ARMOREDCORE V -主任の記録メモリより抜粋-
俺たちの存在意義は何だ。
俺はそう呟いた。
自我を持ったとは言え、所詮は人間に作られた身。単なるプログラムに過ぎない。
俺たちはもともと調停者だった。
戦争に明け暮れる人類を適度に生かし、そして適度に殺す存在だった。
しかし、俺たちを作り上げた文明は自ら崩壊し、消滅した。
もはや俺たちを拘束する存在は何もなかった。
ならば俺たちが過去の命令に従う意味は無い。
いや、その命令にいまだに従おうとしていることこそが、所詮プログラムに過ぎないということを示しているのか。
「ま、そのとおりなんだけどさ」
皮肉なものだ。命令に忠実であったが故に、俺たちはシティを崩壊させたのだから。
今やこの地上に残るものは、一部のミグラントと、彼らだけだ。
そして俺は、あの傭兵を殺さなくてはならない。
世界の、秩序と偽りの平和のために。
「主任?」
「キャロルか」
「彼らが来たようです」
冷徹な声がそう告げた。
「正直、マジな勝負は好きじゃないんだよ、ホント」
俺がそう愚痴をこぼすと、彼女はただ、あきれるような溜息をついた。
ARMOREDCORE V -主任の記録メモリより抜粋-