おじさんと少年

ちょっと矛盾してるところがあったので直しました!!

寒い。

夜だからだろうか。

喉がカラカラに乾いている。

何故だろう。

何故なのだろう。

あぁ、思い出した。

もうすぐ、僕は



死ぬんだった。









「お前、こんなところでなにしてるんだ?」

ほっといてくれ、僕のことなんか。
誰だか知らないが

僕はもうすぐ死ぬんだ。

僕はもうすぐ・・・

死ねるんだ。



「おい!お前!なんで歩道橋なんかで叫んでんだよ!!」

え?

誰が叫んでるんだよ。



僕が叫んでる・・・のか?

だから喉がカラカラなのか。

そうか。

死にたいのに。はやくこんな腐りきった世界から去りたいのに。

なんで、なんで僕は

「叫んでるんだろ・・・」

「ほんっとだよ!なんでお前叫んでるんだよ!うっせーよ!」

隣を見ると小学生・・・高学年だろうか。少年が立っていた。

自分とは違う世界に住む人間だな、と思った。

この子は汚れを知らない、この世界の汚さを、

これから知るのだろう。


「僕・・・なんて叫んでた?」

「嫌だぁーーーっ!って。ずぅーっと叫んでたぜ?うっせえ高校生だなーっておもって近づいたら、全然高校生じゃなかった。中学生?」

その言葉に、少し笑ってしまう。

「高校生?そんな時期もあったけど、もう僕はおじさんだよ」

「えっ嘘。おじさんなの?全然見えないんだけど」

僕はよく人に童顔だといわれる。歳を間違えられるのにはもう慣れた。

僕に比べて、この少年は少し大人びていた。小学生にしては、だが。

「で、おじさんはなんでこんなところで叫んでたの?」

どうしようか、と思った。

僕は今、自殺をしようと思っていた。

でも、こんな小さな少年にそんなこと、言えない。



「・・・おじさん?」

「現実逃避、しようとしてたんだ。僕はもう、真っ黒だから」

「・・・おじさんの言ってる意味がわかんない」

「わかんなくていいよ、君は大人になったらそう思う事をしないようにしてね」

「おじさんは大人でしょ?」

「そうだね」

「じゃあさ、ここで会ったのも縁だし、一つ教えてほしいことがあるんだ」

「・・・何?」







「僕、消えたいんだ」








 

「とりあえずこれでも飲みなよ」

「・・・ありがとう、おじさん」

歩道橋でずっと話しているわけにもいかないので、とりあえず少年を公園のベンチに連れてきた。

家に帰らなくて大丈夫か、と聞くと

大丈夫だ、問題ない。とドヤ顔で少年は答えた。

少しイラっときたのはここだけの話である。




「おじさん、本当は死ぬつもりだったでしょ」

少年は先程コンビニで買ってあげたオレンジジュースをちゅぅ、とストローで吸い上げた。

「そんなこと・・・ないけど」

「嘘。おじさんは死のうとしてた。そんなのダメ。おじさんはいい人なんだから」

「・・・君は、僕の何を知ってるんだ」

「・・・なにも、しらないよ」

「じゃあ・・・」

「でも、わかるんだ。おじさんは、いい人だ」

年下に、しかも小学生に、こんなことを言われるときが来るなんて想像もしていなかった。

驚きを隠しきれなかった自分がいた。

「・・・君は、なんで消えたいなんて言ったんだ」

「・・・それは・・・」

少年は僕から目をそらした。

「必要とされてないんだ」

「・・・どうゆうことだ」

少年の目には涙がたまっていた。

「お母さんとお父さんは、期待してるんだ」

「何を?」

「将来、医者になれって。医者になればお金も入るし、貴方は幸せになれるって。だから勉強しろって。友達とは遊ぶなって。」

親、か。

「前に、勉強をしたくなくて塾の宿題をサボったんだ。一回だけね。そしたらそれがバレて、お母さんにすごく怒られた。それから毎日の勉強はお母さんにチェックしてもらうことになった。それからかな、友達と遊ばなくなったのは」

少年は話を続ける。

「この前、算数のテストがあったんだ。計算を少しミスしちゃって、89点だった。そのテストをお父さんに見せたら、こういわれた」

「お前は俺の子供じゃないって」


「流石に、ショックだったなあ。自分は医者になることしか求められてないって思ったら・・・耐えられなくなっちゃった」

何も、答えられなかった。

今の子供はこんなに苦しんでいる者なのか、と思った。

この少年はすでに世界の汚さを

知っている。

どうりで大人びていると思った。


「それは大変だったね」

「・・・うん。もう家に帰りたくない」

「で、君は医者になりたいの?」

「・・・なりたくない」

「何かなりたいものでもあるの?」

「・・・歌手」

「歌手!?本当に!?すごいね・・・」

「でも、消えたい」

「・・・もったいないよ。そんなの。」

ついさっきまで死のうとしていた人間が何を言っているんだろうか。

でも

この子を

この少年を助けたいと思った。

「かけをしよう」

「・・・え?」

「君が歌手になれたら僕の本名をおしえてあげる」

「なに・・・それ・・・」

決めた、死ぬのはもう少し

「そのかわり、君が歌手になれなかったら・・・そうだな、本名を教えてもらうことにするよ」






後回しにしようか。









「そのかけ、のったよ、おじさん」



僕は、まだ死ねそうにもないな。

「僕が歌手になれたら・・・あと、おじさんの実年齢も、教えてもらうね」

「いいよ、教えてあげる」


生きる理由が


僕に








できた。

おじさんと少年

怪しくないです!純粋です!←


思いつきで書きました。

少年とおじさん(少年サイド)http://slib.net/20068

おじさんと少年

おじさん(大学生)と少年(小学生高学年)のちょっとした物語。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-06

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted