意固地なアイス

冬に食べるアイスもおつなもんです。


放課後に無人の教室で、棒つきミントアイスを頬張った。
君は歯磨き粉みたいだから嫌いなんだったっけ。
窓から入り込んだ風に吹かれても、冬のアイスは溶ける気配がない。
むしろ寒さに吹かれてもっと硬くなった気さえする。

「おいしいよ」
ここにはいない君に差し出してみる。
教室の窓から日がさした。冬の早過ぎる夕暮れ
暖かな橙色に校舎ごと包まれて、ようやくアイスも柔らかくなった。

意固地なアイス

意固地なアイス

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-15

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