6月24日
雨の降り出しそうな重たい空気のせいで、息苦しいだけだった。
特に気に触ることがあったわけではないと思えていたのに、だんだんと些細な出来事を思い出して憂鬱になってきた。最後まで使わなかった傘の柄を親指で擦りながら、早足で駅に向かう。
実を言うとこの作品には自信があった。今流行の少女の後ろ姿なんかより、ずっと面白かったはずだ。結果を聞き数時間経っても未だに信じられない。他の仕事を断ってきたことになんの意味があったのか、そこで罪悪感を持ちながらも未来に賭けていた自信は本当にただのうぬぼれだったのか。
揺れる電車の扉に凭れる。激しく動かされる体につられて何度か頭をぶつけたけれど、そうしていると目が冴える気がした。
横目で見た車内広告は派手で、人気アイドルの背後にある注意を意味する黄色に苛立った。
アイドルの顔を睨みつけつつ、傘を置き忘れる想像をしていた。
6月24日