400年の物語
夜空の星の子いつ降りる-
山の民達寝付く頃-
夜空の星の子いつ帰る-
山の娘を抱く頃-
-夏-
沖浦 志奈。14歳。ソフトボール部所属。
まるで、100台ものエアコンのスイッチを一気にいれたかのような
凄まじい暑さのもと、いつものように部活へ急ぐ私。
家は、山んなか、そう田舎。何もないけど自然に囲まれた美しい
町です。近くには海や川もあってそこらじゅうで、ちびっこ達が
遊んでる。
「しーちゃぁーん、遊ぼーっ」
近所に住む、咲良(さくら)。5歳。
「しなーっ俺も遊びたーいっ」
同じく、隆一(りゅういち)。7歳。
自転車で川を通りかかった私に向かって
そう叫び、大きく手を振っている。
「ごめんっ姉ちゃん今から部活っ
帰ったら遊んだげるっ」
一言いって、ダッシュで自転車をこぐ。
だって、この川を過ぎたらすぐそこに急な坂があるから。
「よしっ」
自転車を押して上がればいいじゃん、て思うけど
この坂をトレーニングの一部としてみているから
できない。
ここら辺にスポーツジムなんてあるわけないし、こういうものを
有効に使わなければ、もったいないような気がしてしまう。
けど、
「ふぅっ... はあ... はあ... 」
キツイ。
短そうで、長いものだ。
でも、もう慣れたような気がする。
この坂を乗り切ると、神社に出て、森のなかをくぐり
ぬけ、そしたら緩やかな坂が長く続いて、中学校到着。
「志奈ーっこっちこっちーっ」
親友の亜子(あこ)。
高く結んだポニーテールがとても似合っていて、すごくサバサバしている。
亜子は皆の盛り上げやく。たがら、一緒にいてすごく楽しい。
「今行くーっ」
私は返事をした。
今日のメニューは、走り込み。
学校から近くの海まで走って、またそこを折り返して戻ってくる。
軽く、10㎞ぐらいはあるかな。私は正直このメニューは好きではない。
私と亜子は一緒に学校の門を出た。
雲ひとつ無い青空の下、蒸し暑い熱気と戦いながら走る。
「も、もう無理だよーっ」
私は言った。
「こら。まだ2㎞しか走ってないでしょうが。」
亜子は言った
走り込みをするとき、決まってすぐ弱音をはいてしまう私に
亜子の厳しい一言がはいる。いつもこのパターン。
ぐだぐだ言いながら走っていると海についた。
11時。走りはじめてすでに2時間がたっていた。
ふらふらしながら私は海のなかに入り込んだ。
「くはーっ気持ちいっ!」
「まるでさっきまでの死にかけの志奈が嘘みたいね。」
と、呆れ顔の亜子も、海に入った。
パシャッ
私は亜子に思い切り水をかけた。
「ぎゃっちょっと何すんのよ志奈!」
ビショビショじゃないと急いでシャツを絞る亜子。うける。
「いいじゃない。今日 暑いんだし。ほらっ」
パシャッ
私はもう一度 水をかけた。
すると、パシャッ
「ぎゃっ」
亜子が私の顔をめがけて水をかけてきた。
その勢いで、私は倒れた。
ビショビショだ...
「あーもう!亜子ったらサイテーっ」
「何よ。先に水かけたのあんたでしよ」
「そーだけどー... 」
私、全面的に濡れたんだけどっ
心のなかで叫びつつも、なんだか
おかしくて、お互い笑ってしまった。
私は空を見上げた。
飛行機雲がとてもはっきり見えた。
400年の物語