草履と庭にあると思う
・草履と庭にあると思う
はひ
とはいう
草履の藁がひらと舞った
擽られるとしたら人差し指
たまし
とわゆう
そこに止まる蜻蛉の見守り方
るうる
跳び抜ける
丸い石は踵にかかり
半歩先に踏みとどまれる
りい
明るい
蛙のほっぺの膨らみに似てる
ひら
とらり
廊下を長く走るのは
えゆ
蟋蟀が先頭を毎回にとるから
り
りい
影が伸びてく奥の部屋に兎の一羽はいるかもしれない
それが白で
あるいは茶色でも
黒い兎は上を見てる
とた
とたた
丈の低い草であっても吹けば揃う向きに
ふい
ふいと
お昼寝するにはまだ早いと
月も小さく言う日
綴じるようにとうなれば
「むかしむかし」と
「あるところ」。
たましいとわゆ
お団子はまあるい。
脱いで上がる一方で並んで座る廊下の途中です。
履き替えた草履の藁はまたひらと舞うのです。
擽られるとしてもきっと、
庭にぶらんとした人差し指になるのでしょう。
草履と庭にあると思う