に一つしか無い絵を評価などできるはずもない。

それはただ紛れもない描いた証。

23、夢の花

夢はふとした事をきっかけに芽生える。

それに向かって進み出せば成長する。

勝負の時になれば蕾まで成長したものが花が咲くかが決まるとき。

たとえそれが散る結果になろうともそれは無駄になることはない何かしら得たものがあるはず。

花咲いた物は油断してはいけない本当に困難なのは、これからなのだから。おごりや欲に負けようものなら容易く花は散ってしまう。だからけして油断してはいけない。

夢を見るのと叶えるのは似ているようで違うもの。夢を諦めないのも諦めるのも自分が納得する結果であれ。

24、何時からだろう

何時からだろう学校が楽しく無くなったのは。
何時からだろう子供の時の夢をあきらめたのは。
何時からだろう夢が持て無くなったのは。
何時からだろうこんなに気持ちが冷めてしまったのは。

また何時からか楽しく生きて行ける日がくるのだろうか。

そう信じて今日も私は生きてみる。

25、本棚

家の本棚を見ると私が今まで読んできた本や読み途中の本、

読むのを止めた本、

まだ読んでもいない本などが沢山並んでいる久しぶりに手にとって読んで見ると

懐かしい本、改めて読むと内容が面白い本、物語が斬新な本など様々な本があった。

しばらく本なんて読まなかった私が改めて本を読むと色々考えるものがあった。
もし、家に本棚があれば久しぶりに本を読んでみてはどうだろう新たな発見があるかもしれない。

ないかもしれない。どちらにしても面白い。

26、答え

よく事あるごとに人は「答え」を求めたがるそれはただ単純に一つのハッキリとした「答え」が人は欲しいからなんだと思う。

けど、「答え」を出してしまえばそれについて考えなくなる。

そうしてしまうとさらにいい「答え」があるにもかかわらず、それにも気付けなくなる。

数学や物理などのテストとは違う。生きてるうえで迷ったことに正しい「答え」などありはしない迷った分だけ考え方が深くなり人の付き合いも広まる。

「答え」など出るものではない。

27、砂漠

誰も見てくれない、誰も認めてくれない誰も声をかけてくれない。

今まで僕はそんな事を悩んで苦しんでいた。

自分の心の中に自分を閉じ込めていたためそんな風に思っていた。

でも実際は誰も見てくれないのは他人を見ようとしないから。

誰も認めてくれないのは自分が他人を認めてないから。

誰も声をかけてくれないのは自分から声をかけやすい雰囲気を作ってないから。

温かみがないような時代でも、まずはいろんな風に受け止めて、工夫してみると乾いた砂漠のような心も草が生えるかもしれない。

28、思い

悔しかったり、辛かった気持ち、幸せだった気持ち、泣いたり、笑ったり人の気持ちは常に揺らぐ。しかし、どんなに揺らごうとも時間がそれを薄くする。

薄くならない辛い思いをしたならそれを超えれば強さになる。
薄くならない楽しい思い出があればそれは力になる。

時間が経っても薄くならないのであればそれは本当の「思い」である。

思いは人を強くする。思い出は力になる。

思いを持たなければ強くなれない、人に優しくできない。

思いを持ち、悩み、苦しみ、楽しんだ者が本当に温かい人になる。

29、まぶた

眠たいときにはまぶたが重い、何かを思うときはまぶたをつむる。涙がこぼれ落ちそうなときはまぶたを閉じる。
目は感情を表現するのに口ほどに物をいう。

そんな仕草で僕は人を信じたりする

29、明日

今日が駄目なら明日がある明日が駄目なら明後日がある。

そんなふうに僕は前を向いて生きてきた。

友達とケンカして気持ちがもやもやした時もあった。

失敗をして夜、布団にうつ伏せになって悩んだ時もあった。

努力しても結果が出なかった時もあった。
時には逃げたり、卑怯とも言われた。

それでも今を生きている限りは明日がある 良くても悪くても明日がある。

どんなになっても明日がある限り僕は生きていく。

人生を終えるまで・・・。

30、届かなかった空

子供の頃、空に手が届くような気がしてよく手を伸ばしていた。

大人になった今でも時々、空に手を伸ばしてみるけど、身長は伸びたのに子供の時みたいに空に手が届く気がまったくしない。

それは、空の高さを知ってしまったからなのか、それとも子供の時のような弾むような気持ちを無くしてしまったからなのかはわからない。

僕にも夢があった。それは叶わなかったけれど・・・。

飛行機にも乗ったけどあの日の空みたいに手を伸ばしたくなる気持ちにはなれなかった。

今の僕は病院のベットの上、余命も少ない、結局、空には手が届かないまま終わるのか・・。

せめて子供の時に思った気持ちのままで終わりたいな…。

31、響いた言葉

ありがとう。財布を落とした人にそう言わた。誰かを思いやる気持ちなど持ちあわせていなかった私でも、そういう言葉だけは、嬉しかったただ単純に嬉しかった。それ以降の私はもう一度頑張りたくなり、新たに自分をやり直した。人はきっかけひとつで良い方にも悪い方にもかわる。私は良いきっかけに出会えたようだ。

短編集

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  • 随筆・エッセイ
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-21

Public Domain
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