初恋
体育祭 ~裕貴~
俺のクラスではいま、揉め事が起きていて男子のみでの争いとなっている。
俺はこの争いには参加しない。
まず、自分が入ると俺の入っているほうが有利になることは間違いないと思う。
クラスには一人や二人、リーダー格というものが居るもので、その中の一人が俺ってだけだ。
そして、その原因がまた厄介なことに俺の彼氏だった。
この争いが起きたのにはもちろん、理由があって、俺の彼氏の翔一が運動神経の悪さは男子ナンバーワンでそのおかげでクラスは最下位になりかねない。
体育祭くらいで、と思うかもしれないけどこの体育祭、修学旅行の部屋決めに繋がる。
体育祭で優勝したクラスには修学旅行で一番高い部屋に泊まれるという権利が与えられるということ。費用はみんな一緒なのでなおさらだった。
つまり、翔一の運動音痴を回避すれば優勝に繋がることもあるということで言い争いが起きているわけだ。
争いのテーマは必ずしも一つではなくて、諦める、諦めないの問題、改善策の案の食い違い、様々だった。
でも、俺というものはこういう争いが大嫌いな上に、自分勝手。大嫌いなことを目の前でされるとさすがに怒りと何かの感情が入り混じってくる。
そろそろいい時間になるだろう、始めてから三時間経っている。
「お前ら一回ストップ!」
俺は声を男子たちに負けない声量を出す。すると、案外静かになってくれるもので、最初に口を開いたのはクラスに一人や二人はいるリーダー格のもうひとりだ。
「なんだよ、裕貴。」
「お前らこの争い続けて何時間経ったよ?それで何か変わったか?なにも案すら出てないじゃんか。肝心な翔一置いてかれてんぞ。そして、翔一はおれが何とかするから。以上。」
さすがに飽きていたのか、なんなのか、受け入れると思ってもいなかった俺の案をすんなり受け入れるものがほとんど。
「裕貴、お前何か作戦、あるんだろ?頼むわ。」
俺と似た存在の大輔でさえも俺に任せようとしているようだ。
「ちょっとこっち来い。」
俺は翔一を廊下を通り過ぎ、一階の渡り廊下の隅のほうへ連れ出していく。翔一の顔は嬉しそうにも見えたが気のせいか。俺は翔一を壁のほうに手を回し、逃げられないようにすると、
「体育祭、頑張れるの?2位とか取れるの?取れないと俺、もう翔一とヤらないかも。」
俺の作戦はこうだ。まず、毎日とはいかずも週に3回以上SEXしていた俺らが3週間もやらずにいたら流石にきついだろうし、俺とすることが大好きな翔一にとってはかなり効くと俺は踏んでいる。それを利用しようという考えだった。
「ヤダよ。裕貴としたいよ・・・・?」
「じゃあ毎日キスするけど成功しないとやらない。2位取らないとやらない。」
翔一の反応はなんと表現したらいいのかわからない、悲しみと寂しさというような感情が混じっているようでもあったし、体育祭を成功させたいというような意思があるように思えた。
「それなら、体育祭のために我慢するから。」
どうやら翔一も渋々だが受け入れてくれたようなので俺はさっそく翔一にキスをすることにした。最初はソフトに優しく、二回目はディープで濃厚に。
「んっ・・・・ぁ・・・」
思わず翔一の口から声が漏れた。恥ずかしそうに顔を赤らめる翔一が可愛くてついキスしてしまう。
初恋