汚い海の話


汚い海の話

あるところにとても汚い、それは汚い海がありました。

人々は、汚い海に、汚いものを捨てていました。

汚い海はますます汚くなり、

それが当たり前のように済んでいたある日、地震が起きました。

地震は津波を起こし、人々が住む町を飲み込みました。

たくさんのものが海に飲まれ、たくさんの動物を失い、たくさんの人が亡くなりました。

そして、汚い海は町に汚いものを残しました。

人々は家族の死を、友人の死を、恋人の死を悲しみました。

人々はたくさんの悲しみを背負いながらも町を立て直し始めました。

しかし、汚い海が残した汚い物はとても臭いものでした。

「なんて臭いんだ、この汚い海の所為で私は家族を失ったんだ。」
ある中年の男性は言いました。

「ちくしょう、私は恋人を失った」
ある若者は言いました。

「私たちが海を汚したものだから罰が当たったのね」
ある少女が言いました。

「そうだな、俺たちは余りにも海を汚しすぎた」
ある男性は言いました。

皆が少女の意見に賛同し始めたとき、ある老人が静かに言いました。

「海は怒りもしなければ泣きもしない、汚されても何もいわんよ」
「ただ、ワシらが汚したものが、そのまま返ってきただけじゃ」

老人はさらに続けました。

「自然のためじゃない、さあ、わしら人間のために海をきれいにしようじゃないか」

人々は最初、老人の言葉に戸惑いましが、やがて老人の言葉に納得すると

町の復興に取り掛かりました。

それから数ヵ月後

今日もまた人々は町の復興のため働き、海の上にも掃海船が海の掃除をしているのでした。

汚い海の話

汚い海の話

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-07-05

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted