ネコと食卓


猫の絵柄が可愛いグラスに、冷えた麦茶を注いだ。
茶色の海に沈む猫の姿を眺めながら、少年は遅い朝食を取る。
夕飯の残りが大半の食卓で、1人きり、いただきますの声は誰の耳にも届かない。

半端に身をほじくられたアジの開き、ポテトの残骸がついたレタスだけのポテトサラダ、炊飯器の中で硬くなったお米。
少年は文句も言わずそれを平らげると、1人きり、ごちそうさまの声はやはり誰の耳にも届かない。
最後に、茶の海で溺れるネコたちを救ってやって、少年は綺麗に片付いたお皿を流し台に連れて行く。
 

ネコと食卓

ネコと食卓

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-17

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