女の子

女の子は死にました
誰かの変わりに死にました

非常識な会話


女の子は悲しくなりました
誰かが捨てたパンを見て
女の子は泣きました
誰かが言ったさりげない一言に
女の子は苦しみました
誰かが話していた会話に


女の子は身代わり人形でした

誰かの変わりに悲しみ
誰かの変わりに泣き
誰かの変わりに苦しみました

ある日
女の子は会話しました

誰かの変わりに会話しました

相手は若い男でした

男は嘆きました
「どうしてお前は殺したんだ!!」
「どうして…」

女の子は困りました
誰かの変わりに困りました

男は嘆きました
「答えてくれ…」
「あんたは人の命をなんだと思ってるんだ!!」
「自分の為だけに…自分の為だけにそうやって!!」
「どうにかいったらどうなんだ!!」

女の子は苛立ちました
誰かの変わりに苛立ちました

女の子は答えました
誰かの変わりに答えました

「いくら渡せばこの事を黙ってていただけますか?」

男は隠し持っていたナイフで
女の子を刺しました

女の子は死にました
誰かの変わりに死にました


女の子が死んだ次の日に
有名な株式会社の社長が捕まりました

殺害容疑で逮捕されました
ある女の子が通報したのです

社長が逮捕される前の日に
殺された少女の父親が会社に乗り込んだそうです

しかし誰もその男を覚えてはいませんでした

通報した女の子の事も
誰も覚えてはいませんでした


女の子は死にました
最後に誰かの変わりになって
「俺の娘を殺したのはこいつだ」

そう言って死にました
誰かの変わりに言いました

女の子は死にました
誰かの変わりに男を殺して

自分も

誰かの変わりに殺されて


誰かの変わりに死にました
女の子は死にました

女の子

女の子

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 成人向け
更新日
登録日
2013-07-20

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