黒天使少女
ありきたりなどこにでもあるような中学校に黒い天使が舞い降りる。
「ここに2がかかっているから、かっこをはずし、中身を計算する」
中川中学校2年生A組教室 3限目 数学
ちっとも何言ってるか分かりゃしない。大体「2がかかってる」とか意味不明。2がどこにかかってるっていうのよ。肩にでもかかってるんですか?
とあたしは心の中で愚痴をはく。あたしの名前は天空雲(あまそらくも)。中川中学校2年生女子。一応この物語の主人公よ。現在数学の授業中。ノートは白紙。どころかいままでノートに写したことがない。それで毎回怒られている。写したってそれが全部頭に入らないから写しても無駄って言ったのにまた叱られる毎日。
あたしは違うの。あなたたちとは違う。どこが違うって聞かれたら答えることが難しい。でもあたしは心の奥底で感じていた。あたしはこの世界に生まれてくるはずじゃなかった。ほかの世界に生まれるべき者だった。あたしはそんなモヤを心において、今日も中身のない毎日を過ごしていく。
3限目が終わった休み時間。次の授業の用意をする。
「あ」
とマヌケな声をもらしたあたしに友達のまみが近付いてくる。
「どしたぁ?」
「あ、うん。国語の教科書消えた・・・」
昨日いれたはずだった教科書が消えていた。
「忘れたならB組いって借りてくればぁ?」
忘れたんじゃなくて消えたのよ。確かに昨日かばんにいれたもの。あたしが忘れるなんてありえない。あたしは授業は受けないも同然なんだけど忘れ物はいままで一度もしたことがない優等生ちゃんなの。授業受けないやつが優等生なわけあるかと思った君。廊下に立ってなさい。
「ううん。いい。どうせあってもなくても一緒だから」
「ふぅん・・・」
少し不機嫌そうな顔をしたまみは自分の席につく。
人間はいつもそうだ。自分の思いどうりにならないとすぐに機嫌を悪くする。いつもほかより上に立とうとする。人間関係とかわけのわからない言葉まで作られて。人間の関係って・・・。ほかの生き物など眼中にないような物言いよ。
「いっそ天使にでもなれたらなぁ・・・」
そうつぶやいてみる。すると胸の中心に刺すような痛みがあたしを襲う。
「ぅ――ぐ・・・あっぁ・・・!」
胸が熱い!燃えるように熱いっ!思わず胸に爪をかき立てる。
「ぅうあぁあぁ!!あぁっ!ぅぐぅっ!」
「ど、どうしたんだっ!?」
うろたえる先生。不安そうに顔を歪める生徒たち。うめき声をあげる―――――――あたし。
「ぅあぁぁああぁあぁあぁあぁあぁーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
ジュゥゥゥ・・・とあたしの胸から焦げくさい煙が上がり、消える。
痛みがひいたあたしは力つき、机に『ゴッ』と頭から突っ伏す。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
胸の中心に違和感がある。そっと触ってみると
「な・・・んだ・・・これ?」
へこんでいる。なにか模様のような・・・しるしだろうか?
「お、おい雲・・・。大丈夫か?」
先生の問いかけにも応えられない。これはどこかで・・・。
「ん・・・ぅあ・・・。」
力なく起き上がる。そして服をひっぱり胸の中心に目をやる。
「こ、これ・・・は・・・」
絵。丸い円のなかで天使が天使の翼を切っている絵。
これは・・・まさか・・・。
「ふっ――――――んん・・・!」
今度は背中に痛みがはしる。
そのなかで見た。あたしの・・・。あたしが何者かを――――!!!
「ぅうあぁっ!!!」
『バサッ』と鳥のはばたいたような音が響く。目をあけると黒い羽が舞っていた。
からすとか、鳥ではない。これは―――天使の羽。あたしの、羽。
あたしの背中には立派な翼が2本生えていた。真っ黒な翼が。
「思いだしたよ。あたし」
皆はきょとんとしているがあたしは見た。
はるか空の上を飛んでいたころ。ときどき雲の間から下界を見に行ったことも。
あたしが黒くなった・・・あのときも。
「先生。お別れです。いままでお世話になりました」
「く、雲!?なにをいっているんだ!?」
「あたしは雲じゃないです。あたしの名は――――べザフス。べザフス・クリニチェ」
「神から天使の名を剥奪された大反逆者。べザフス・クリニチェ発見♪」
窓の外から聞き覚えのある声が聞こえた。
黒天使少女
初めてなのでgdgdです;
まだ途中までしかできていませんがまた更新しようと思います。
これは天使の名を剥奪された、堕天使の物語です。
けれど、その堕天使には秘密があって―――!?
次回、お楽しみにー♪