short poem orange
大嫌いは好きのうち
好きで好きで大好きな気持ちは隠さなきゃならない。
だから
君に寄せる視線も特別な思いも、これは……
『大嫌い』の証拠。
大嫌いだから、ついつい睨んじゃうんだ。
大嫌いだからいつも君のことを思っちゃうんだ。
大嫌いだから…
大嫌いだから……
大嫌いだ、から……!
大好きだよ…。
『好き』は『嫌い』と裏表、だから私は『嫌い』を選ぶ。
君が嫌いと思っていれば君の隣にいられるから。
こんな気持ちは気づいちゃいけないものだった。
気づいた瞬間からもう手遅れで。
だから今日も思い続ける。
『君が大嫌い』
『でも、本当のことを一度だけ』
『一度だけ言わせてよ』
『たった一度しか言わないから』
『本当は!』
『本当は……―』
『―ちょびっとだけ好きで好きでたまらないんだ』
最初で最後の告白を
好きです。
ううん ゛好きでした″
あなたはもう、友達です。
だってあなたには大切な方がいるでしょう?
見つめているのは私じゃないはず。
でも……まだ心の奥底であなたに目を奪われる私がいる。
だから今日、告白します。
あなたへと 最初で最後の告白を
舞台は数万の星が降る夜空の下
誰もいない。私一人
空に向かってつぶやくの
「あなたのことが……好きです!」
これはあなたへと向ける最初で最後の告白。
明日から、あなたは私のお友達
でも……まだ……
12時までは私の好きな人。
ワンコな君へ
ありったけの思いをここに書き綴ろう。
何の計画もなく、思ったことすべてペンで表そう。
そんな殴り書きのラブレターを君は受っとてくれるかい?
「拝啓、片思いの君へ
初めに言おう。僕は君のことなんてちっぽけも気にならない。
書き始めはなんとなく書いただけだから、ラブレターなんかと間違わないでくれ。
君は僕にとってなんでもない存在。
隣の家に住んでいる家族が飼っているワンコぐらいの存在だ。
でも、そんなワンコがたまに家の柵を飛び越えて脱走する。
まったく手のかかる野郎だ。
まあ、こんなことをふまえたら君は僕にとって面倒な奴なのかもしれない
いきなり手紙を書いた理由は僕にもわからない。
また、なんとなく。それだけだ。
ああ、あとこの前はペンを貸してくれてありがとう。
とても使いづらいものだったが助かりはした。
もう一度くらいは借りてやらなくもない。
それといつも愚痴ばかりを言ってくる君だが、あれは僕に言っているのか?
それとも独り言なのか?
まあ、ついつい口から言葉が漏れてしまうなら
僕が隣にいて聞いてやらなくもない。
それからこの間水族館に行きたいと言っていただろう?
君がイルカショーを見ながら、イルカの水しぶきがかかってびしょ濡れになるのは予測できる。
そしてその光景はとても面白そうだから
僕も一緒に水族館へ行ってやらなくもない。
以上のことを書いて、僕が伝えったことがようやく分かった。
そうだな、言葉に表すなら何て言おうか?
これもまあ、一種のラブレターみたいなもんだろう
きっと君はこれを読んで顔をしかめているだろう。
君の頭は鶏だからな。
簡単に説明しないとわからないだろう。
僕にだって数年たってようやく解けた謎だ。
まあ、教えてやらないこともない。
つまりだなあ……
僕の隣でずっと笑っていてもいいってことだ」
その後、
予想通り、この手紙を持って不可解そうに「意味が分からない」という君が訪ねてきた。
はあ、君には読解力もないのだね。
仕方がないから僕が教えてあげよう。
そうして君を僕は抱き寄せた。
「ほら、ワンコな君にもわかるだろう?」
僕はこんなにも君におぼれてしまっているんだ。
これは君への愛のメッセージなんだよ。
オセロ
白と黒、混ざり合って灰色。
黒は決して白にはなれない。
いくら周りが全て白だろうが、黒を隠すことなんてできない。
そう、きっとそれは私と同じだ。
私は黒だ。
だけど君は違うって言ったね?
こんな真っ黒な私でも白になれるって。
オセロ。それは唯一黒が白になれる方法。
ああ、私は白になりたい。純白で美しい白に。
でも君は黒がいいって言う。
白はすぐに汚れてしまうから。ずっと白であり続けるのは難しいから。
でもさ、人は必ずしも白にあこがれるんだ。
そして、そんな白から自分の色へ染めてくんだ。
私はそんな、一番初めの白になりたい。
白と黒、くるくる回って白になる。
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