おしまい人の日記

かなしいことが、おこりませんように。

もうすぐ君が生まれた季節がくる
そうしたら君はまたひとつトシをとる
あっという間においていく
君は僕をおいていく。

たくさん話しをした気になって
わかっただけの気になって
いたいよ、いたいよって
それだけのことが
わからなくて。

ボールも、ぬいぐるみも、
君のしゃぶり跡のついた僕のてぶくろも
もういらないのかな
おとなになった君には。

ぜんしんマスイは
厳しいデショウ。
いたみをクスリでケシますが
ヨクナルわけでは
アリマセン。

ーー君を初めて抱いたとき
寒い冬の夜のこと。
赤くなってぬれた君の鼻の頭に
乾燥してがさがさの僕の指が触れ

ーー君は驚いて僕をみて
大きな瞳に未来が映って
君と僕が笑っている。
小さな君と
あの時のままの
小さな僕

これから
もうすぐ
となりあわせた
わかれが
ぼくらを
おそいに
やってくる

それまで遺しておこう
おしまい人の日記。

おしまい人の日記

死にそうで死なない今更ながらの物語。

おしまい人の日記

詩のような小説のような、今更ながらの旧いテーマの物語です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-21

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