世界決戦 第三話

silver monster

――アジト内部 エレベーター

エレベーターに乗りながら銃の弾の補充をしている。

今日はあまり寝てないので眠くなってきたが、寝るわけにもいかないので堪えた。


隼人「さて、あのバカはどこかなー……っと通信だ……」ピッ

白銀『白銀だ。それにしてもお前の甘さには呆れるな……
ため息しか出てこない……』

会話の始まりからため息をしたと想ったら最後にもため息をしてきた。


隼人「うるせぇな。そんなことより今忙しいんだけど final boxのことにでも分かったのか?」

白銀『それについてだが…… どうやら爆発の直接の原因はfinal boxではない』

隼人「…………? どういうことだ?」

白銀『結果として爆発の原因としては ただの爆弾だった』

隼人「じゃあfinal boxが爆発って言うのは?」

白銀『final boxはその箱よりも、問題はその中身だ』

白銀『その中身は いついかなる時でも兵器を自由自在に起動させるリモコンのような物らしい』

隼人「じゃあ無数にあるfinal boxは……?」

白銀『私の推測だがそれら全ては爆弾だ…… さっきも言ったように そのリモコンは兵器をいつでも起動をさせることが出来ると言ったな』

白銀『final boxを設置した奴の狙いはその爆弾を少しずつ爆発させ、政府を降伏させようっていう考えじゃないかと私は考えてる』

隼人「……それが本当だとするとヤバイな…… それと重大な報告として奴等の黒幕を見つけた」

白銀『予想的中だな……』

隼人「あんたの睨んでた通り バックに協力者が居た。
名前は シュガー」

白銀『シュガーだと? まずいことになったな……』

隼人「そいつは何者なんだ?」

白銀『奴は 政府では有名な男だ。 以前から戦争の意思を示していたからな』

白銀『きよつけろ。 下手をするとお前が死ぬはめになる。 さっさと兵器の起動を止めろ』

隼人「了解。話してる間に地下に降りたな」

白銀『では次の報告を期待している』 ブツ

エレベーターから出ると、
真っ直ぐの道が目の前にあった。罠とかありそうだな……


隼人「さて……行くか」

隼人「っと…… おっこんなところに鳥が……」 バサバサ!!

触ろうとすると逃げていく灰色の鳥

隼人「まっ、そりゃ逃げるか……」

逃げた鳥から目をそらし、
そのまま歩いていく。

隼人「ここに兵器があるのか…… それにしてもどんなのだろうな……」

歩く度にカツン カツンと音がする。 長い廊下を出ると
そこには目的の物があった。

隼人「これか…………」

やっと着いた…… 任務達成するために壊さなければならない兵器の前に。

巨大な四つ足の機械。
変わったロボットだ。

隼人「さーて…… こいつがどんなものか 分からないのに手を出すのも危険だしな……」

通信機を使用して白銀を呼んだ。

白銀『どうやら着いたようだな……』

隼人「着いたけど…… こいつの詳細が分からない事には手出しが出来ないんだけど、どういった物なんだ?」

白銀『今その機械の詳細を掴んだ。 そいつはfinal boxを壊すための兵器だ」

白銀『そして final boxを調べたところ 箱その物が爆弾だった。しかも強力な奴だ。私の予想は見事的中したな』

白銀『奴等はその四つ足の兵器で国を一つずつ潰していく気だ。final boxを爆発させながら……」

白銀「恐らくだが、それを止めるためのリモコンがあるはずだ…… それさえあればなんとかなるはずだ!」

隼人「てことはリモコンを奪って爆弾の起動と兵器の起動を停止すれば良いんだな?」

白銀『そう言うことだ。 そしてお前は矛盾してると思わないか? リモコンを使って
final boxを停止すればいいのに 何故こんな方法を選ぶのか?』

隼人「俺も考えてたよ。 ていうか誰でも思ってるだろ?」

白銀『ワクたちは嘘を教えられてるかもしれないな』

隼人「……本人に会えば分かるさ……」 ブツ

通信を切断すると、再び兵器を見つめた。

「ずいぶん来るのが遅かったじゃないか」

聞き覚えのある声が聞こえた
久しぶりに聞いたが 忘れられない声だ。

ワク「なぁ。隼人」

白衣を着た、黒髪の男……
ワクだ……

やっと見つけた。 もう見失わない。

隼人「涼はどうした?」

ワク「あいつは計画の最終調整で今は居ない。 それが終わるまで 遊んでやるよ」

隼人「随分と偉そうだな お前そんな奴だったか?」

ワク「人は変わるさ。お前が俺を…… いや、俺達を裏切ったようにな」

隼人「裏切った…… 確かにそうだな。 何故こんなことになったのかも分からない」

隼人「けど間違ってる事なら分かる。 それはお前らのやってることだ」

ワク「………………」

しばらくワクは黙っていた。
俺は話を続けた。

隼人「final boxを停止させる凍結させる方法があったのに…… お前らはこんな道を行くんだ?」

ワク「方法? ハッ!! 笑わせんな。 これしか方法無いんだ。 お前も分かってるだろ?」

やはりこいつらはリモコンの事を知らない。 シュガーってやつに騙されてんのか……

隼人「いいか? よく聞け。 final boxは止められる。 シュガーが持ってるリモコンでな」

隼人「あいつは世界を手にいれるためにお前らを利用してるに過ぎないんだ!!」

ワク「笑えないジョークだな。 お前がここまでバカだったとは正直思ってなかった」

隼人「待て!! ワク!」

ワク「もう消えろ」 ダッ!!

刀を抜きながら地面を蹴り 間合いを積めてきた。

横に振るった刀を スウェーでかわし、 隠し持っていた銃で ワクを撃った。

ワク「本物…… ではないな。麻酔銃か…… だが俺には通じない!」

さらに 縦 右 左 斜めと刀を振るってくる。 とても鋭く、速くて簡単にはかわせなかった。

ワク「どうした!? そんなんじゃ俺には勝てないぞ!」

真っ直ぐ放たれる突き。 右に飛んでかわすが、肩をかすめて血が出始めた。

隼人(無駄撃ちは避けるべきだな…… 攻撃してきて隙が出来たところを……撃つ!)

肩から血が出てるが 手当てしてる暇はない。

隼人「来い!!

ワク「はぁぁ!」ブン!!

勢い良く下からに刀を切り上げてきたが、後ろにばくてんをしてかわし、 さらに片手でばくてんして距離を取った。

ワク「ちょこまかと!!」ブゥン!!

刀が降り下ろしてきた。 大降りになった所をみるとイラついてるらしい。

隼人(刀が地面に当たった瞬間に……撃つ!!)バシュン!!

刀を横に飛んでかわし、麻酔銃を撃つと針が腕に刺さる。

ワク「少しはやるな」

だがほとんど効果は無い。
こいつ…… 腕をカバーしてやがった……

隼人「ちっ! 惜しい!」

ワク「バカみたいに身体能力は高いな……」

隼人「そりゃあお互い様だ」

ワク「ふっ。かもな」


隼人「なぁ。 こっちに戻ってくることは出来ないのか?」

ワク「……もう遅いんだ。 既に通ってきた道は崩れて進むしか無いんだ」

隼人「じゃあ俺が作ってやろうか?」

ワク「作らなくて結構。何故ならお前はここで死ぬからな!!」 キィィン!!

再び刀を振るってきた。
ギリギリの所でナイフで止めたが、次は弾かれるであろう。 勝てる気がしないよ。全く。

ワク「防いだからって油断すると痛い目見るぞ!!」 ドガッ!!

右拳で殴られると地面に叩きつけられた。 だがただ殴られてやるほど甘くはない。
倒れる直前にナイフを投げると、ワクの頬を掠めた。わずかに血が流れる。

ワク「油断も隙も無い奴だ」

隼人「なんとでも言え アホ」 ドガッ!!

近づいてきた所を蹴りで転ばせてマウントを極めた。
さらに頭に銃を向ける。

隼人「シュガーの所に案内して貰おうか」

ワク「フフフ…… 自分が優位に立ったと思ってるのか? それは違う。 お前は窮地に立たされたのさ」バキッ!!

隼人「ぐあっ!!」 ドサッ!!

殴られた勢いで地面に倒れ、
みぞおちを踏まれた。

隼人「がはっ!!」 ゲホッ!!

血を吐いた。 めちゃくちゃ痛い。

ワク「お前は俺に勝てない。 自分の愚かさを知らないお前ではな」

脱出しようにも身動きが取れない。さらに銃も落としてしまった。 まさに絶体絶命だ。

ワク「少し大人しくしてろ」バン!!

隼人「うっ……」 ガクン

麻酔銃で撃たれ、そのまま意識を失った。


―――――――
―――――
―――

ワク『暇だなー なにかすることないか?』

隼人『とりあえずどっかいこうぜ。 お前らはどっか行きたいとこないのか?』

ミズキ『私は海です』

涼「私はどこでも……」

春也『俺も海かなー』

ワク『そんじゃあ行こうぜ』

隼人『明日は映画だな』


ミズキ『明日の事を決めるには早くないですか?』

涼「そうですよ。明日決めれば良いじゃないですか」

ワク『まぁいいじゃん。 明日は映画だな』

春也『無理だよ……』

他5人『えっ?』

春也『俺達6人で迎える明日なんて…… もう無いんだよ……』

パリーーーン!!!

その瞬間に全てが砕け散ったような音がした。

春也「はっ!?」

目が覚めるとポツポツと雨が降っていた。

春也「……隼人…… 大丈夫ですかね……」

その場で立ち上がり、落ちていた刀を鞘に入れて、 アジトへと入っていった。

春也「最短ルートで行きますか……」

隼人に会って僕は救われた。
だからその埋め合わせとして
今度は僕が隼人の力になりたい。




それが少しでも償いになるのであれば



―――アジト 研究室


シュガー「これは……」

涼「今までの試作品とは出来が違います。final boxを駆除するため…… そして政府を潰すために作った究極の兵器」

四つ足の巨大な鉄のロボット。 それを見下ろす白衣を着た、青い髪を後ろに結んだ女性と白髪の老人。


涼「特徴としては銃弾 光線など強力な武器を搭載しています。 強度も充分です」

シュガー「素晴らしい! まさかこれだけの短時間でここまで仕上げるなんて!」

涼「いえ。 もう少し時間があったら試してみたい事があったのですが…… まぁ出来はほぼ完璧です」

シュガー「あなた達には感謝しています。 こんな強力な兵器を作ってくれたんですから……」

涼「こちらも私達の目的達成のために数々の援助をしてもらいました。 これくらい当然でしょう」

シュガー「ありがとうございます…… そういえば侵入したと言う敵兵はどうなったんですかな?」

涼「まだ捕らえて居ないんでしょう。さすがに世界連盟が送ってきた兵士だけあって中々やるようですね」

涼「しかし彼ももう終わりでしょう。 ワクさんが居るんだから」

シュガー「なら結構です。 では私は先に失礼いたします。 クククク…………」カツン カツン

静かに笑いながら老人は出ていった。

涼「…… やはり念のためあれも試しておくか……」

ミズキ「涼。 仕事は終わったの?」

涼「なんとかね。それよりもワクさんは大丈夫?」

ミズキ「大丈夫よ。 あの人は強いから。そういえば春也先輩はどうなったんだろう……?」

涼「多分その内戻ってくるわよ」


そんな話をしているとドアが開き、ワクが入ってきた。

ワク「silver monsterの調整は終わったのか?」

涼「ほぼ完璧。いつでも作戦は開始できます。 それで隼人さんは……?」

ワク「向かい側で寝てるよ。
目を覚ますのは しばらく先だ」

ミズキ「殺さないんですか?」

ワク「起きた時に分からせるんだ。 こんな世界が救う価値が無いってことをな。殺すのはそれからでも遅くない」


ワク「もうじきだ…… 我々の目的であった世界への復讐…… 全てを破壊する究極の兵器…… silver monster……」

時計が午前0時になった。






ワク「作戦決行だ。 全てを焼き尽くせ!!!!」

世界決戦 第三話

世界決戦 第三話

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-25

Copyrighted
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