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決して不自由ない高校、決して切れることのない友情。


何不自由ないものが溢れかえった世界。


だけど、どうしてこんなにも痛々しいんだろう・・・。

プロローグ

「うおっ!?G高(ゴキブリ高校)が通ったぞ!!」

「やべ、今日のテストこれでもう赤点だあああ!!」



へー。G高・・・。
そりゃあお気の毒に。
まあ、確かに偏差値20ぐらいだもんなー・・・。


と、俺はあくびをしながら大声で話してる男子二人組を追い抜いていく。
天気は曇天。雨降るのか降らないのかどっちだよ、せっかく傘持ってきたのによ。


湿気のせいでやたらとうねる金髪のくせ毛をいじる。
長めの金髪のせいで片目が隠れてしまっているが、大きめの瞳、シャツは第四ボタンくらいまで開けて、その中からは派手な色のTシャツが覗いている格好は傍から見たら不良として写るんだろう。俺は全く気にしてねえけど。


「・・・って、あいつ谷森じゃね?」


「うわー!!!言うなよ!見てないことにしてたのに!あいつを見たら運気がこれでもかってくらいに下がるらしいぞ!!」


おいおい、また変な噂立てられてるぞ、谷森さんよ。
今月入って何回目だよ。
もう軽く五十回は変わってるぞ。


必死にひきつる口元を抑えながら早足で歩く。
なんでかは分かんねえけど、早くこの場から離れたいって思うからな。

が、現実は甘くなかった。


「お!谷森ー!!」


・・・今、背後からなんかいかつそうな声が聞こえた気がした。
うん、きっと気のせいだ!だって俺は谷森じゃない!普通の不良だ!


俺は何事もなかったかのように華麗に超逃走(スーパーダッシュ)を実行に移した!

俺じゃねえよ、本気で人違いだ!!!


すると、今度は背後からさっきとともに叫び声が響いてきた!!
やべ、殺される!!!


次の瞬間!


「テメエごるああああああ!!!」


「ギャアアァアァ!!」


背中に何かが思い切りぶつかったと同時に俺の体は宙を舞い、目の前にあるゴミ捨て場に突っ込んだ。


うげー・・・、生ゴミ臭ぇ(くせ)・・・。


「てめえ、蹴り飛ばすのはいいけど場所考えろや!臭ぇじゃねえかボケえ!!」


「ツッコミドコそこか!?ていうか、てめえが俺様のことを無視するから悪いんだろうよ!」


と、真っ黒なオーラを放つメガネをかけた中肉中背の茶髪男子は鼻で笑いやがった。

も、もう我慢ならねえ・・・!!


「はーとーりいいいい!!てめえ、一回、・・・いや、百回死んでこいやあああ!!」


八取は悪びれた様子もなく「朝の挨拶を丁寧にしてやってんだろうがよ」と豪快に笑った。
うわ、やべえ。コイツまじで殺してえ!!


俺はゆっくりと立ち上がると、周りでギャーギャー言ってる野次馬どもを睨みつけて「オラオラ、いくら俺がイケメンだからってそんな熱視線送ってくんなよ!」と言ってやった。


・・・って、みんなはともかく、あの八取まで思い切りフリーズしてやがる!なんでだ!?


「てめえ、一回殺していいか?」


「残念。この無敵で天才で真のアホの谷森風磨様を殺せるやつなんていないからっ☆」


ドヤあと効果音がつきそうな最高の笑顔で言ってやると、八取は思い切り口元を引きつらせた。


「最後以外全て余計だ。ま、んじゃあお先」


ピューっと逃げていく八取。

お先って・・・。今何時だ?
腕時計に目をやる。『10時30分』



「って、遅刻・・・だと・・・!?待てや八取いいいいい!!!!」


俺は全力で八取のあとを追った。


もうわかったと思うが、俺は谷森風磨。
雨稲高校の二年だ。


いつも通りに一日が幕を開けたが、このあとの悲劇なんて予想もしてなかった。

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一番頭が悪いと言われている、雨稲高校。 あんまりにも雨稲高校に通っているせいで馬鹿にされるのに限界を感じた風磨は、 ついに怒りを爆発させる。 そのせいで、一番頭がいいと言われている巣羽流多高校に、敵対視された風磨は、巣羽流多高校へ向かう。 そして、そこでひとりの少女に出会い・・・。 少女、美姫との出会いによって不気味な現象が、次々巻き起こる。 さて、風磨の運命はいかに。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • ミステリー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-13

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