スナッチハンド
立ち会がるとき
さて
ここは魔法使いと盗族と人間の3種族が住まう世界アステリア
魔法使いが絶対的な権力と力をもち
盗族は世間から嫌われ
働くところも、住む場所さえも奪われるようになっていた。
「王子、本当に行ってしまわれるのですか?」
「はい。私は外の世界がみたくなったのです。」
「兄ちゃん、何をかんがえてんだよ」
「大きくなったらあなたが盗族の国をまもるのですよ」
そういうと、ハワードは国をでていくのであった
3年後
ハワードは17才になっていた
「遂に手に入れた!!これが大魔法玉アベレーションか」
アステリア北部の洞窟で、ついにハワードはそれを手に入れた
その1週間後
「なにものだ!この魔法国局には一般の人間ははいれぬぞ」
「大魔導師の資格をとりにきた」
「大魔導師だと?ふむ、見たところ人間のようななりをしているが、それにまだ子供ではないか。なにか魔法使いの証明は?」
「・・・アベレーション」
そうハワードが唱えるとハワードの体が赤く輝きだし、自分よりも数倍身長が高いであろう門番をひょいと持ち上げて見せた
「10第魔法の一つアベレーションか。これは驚いた。通っていいぞ」
同じように魔法国局試験場でもすんなりと試験を通過し、7代大魔導師の8人目として大魔導師の資格を得るのだった
「一応説明させていただきます。魔導師には魔力の高い順にランクがついています。ハワード様は現在の大魔導師達の中では一番魔力が低いので8位ということになります。因みに1位から、スローヌ、ボルケイノ、ブリザック、クローム、スピーダー、スラッシャー、リサーヌの順に順位がついています。あくまでもこれは魔力のみの話ですので、戦力の話になるとまた違ってくるかもしれませんね。」
「わかった」
「それから、ほかの大魔導師との接触はなるべくさけてくださいね!戦いにでもなったら国が壊れちゃいますから」
一通り説明を聞き終えた
お金の心配はいらない。社会的な生活に関してもなに不自由なく動ける
そのかわりに世界のため魔法を使わねばならないというのだった
ハワードは人のため動いた
もとから正義感が強く、人のために動けるハワードにとってはあまり苦ではないことばかりだった
半月がたち初級の魔法が扱えるようになり、炎の魔法の強化が終わったころ
ハワードは作戦を実行するため北の地へむかうことにした。
ハワードの真意
ハワードは北の地の町中へきていた
「あなたも雪かきかなにかを頼みに来たのですか?」
目の前にはランク第3位のブリザックがにっこりと笑いながら白い椅子に腰かけていた
「あんたを倒しに来た」
「・・・戦闘を志望ですか!ではこちらへきてください」
外にでて、人気も木もない、ただ雪の積って真っ白な場所へとやってきた
「ではお相手いたしましょう」
そういうと、無数の冷気の塊のようなものがハワードめがけてとんできた
「遅い」
ひらりひらりとかわし、あっという間にブリザックの目の前にたどり着いた。アベレーションの魔法を唱えると、ブリザックの腹めがけてパンチをかました
「なるほど!身体強化系魔法の一つアベレーションですか!つまりあなたが8番目の魔導師!おもしろいですねえ!」
ブリザックは傷一つ負ってはいなかった
「さすがだな。近づいてきてから、魔法反応を確認すると同時に自分の腹に氷を集めてガードしたのか」
「よくおわかりで。それでは、私も生半可な気持ちではお相手できませんね」
そういうと、ブリザックの心臓部分が青白くひかりだした
そして地面に手をかざすと、勢いよく地面から巨大なつららのようなものが生えてきた
「したばかり気にしていてはコレはよけられませんよ?」
にっこりと笑い、アイススト―ムと唱えるとそれは手から離れて氷の渦となりハワードにとんでいった
「相殺してやるっ!!」
ファイアストームと唱えると炎の渦が氷の渦めがけとんでいった
しかし、周りのつららは燃やせても炎の渦は氷の渦にかき消されてしまった
「むだですよ!絶対的な魔力の量が違いすぎる!相殺にもなりませんよ!大体、アベレーションは魔導師とは相性がわるい!魔導師達は魔力が使える変わりに人間よりも力がありません。だからアベレーションを使ったところで盗族と同等の筋力しか得られないのです!それに比べ私の大魔法玉エナジーアイスは氷魔法の根源、いわば無限の燃料のようなもの!それにこの雪の地・・・場所も時期もはるかに私のほうが有利ですよ」
ハワードはゆっくりと近づいてくる氷の渦に、逃げもせずただのみこまれていった
「即死ですかねこれは!私に戦いを挑むのがまちがっていた!いいですか?大魔導師同士の殺し合いは禁止されてはいません。なぜなら、体の中にある大魔法玉は死体を解剖すればとりだし、また使えるからです。あなたの代わりは作れるということです!だから魔法国局は大魔導師同士の接触をさけさせるのです。」
そういい終えるとブリザックはアイスストームの魔法を解き、両の手をあわせた
「なに死んだことにしてくれてんだよ」
雪煙のなか、ぼろぼろのハワードが現れた
「なぜ!あなたの魔力の量だとあの時間渦の中にいたら凍り付いてるはずなのに。・・・まあいいでしょう。最強の魔法で仕留めて差し上げましょう。アイスギャリックっっ!!」
そういうとブリザックの心臓部分はより一層輝きだした
「いまだ!スナッチハンド!」
ハワードがそう言い放つと、ハワードの心臓部分から大きく白い、まるで手のような形をしたものがブリザックの輝いている場所へとんでいった
「な・・・んですかこれは?」
ブリザックの中から青白く輝く玉を抜き出すと、ハワードの心臓部分へと帰って行った
ブリザックの輝きは消えていた
「その腕、盗族の紋章ですね。それに今のは盗族にしか使えない盗賊の手というやつですね?あなたが盗族というなら最初の軽やかな動きも、アイスストームを受けきれたのも、ほかの魔族よりも魔力が大分低いのも納得がいきます。盗族なのに魔法が使える・・・というのは少し不思議ですがお父様かお母様が魔導師の血縁の者だった上で、大魔法玉まで手にしたというならなっとくいきますね。」
冷静に、それでも時折体をぶるぶるとふるわせながら話していた
「すまんがあんたには俺の正体を知られてしまった。理不尽だが許してくれ。アイスギャリック!」
「それも運命ですかね」
そういうと初めてあったときのような満面の笑みでゆっくりと凍り付いていった
ハワードは泣きながらアベレージを唱え氷を大破させると
地面にうずくまり両の手をあわせた
悪い盗族
ブリザックが倒れたことは即座に国中に広まった
≪魔導師狩りだ≫と。
しかし魔法国局が焦っていたのはブリザックが死んだことではなっかった
ブリザックが凍死体だったこと、それと大魔法玉が見つからないことであった
氷属性の玉の持ち主が凍り付いて死んでしまうことはほとんど考えられない事態であるし
なにより、魔法玉を抜き出すには高度な技術がいる。うまく取り出さねば割れてしまうからだ
その魔法玉がないとなるとお手上げじょうたいだ
結果、公には魔導師狩りと称し注意を呼びかけ、犯人をみつけようと考えたのだ
しかしハワードはこの事態を予測していた。なので平然と、スピーダーのいる北西森林地区へと向かうのであった。
森林地区につくと目が丸くなるような貼り紙が貼ってあった
{現在この先で我が町の大魔導師スピーダー様と魔導師狩りが戦闘中。町民はすみやかにここから立ち去ること。}
ハワードは急ぎ何が起きているのか確認しに行った
森林の中の町を抜けると、少し開けた場所にでた
そこには3人いた
1人はスピーダーで間違いないだろう。体から黄色い光を発しながら高速で動いている
もう1人はわからない。しかし緑の光を発している。これも大魔導師であろう
最後の1人はおどろいた。右腕に盗賊の紋章がみえる。それに加えて体が紫に光っている
同じ目的の族の人間・・・ではないようだ。とにもかくにも隠れていた茂みから出て戦闘を開始することにした。
「おっと!あんた!ここは今立ち入り禁止だよ?それとも何か?おえらいさんか?」
スピーダーらしき男はそうハワードに言い放つ
「大魔導師だ。加勢にきた」
「頼もしいね!俺はスピーダー!こいつはスラッシャー。2人とも大魔導師の資格を持ってる。」
「ハワードだ。よろしく頼む。」
「あんたがハワード!新人か!てっきりあんたが魔導師狩りだとばかり思っていたぜ。噂じゃ、盗賊らしき人とブリザックが話しているのを見たってひともいるくれえだからな」
「俺は疑われていたわけだな」
ここでやっとスラッシャーが口を開いた
「新人ってのはなんでもなすりつけられるもの。すまない。」
「まあとにもかくにも大魔導師が増えたわけだが...どうも俺たちじゃ相性が悪いらしい。あいつ、まだ世に出回ってないタイプの魔法玉なんだ。」
スピーダーがみてみろというように盗族めがけ突進する。するとその盗賊はあり得ないくらいに体を曲げよける
すかさずスラッシャーが目の前を切り裂くような動きをすると空気が割れ、風の刃のようにとがった空気が盗族めがけとんでいく
しかし動くこともなくまた体をくねらせよける
「ドロールか?」
ハワードがスラッシャーに問いかける
「ああ!身体強化系魔法のドロールに間違いないだろう。ドロールは基本的に魔力を感じた時点で発動し、魔力を避けるようにして使用者を逃がす魔法らしいからな!」
スラッシャーに聞いたはずがスピーダーから返事が返ってきたことに疑問を持ちながらも、その瞬間にハワードはひらめいた。
(この状況。願ったりだ)
「スピーダーあいつの近くまで魔法で飛んで、魔力を完全に閉じて捕まえれば問題ないんじゃないのか!」
「やってみるぜ!」
結果、作戦は成功した。スラッシャーも同じく盗族を捕まえ、縛るものもないのでそのままハワードが質問をすることになった
しかし
「スナッチハンド」
ハワードは2本の盗賊の手を伸ばし
スラッシャーとスピーダーの魔法玉を取り出した
「おい!なんだこれは!ハワード説明し..」
言い終えるよりも先にハワードは2人を氷つかせた
ゆっくりとその魔法玉を自分の中に取り込み
凍らせた2人を砕いた
その目には、ブリザックを破壊する時に浮かべた涙もなかった
「さてゆっくり話を聞かせてもらおうか。」
しゃがみこみぶるぶると震える盗族
よく見ればまだ17~8の子だ
「あなたの盗賊の手、あれは王族にだけ使える手の色でした。そしてその顔。ジャンヌ・コリウス王子ですよね?」
「そうだ。王族命令だ。はなせ」
「お金が欲しかったんです。それで商隊がいたので、襲いました。一つの馬車に大事そうな宝箱があったので開いてみるとそれはそれはきれいな玉で、高く売れるだろうと思い手に取ったら、体の中に入ってきたんです。わけもわからず近くの村で一夜を過ごそうとしたらうっかり宿で右腕を盗族の紋章を人間にみせてしまいまして。それからは宿を追い出され大魔導師とやらに差し出され。その大魔導師が捕まえようとするんで逃げました。そしたらあいつはいきなり早くなりまして。捕まったとおもったら体がかってによけたんです。まるで骨が柔らかくなったみたいな感じでした。そいつは仲間をよんで、そしてあなたがきた、こんなところです」
「盗族は盗賊になってはいけない。お前は盗族のおきてを破ったわけだ。罰を与えなければな」
ハワードはその盗族から魔法玉を抜き出し、またしても凍らせ、砕いた
「アベレーションにアイスエナジー。そしてカーディスとウインドコントロール。それにドロールか。これで一気に5個になった。」
「よ!元気でやってる?やっとわしが見えるくらいになったかね」
「だれだ!」
神
いきなり現れたのは背の高いおじいさんだった
髭は白くて眼は細い、まるで神様のような人物だ
「わし?わし神。」
「どういうことだ?」
「どうもこうも、わしは神なの!面白いことを天界から探しとったら国を出ていく王子をみつけてな!おもしろそうだからずっとついておった」
「いままでずっとか?」
「なんなら今まで行った国全部言おうか?それともお前の旅の目的か?」
「あんたはいったい。」
「だから神じゃって。まあいいわ。そろそろ時間もないでの。お前さん次はボルケーノと戦うつもりじゃったろ。まだ早い。早すぎる。とりあえず〇〇のところへいきなされ。そこで学ぶものもあるでの。」
そう言ったところで神は消えだす。
「おいまて!まだ話が」
「お前さんは今5個の玉をもったことで一時的な魔力覚醒状態になっとる。だからわしがみえるし話せるんじゃ。とにかくそいつのもとへ行きなさい。いずれまた会えることを楽しみにしてるからね」
「ちょっとまてよ!!」
そこに神はもういなかった
リサーヌとの出会い
信じるべきなのかわからない”神”の言うことをあてにし、ハワードは貴族の町へとやってきていた
一方、魔法国局では相次ぐ魔導師狩り事件の容疑者を鮮明にしつつあった
もちろんハワードの名前もあがっている
さっそく事情徴収のためハワードの管理している町へ出向かった
もちろんそこにハワードがいるはずもなく、ハワードは重要参考人として警戒態勢を張られていた。
さて、ここはリサーヌの家
いつも通りに事をすすめるはずだった
「おかえりお兄ちゃん!外はさむいよ?早く中にはいって!」
「ん?あ...ああ!ただいまリサーヌ。おい!リサーヌと私になにか温かいものを用意しろ!」
「はい!ハワード様!」
ハワードとリサーヌは椅子にすわり、ホットミルクを飲みながら話した
「お兄ちゃんはなんで急に戻ってきたの?」
「それは..それはねリサーヌ、君の中にある魔法玉を取り出すためだよ?」
「そうなんだ!ねえ?お兄ちゃんって盗賊?」
「そうだよ。お兄ちゃんは盗族だよ。」
「お兄ちゃんはどうやって魔法玉をとりだしているの?」
「スナッチハンド。巷では盗族の手と呼ばれるものをつかってだよ」
「人の中にそれをいれるの?どういう仕組み?」
「難しいんだけどね。盗族の心臓はほかの種族とは違う構造をしているんだけど、鍛えることによって盗族の手は出せるようになるんだ。けど、本当の鍛え方ってゆうのがあってね、そのやり方は盗族の王族だけが隠し持ってるんだ。だから本当の盗族の手を使える人は少ないんだ。盗族の手っていうのはオーラみたいなものでね、つかみたいものをつかんで持ち帰ることのできる能力なんだ。もちろんオーラでできてるから人の体の中にも入れるし心臓なんかもとってこれるんだけど人の中に侵入する場合、条件が必要なんだ。」
「その条件は?」
「その者が魔力を完全にまとっていない状態であること。又は、対象者が自分の魔力を完全に解放状態であること。」
「そうなんだ。そういえば今ね?魔導師狩りってのがいるらしいの。リサ、こわくてこわくて。」
「大丈夫。お兄ちゃんが守ってやるから」
「さすがお兄ちゃん!大好き!!」
そういうとリサーヌはハワードに抱き着いた
『ハワード!ハワーード!あららこりゃ完全にリサーヌの術中じゃな。あいつの魔法は強い信念にだけは屈する。どうにかハワードが旅する目的を思い出したらいんじゃがのう』
時間がたち、ホットミルクもさめだしたころ、その時は来た
「お兄ちゃんはなんで魔法玉を集めてるの?」
ハワードの顔が歪んだ
「それは、それは?えっと」
しまった!とばかりにリサーヌが言葉をかぶせる
「あ、いいのいいの!」
「いや、まってリサーヌ、これは忘れちゃいけないような気がする。ん?忘れる?」
「ちっ!メモリーアタッチが解ける!こりゃ新しい記憶に書き換えるしかないかもな。メモリーアタッチ!!」
「俺は、、うっ!またあの感覚。負けない。俺には指名がある,,んだあああああああ!」
「なに!?私の頭のなかに盗賊野郎の記憶が流れ込んできやがる。やめろ!っやめてくれえええええええ」
正気にもどったハワードの前には
さっきまでみていたリサーヌより10年は年をとったような(自分と同い年くらいの)少女が悶えていた
スナッチハンド