テレビ

ビールとおつまみのお菓子を食べながらテレビを見ていた。
アイドルが出ていた。
下手くそな歌のライブ。
気持ち悪い観客。
歌い終ってアイドルの女の子がカメラ目線で僕に聞いてきた。
「楽しい?」
「いや、全然。」
チャンネルを変えた。
芸能人の女の子がバラエティーでしゃべっていた。すんごくつまらない。
場が冷めたので、すぐさま司会者がネタをイジリ芸人にふる。なんとか芸人がフォローする。みんな笑う。
芸人がカメラ目線で僕に聞いてきた。
「どう思う?」
「大変だね。」
チャンネルを変えた。
ニュース番組だ。
殺人事件。司会者の口調が暗い。隣の女は顔をしかめる。なんか言ってる。
そして直後に芸能ニュース。くだらない企画でアイドルがぴょんぴょんはねてニコニコしている。司会者と隣の女もニコニコして「いいですねー。」と言う。
司会者がカメラ目線になった。
目が3つになっている。
「どれが本物の目でしょうか。」
「わからない。」
テレビを消した。
ガタガタ震えた。怖いのか?
ベランダの外は見なかった。誰か覗いているのか?
頭が痛い。
もう一度テレビをつけた。
ザーっと言いながらテレビの画面は白黒の砂嵐が飛び交っていた。
全てを表しているようだった。

テレビ

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-06-21

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