静かな桜は恋の秘密のように

自分より外の世界へ

桜の花

 僕は、快活に笑う彼女に手を引っ張られ、街を案内してもらいました。
 逃げ水で輪郭が定まらない、舗装道路を踏みながら、小走りに。
 保健室の外には、面白い場所がたくさんあること。それを僕は知りました。
 ショッピングモールのなかの、ガラス張りの天井を持つ広場を抜けて、そのむこうは桜の花びらが降る自然公園がありました。
 色とりどりの傘を広げた人達が、その小さな世界のなかで大切な人と一緒に、静かな桜の雨を楽しんでいたのです。

静かな桜は恋の秘密のように

ある映画で知ったのですが、桜の花の落ちるスピードは秒速5センチだそうです。

静かな桜は恋の秘密のように

保健室登校の僕。僕に依存する彼女。彼女は僕のために外へ行く。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-13

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