おじさんと少年　Ⅱ

内容矛盾してたらごめんなさい、あとで直します！

「はぁ？何を言っているんだ・・・君は・・・」

僕は耳を疑った。

「だから、僕は家に戻りたくないっていってるでしょ？おじさんの家にしばらくお世話になりたいんだけど」

「いや、僕の家ぼろぼろだし。何より僕家事とか一切やってないよ？全部コンビニ食か外食だよ？」

「それなら大丈夫。心配しないで」

「え？」

「僕、こう見えても家事は一通りできるんだ。料理も掃除も洗濯も。まったく、おじさんはダメだなあ」

「え、嘘、君小学生だよね・・・？」

「逆に聞くけど、おじさんって僕より年上だよね？なーんでなんにもできないのかなあ～？」

「・・・面目ないです」

自殺をしよう、と考えていたのはつい数時間前。

なのに。

「へぇ～、ここがおじさんの部屋かぁ～。ってかぜんぜんぼろぼろじゃないじゃん。これなら僕が一人増えても大丈夫そうだね。って、キッチンあるじゃん、しかもきれいだし。おじさんったら、なんで使わないのさ～。洗濯機もあるし、掃除機もあるね！道具を買いに行く必要はなさそうだね。そうだ、この近くにスーパーとかある？・・・って、どうしたの、おじさん」

どうしたもこうしたもない。

近頃の小学生はすごいんだな、と思った。

いろんな意味で。

にしても、よく話す子だ。

「よくしゃべるっていうか・・・こんなに話したの、僕だって初めてだよ」

・・・小学生に思考を読まれるとは。

何だろう、この敗北感。

少し悔しかったので話を、そらすことにした。

「っていうかほんとうに僕の家に住んでしまっていいの？やっぱり親御さんも心配するんじゃないのか？」

少年は一瞬悲しそうな顔を見せた。

やっぱり、小学生だなぁ、と思った。

次第には、

「・・・いいのっ！僕は歌手になるまでここにいるっ！」

とかなんとか言って駄々をこね始めたので仕方なく許諾した。

まあ、仕方なくといっても、少し、ほんの少し、この少年が住んでくれるのが嬉しかった。

「君、学校は？」

「通ってない」

「は！？」

「だって、学校通ってもつまんないし」

「つまんないっていってもなぁ・・・」

「勉強ならもう高校生の内容やってるし」

「は！？・・・は！？」

「まあ、さっきも話した通り、親が厳しかったから・・・さ。僕は勉強しかしてこなかったんだ」

（また、悲しそうな、顔だ）

僕の年齢は、少年には言ってはいないものの、全くもって『おじさん』の年齢ではない。

でも、もしこの少年が歌手になるという夢を叶える時がくるならば、きっとその時は本当におじさんになっているのだろうな、と思う。

少年と僕は約束をした。

わりとどうでもいい内容の、約束。

その約束が、今も僕を生かしている。

この少年は、本当にこんな、ろくでもない僕でよかったのだろうか。

施設に預けるとか、親御さんの元に行かせる、とかしたほうがよかったんじゃないだろうか。

本当に・・・

僕なんかが、この少年と居ていいのか？

僕が死のうとした理由は、とても単純で。

ただ、めんどくさかったから。

人生に疲れたから。

この世界に・・・疲れたから。

こんな・・・なにもない、なにも持っていない人間が

理由もなく自殺しようとする人間が

傍にいては

いけないんじゃないか？

少年は、迷惑だと思うんじゃないか？

鬱陶しいと思うんじゃないか？

僕は・・・

「また、だ」

少年が口を開いた。

「・・・？えっと・・・」

「また、その顔。おじさん、そんなに僕のこと迷惑なの？」

・・・え？何を言っているのだろう。

僕が、迷惑してる？

『その顔』って、なんだ？

「何の・・・話？」

「・・・だからっ！！そんな辛気臭い顔しないでよ！僕、おじさんにそんな顔させるために、ここに来たわけじゃないよ・・・」

少年は悲しそうな顔をしていた。

僕は、バカだなあ。

自分からこの子にこんな顔をさせるなんて。

「・・・ごめん、たいしたことじゃないんだ。大丈夫、ありが・・・」

「本当に！？僕が来て、鬱陶しいとか思ったんじゃない？」

「それ、僕のセリフ」

「・・・え？」

僕はすこし、笑った。

なんだ、簡単なことじゃないか。

「これから君が僕と一緒に居ることで、君が僕のことを迷惑だとか、鬱陶しいとか、思うんじゃないかなって考えてた」

「・・・」

「僕は、寂しかったんだ。

空っぽの僕は、ただ、寂しかったんだ。

でも。君はこう言った。

『でも、わかるんだ。おじさんは、いい人だ』

久しぶりだ、こんな、温かい気持ちは」

僕の口は、自然と動いていた。

「僕は、君と居て、話してて、楽しいと思った。僕は、僕自身の意思で、君の夢を叶えるって決めたんだ。親御さんたちには・・・そうだな、僕が無理矢理引き留めたことにするよ。だから・・・こんなところでよければ一緒に、住もうか。あ、でも・・・僕は家事とか一切できないから、よろしくね。歌手になるには・・・オーディションとかいるよなぁ・・・。まあ、そこは多分なんとかなるからいいか・・・って、ど、どうしたの」

少年を見ると、

泣いていた。

「・・・っ、ひっく、なんで、なんでおじさんは、そんなに・・・うわぁぁぁぁああんっーーー・・・・・・」

何で泣いているのか、僕には理由なんてわからないけど。

「・・・これから君の服とか、いろいろ買いにいかなきゃいけないね。もう朝になっちゃったし・・・夜ご飯ってよりは朝ご飯だけど・・・食材も調達しなきゃだしね。だから・・・」

ぽんぽん、と、少年の頭を撫でてやる。

「うん・・・っ」

あぁ、

「一緒に、いこう？」

生きててよかった。

『でも、わかるんだ。おじさんは、いい人だ』

君の方が、僕なんかよりずっと

いい人だよ。

おじさんと少年　第二弾。おじさんサイド

おじさんと少年　http://slib.net/19808　（おじさんサイド）

少年とおじさん　http://slib.net/20068　（少年サイド）

わー、ここからどうしようかしら。なにかないかなぁ。