ラヴ・キューブ~同性にならなくても~第3話
2話の翌日…って読めば分かりますね。
<追記>ちょっと修正しました。奈々はいませんね。
例の如く同性愛表現があります。注意を。
二人三脚リレーの組み合わせが決まった翌日、私は朝練習の為に朝早くからから学校に向かった。
弁当とかは今日は冷凍食品を詰め込むだけでいいや。自然解凍するし。
それより今日は優と二人気になれるからそれだけでいい。
さて、優は気付くかな?それともいつも通り気付かないのかな?
でもいい加減気付くと思うけどね。
学校に着くと優がいた。まだ体操服に着替えては無いようだ。
「おはよう、優。」
「おはよ。」
「今日から二人で練習だね。頑張ろう!」
優はやれやれって言いながら、校舎に向かった。
私は部室が空いているのを利用するために部室に向かう事にした。
部室には金子がいた。
「おはよ~。」
「おはよう。今日は楽しみだな~!」
「相変わらず優と一緒になれるのがうれしいのね。こういう機会はあまりないから興奮とかしてたりするでしょ?」
「もちろん。でもとりあえず落ち着かないと優に怒られそうだね。」
最も、優がどう思っているのかは想像に難くないけどね。
昨日の優の反応がそれを露骨に示しているから。
着替えて校庭に行けば、優もいるだろうからできるだけ早く着替えて行こう。
校庭に行くと優が…麻美と口喧嘩してた。
麻美はどう見てもまだ着替えてない。
「何で裕那と組んでるの!!」
「僕に言われても困るけど。正直不可抗力だったとしかいいようがないね。」
「そんなので納得できるわけが」
「だってこれが現実だもの。優、練習しよ?」
私が優の手を引いて、無理やり終わらせた。
麻美が何か叫んだような気がしたけど、気のせいだろうね。
さて、足に縄を結んで立ってみたけど、
「裕那、変に動かないでよ…っと。」
「あ、ごめんね。」
優と一緒にいられるからって舞い上がらないようにしよう。
機嫌を損ねたくないもの。
「肩組んだ方がいいかな。男と組みかったけどな。」
「決まったことだからしょうがないよ。」
「はぁ…右足上げるから左足あげるように。」
そう言われて左足を上げる。
一緒に前に進めた後、右足を上げて前へ進める。
そのまま、優と歩みを進めて行…
「いた…優、どうして突然止まったの?」
「全く…言ったつもりなのに、止まらないのはそっちだろう。」
何で私は気がつかないんだろう…。
でも、それよりも起き上がらないとだめだね。そして、また歩調を合わせる。
それを今だけでなくこの先も。
「さて、またやろうか。右足上げるから左足あげるように。」
そのまま朝のHRの時間までやっていたのに私と優は気がついてなかった。
掛け声は無かったのに。…恐らく優は本気で集中してたみたい。
「はあはあ…なんで…こんなのに…遅刻なんてすることになるだろう…。」
もちろん私と優は全力で走って教室に入った。既に1時間目は始まっている。
先生は小さくため息をついた。
「こんなので遅刻か?」
「す、すみません…。」
「理由はクラスの子から聞いたけど、いくらなんでも集中する方向を間違えちゃいねぇか?とりあえず座れ。」
そのまま授業受けたけど、私の視線は黒板にも先生にも行かない。
休み時間、金子が話しかけてきた。
「裕那、頭の中がオーバーヒートしてたでしょ?時間が気になってなかっただろうし。」
「だって優が近くにいて…。」
「まあ、気持ちが分からない事は無いけど、頭冷やすようにしてね。」
私は優の様子を確認してた。
見た所、優は麻美に喧嘩を売られているようだ。でも優はスルーしてる。
「裕那、奈々は裕那になにがあったんですか!!ってしつこく聞いてたから…理由を言う必要ないよねって言ったら、なんで隠すんですか…っていうのを何回もしたんだけど…。」
「お疲れ様としか言えないね…奈々は知らないもの。」
「麻美はどうしてあんなに残念になったんだろう?あ、今に始まった事じゃないかも。」
「それってどういうこと?」
金子は少し笑っている。
「裕那に惚れた女子はそういう運命を辿ったと思うよ。」
私に惚れる…ってどういうことなんだろう?しかも女子。別に狂わせてるつもりは無いけど…?そういう趣味の人でもいるのかな?
「裕那は変にかっこいいところがあるって一部で有名だよ。」
「無いと思うけど…あ、文化祭の出し物に執事カフェでもやる?」
「まだ運動会が終わってないでしょ。でも面白そう。そういえば、打ち上げ行く?…優が来るらしいけど。」
打ち上げかぁ…興味は無かったけど、
「優が行くなら行こうかな。」
「やっぱり行くんだ。」
放課後。
二人三脚の練習をする。
優と肩組んで…二人っきりで練習。
もともと今日はないけど、優に頼んでこうしてる。
「裕那、もしかすると縄が解けてないか?」
見ると、縄が解けているようだ。
再び結ぼうとすると、崎斗がやってきた
「お、優と裕那か。こんな時にも練習してるのか。」
「崎斗、ちょっと裕那と代わってほ」
「あ、崎斗。ちょっと縄が解けたから結んでくれる?」
崎斗は優の言ってる事を無視して、縄を結んだ。
前よりかなりきつくなったのは気のせいだろう。
「なんで裕那とやるのか理解ができないな…。」
「そのうちわかるに決まってる。優は裕那ともう少し仲良くしようと思えば余裕でわかるだろう。」
崎斗はそのまま楽しそうにどっかに行った。
ついでに誰かを無理やり連れて行ったのがぎりぎり見える。
「…練習続けようか。」
私は頷いた。
気がつくと既に暗くなっていた。
私は気がついて、優はあまり気にしてないようだ…。
「優、もう遅くなったけどどうする?」
「本当だ。とりあえず解こうか。」
そう言われたから、私が解こうとするけど…なかなか解けない。
崎斗に結んでもらってから一切解いてないから、多分崎斗が何かしたんだろう。
今は優が解こうとしているけど全く解けそうに無い。
「これ確実に固結びしてるぞ…崎斗の嫌がらせがこんな時にもあるなんて…。」
「ということはどこかからはさみとか持ってくればいいね。」
と言ったものの実は今いるのは学校の中じゃなくて寮の近く。
だから寮の中に入りたいけど、当たり前な話男子寮と女子寮に分かれている。
無論男子寮に女子は出入り禁止、女子寮に男子は出入り禁止。
女子でやってばれた人がいたらしいから今は以前より少し難しくなってる。…なんでかは想像に任せるけど。
「電話でもして誰かにはさみでも持ってきてもらうか。崎斗なら確実にもってそうだからそこからしてみるかな。」
そう言って優は電話をしたけど…
「断るってどういうつもりなんだい?……え?そのままどっちかの部屋に行けばって無理だろう。…って金子って子ははさみ持ってないの?」
優の話を聞く限り、私の選択肢を読んだのか金子も持ってないようだ。
「え?こっそり何か縄の間に入れてるって?…って切らないでよ。」
「…どうする?」
「仲が良い人に頼める?」
「金子は無理って言われたし…。」
麻美は自宅通いだから論外。
残りは部活の先輩とか後輩に掛けるしかない。
で、掛けたけど忙しいとか持ってないとかと言われて断られた。なんでと言いたくなったけど言わないでおいた。
それよりこの状態の解決方法を考えないと。
こうなったらもう適当にどっちかの寮に行くか無理やり解くの二択。
しかたないので二人で無理やり解くことにした。
…推定三十分後。作業がちょっと進んだ。
…それから五十分後。混入してたのはどうやらただの釘…じゃなくて小さい鉄の棒のようなものだ。
…優の顔が近い。二人で作業してるからそりゃあ近くなるのはしょうがないけどね。やっぱり優はかっこいい。
優は一心不乱に作業をしてる。もう少しで解けそうだ。
推定1時間半後。やっと解けた。
「はぁ~…崎斗のおかげで無駄に時間がかかった…。今何時?」
「8時過ぎみたい。…門限は8時半だったよね。」
「じゃあ、急いで帰ろうか。」
「優。」
優が行こうとするところで私が呼び止める。
「何?」
「明日も頑張ろうね。それと…。」
私は優にキスした。
「え…あ、うん。」
私は部屋に戻った。
運動会までには一緒にたくさん練習したい。
とりあえずリナリアの花を確認して、水をあげる。実ができるのはいつだろう。
優がそのうちに知ってくれると良いんだけど…。でも、そう簡単にはできない。
優は片思いしてる。私はその優が好き。おまけに優は鈍感なところがあるし、基本的には男にしか興味が無いというのも。
初恋は叶わないとか言われるのは有名だけど、絶対に叶えたい。
だって…人生は楽しい事ばかりなんかじゃないもの。だからこそ、良いことを願う。
ラヴ・キューブ~同性にならなくても~第3話
二人の関係が進まない気がするのは気のせい…でしょうね。
執事カフェって、来るのは女子ばっかりになりそうですけどね。どこぞかの少女漫画のようになることは無いですが。(どこだろうね)
因みに裕那と金子さんは文化祭の委員で、クラスの出し物を決めたりもします。
次回は運動会+打ち上げになります(予定)。
長くなりそうですね。