- BREAK fast -
あつあつ新婚を書きたかったんだよばかやろーうっ
…それだけです((
「 …ん 」
目を覚ます。
ジューゥ…
フライパンで油と共に何かを焼く音
パタパタパタ…
スリッパと一緒に軽い音が近づいてくる。
少しスキップ気味だ。
ガチャッ
「 靖人ぉー朝だよぉー…あ、今日は起きてたんだぁ 」
妻になったばかりの柚木が悪戯な笑みを浮かべながら俺に近づいてきた。
「 うっせーよばーか、俺だって早く起きる時ぐらいあるっつーの 」
俺の横に座った柚木の小さくて丸い頭を片手で乱す。
柚木は「もーっ」と言って笑いながら寝ぐせだらけの俺の頭を乱す。
俺と柚木は恋人だった。
しかし数ヶ月前、俺の人生最初で最後(のつもり)のプロポーズでゴールイン。
俺達の関係は今、世間でいう新婚だ。
まぁそんな事はどうでもいいが。
俺はセミロングの柚木の髪をそっと嗅いだ
「 ん?どーしたの?いい香りでもした? 」
「 ん、あぁ。ハムの匂いがした。超朝飯の匂い。喰っちまいてーぇっ 」
冗談交じりに言った。
柚木はちょっと怒り気味で俺を叩いた。いや、殴ったの方がいいかな?
「 食べるなぁーっ!美味しくないからぁっ! 」
「 お、じゃあ味見してやるっ! 」
「 きゃあーっ! 」
笑いあいながら二人してベットに倒れる
そして見つめあって
ちゅ
触れるようなキスを交わした。
ザァー… きゅっ
ガタッ
「 ふぅー… 」
「 えっ…と…です、ね。 」
さっきまでにこにこしていた柚木が苦笑いでキッチンの仕切り越しで言った。
「 その…ですね、あのぉ… 」
…またか。
「 しょーがねぇーよ。ほれ、腹減ったって俺の腹が言ってんぞー 」
「 …分かった… 」
柚木が朝飯を出すのに戸惑う理由。
それは…
コトン… コトン… カシャ…
「 めっ召し上がれっ! 」
「 うっはぁー…相変らず今日もいかつい料理達だなぁ… 」
柚木は料理がへったくそだ。しかも超のつく程。
本人も自覚はあるしちゃんと上手くなろうと、美味しくしようと頑張っているが…
目玉焼きは焦げてる。ハムは塩辛い。ご飯は何か固い。ウィンナーは中が冷たい。
マシといえば野菜と…
お、今日は…何だコレ?炭の塊かぁ・・・!?
「 …しなないでね? 」
「 ぼそっと不吉なことゆーなよ。 」
その炭の塊(柚木曰く、ミートボール)を箸で掴んで口の前で手を止めていたら横でそんな事を言われた。
ええい!!食うっきゃないっ!!
「 いただきますっ!! 」
-----
ゴソゴソ…
「 ご…っ ごめんねっ 大丈夫?気分悪くない? 」
「 大丈夫だって。心配すんなー。 」
ミートボールもどきを食った俺は即効シンクへ向かい口内の、
最早得体の知れないモノを吐いた。
もう殺人級だ…すまん柚木…
朝飯を全て無理矢理詰め込んで水で流し込んだ為
柚木は少し寂しそうな、申し訳なさそうな顔をしていた。
俺はそんな空気が嫌だったので柚木の手を強引に引っ張ってキスをした。
柚木は「んっ」とか言って唇を重ねた。
「 弁当。作ってくれよ。 今度。 」
耳元で囁いた。
柚木の顔は少し戸惑いを表していた。
もう一度俺は柚木にキスをした。
今度はさっきに比べ、深いキスをした。
柚木の口から甘い吐息が漏れる。
「 食ってやる。全部。だから大丈夫だ。作ってくれ。 」
唇を離してから、今度は面と向かって言った。
我ながら恥ずかしいものだ。
俺は赤面して行く顔を柚木に見られる前にドアと向き合った
「 んじゃあいってきます。 」
がちゃっ
「 待ってっ 」
柚木の焦りにも似た声が聞こえた。
俺は立ち止まって振り返った。
きっとまだ少し顔が赤かったと思う。
だがそんなことはどうでもよかった。
だって…
「 これは、成功したの…っ おっ、お昼にでも食べて…っ! 」
俺の視線にはタッパーに入った少し崩れた、とても綺麗な黄色の卵焼きがあったのだから。
「 でっでもねっ!?美味しくなかったら無理して食べなくてもいいのっ! 」
ひょいっ ぱくっ
「 へっ!?ちょっ!? 」
昼にって柚木は言ったが俺は無視して一切れ食ってやった。
柚木は俺の顔色を窺いながら聞いた。
「 ど…どうです…か…? 」
「 満点 」
- END -
- BREAK fast -
柚木は実は料理すんごい下手なんです。不器用なんです。
だけど靖人の為にがんばってるんです。
そんな柚木の料理は不味いけど愛情詰まってるからまぁいいか
みたいに思っていつも靖人は無理矢理完食するんだけど…
きっとずっと食べてたら体に毒だよね。((