正しい

蹴られた。
でもそれは当然の事だった。彼は怒っているのだ。そして蹴りたがっているのだ。
蹴りたがっているというか、本当は彼自信も怒って蹴る事なんてしたくないんだけどしかたがないからやるしかないみたいな。
うん。俺でも蹴ると思う。こうでもしないかぎり俺は彼をなめて今まで以上に彼の言う事を聞かないと思うし、馴れ馴れしくなった後から注意されても「え、今更?」って感じだ。その後からの注意の仕方はどんだけ優しく言っても今のように蹴られる事よりもむかつく。蹴られる事は当然な事、素直な心の衝動に行為によってやられる事。当たり前だ。そこには嘘がないかもしれない。信じれる痛み。そう言う事。痛い。
で、俺は彼に何をしたのか。それは彼に俺が「ホモ」って言った事。
何故そんな事を言ったか。目がホモっぽいから。それだけ。
世の中には可能な事と不可能な事がある。不可能に思えて可能になる事もある。人類は宇宙にも行ったし、深海にも潜れたのだ。
しかし、彼のホモっぽい目はどうしようもない。どんだけ人類がもがこうが、彼の目から出てくるホモオーラを取り消す事はできないだろう。
彼は蹴った後に俺に聞いた。
「俺のどこがホモなんだよ。言ってみろ。」
「、、。死ね。」
自分でもよくわからなかった。なんで死ねって言ったのだろう。返事をいろいろと考えている内に勝手に口から漏れてしまった言葉がこれだ。
「おい、おい、、おいっ!!」
と言いながら彼は数回俺にビンタを食らわせた。食らいながら俺は考えた。
どうしようかな。俺も殴り返そうかな。一応相手は先輩なんだけど、、。確かに俺がホモと言ったのは悪いけど。でも、ホモにしか見えないんだよな。あ、痛っ!
彼はちんこに蹴りを入れられてひるんでいる俺に向かって上からこう言った。
「てめえ、殺すぞ?」
俺は痛みを感じながら考えた。どうしようかな。ポケットにボールペンが入っているんだけど、それで太ももでも刺そうかな。いや、片目でも潰そうか?んー。でも後が面倒くさい。このバイトもクビになるだろうし、こいつもこの辺住んでそうでいつ仕返しされるかわからないし、、。まあ、後、一番はあれだな。もう、警察と関わりたくないㅠㅠ。
「しゃーせん。」
「は?」
「しゃーせんでした。」
「、、、。」
「しゃーせんでした。」
「、、、、。てめえ、次やったら殺すぞ。」
とりあえず、ここは我慢して謝る事にした。彼は帰って行った。
ん~。悔しいな。まあ、でもしょうがない。俺が悪かったんだし。
でもやっぱり彼が蹴った事は正しかったな。うん。それは間違いない。目はホモだけどしっかりしてる人かもな。うん。
それにしても世の中暇だ。なんか無いかな。おもろい事。どっかから爆弾降ってこないかな。暇すぎる。
ん~、じゃあ今度はあの先輩にケンカ売ってみるか。おもろいかも。
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結局次に絡んだ先輩はなんも言ってこなかった。俺がどれほど「はげ」「死ね」と行ってもなんも言ってこない。
あ、言われた。「すみません」って。なんで俺が謝られなきゃいけないんだ。心からそいつに対して「死ね」と思ってしまった。
数回顔面を殴った。後の事なんて考えない。こんなクズみたいな奴は殺すべきだ。つまんない。ただでさえもつまんない世の中なのにさらに俺をつまらなくさせた。これは許せない。死ね。

正しい

正しい

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-17

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