夢と希望と時々あなたと…

わたし…桜には夢がある。

夢のためにわたしは何ができるのだろうか…

今日もあの青空を見ながらため息をつく。

蕾の…

いつもの道。
いつもの優しいおじいさん。
いつもの野良猫たち。
いつものローカル電車。

そして、いつもの高校。

わたしの通っている高校は、田舎にしては名の知れた、進学校である。

「皆様、おっはよー!!!!!!!!」

「おはよーみおん」 「おはよ♪」

わたしはいつも笑顔だ。疲れるくらい。今もバカみたいに笑顔を振り撒いている。

「朝っぱらからうるさいぞっ…みおん…」
素っ気ない態度のこいつは浩史。腐れ縁みたいなやつで、小学生の時からずっと一緒の幼なじみだ。
唯一わたしのことをわかってくれる、大親友だ。
「浩史~☆わたしと会えなくて寂しかった~?(笑)」
「…うぜぇ…」
そういって浩史は机にうつ伏せた。

「みおん…おっは♪」
「ゆい!!おはよ~☆」
この子はゆい。しっかり者でお母さんみたいな存在。でも、この子には本当の自分を出せないんだ。
「いっつもテンション高いね(笑)悩み事なんてないでしょ~?うらやましい~」
「当たり前じゃん♪わたしが元気じゃない日はないの♪」



そんなの嘘。
わたしは悩み事しかない。テンションなんて無理矢理高くしてるだけ。
そう、みんなのみおんは本当のみおんじゃない。
ただの虚像だ。


「キーンコーンカーンコーン」

「みんな、席につけー、特にみおんはテンションも下げるように。」

どっ!!!!みんなが笑う。

「そんなの無理ですよ~先生~♪」

今すぐにでもできるよ。テンション下げるなんて。

自分の中でそっと呟いた。


また、一日が始まった。

夢には無意味でしかない、灰色の高校生活の1ページが始まった。


そう、この時はつまらない1日をどう過ごすかしか考えていなかった。

この時までは。

夢と希望と時々あなたと…

夢と希望と時々あなたと…

夢のために青春を駆け抜ける… 蕾のような桜が、大輪の花を咲かせることができるのかしら…

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-21

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted